魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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戦いを求めた末路⑥

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 アキセは猫の国で飛ばされた後は覚えていない。
 目を覚めれば、ベッドの上にいた。しかも見たことがある部屋。昔、使ったリリスの部屋の一室。それにケガしたはずが治っている。
 リリスが連れ込んだのか。どういうつもりだ。
 その時、頭痛が起きる。頭が突き刺さすように痛む。
 何が見える。
 リリスとボルガが戦っている。この状況はどうなっている。それにジャンヌがイルと一緒にいる。
 なぜそこにいると思った瞬間に、胸やけが止まらない。苦しい。呼吸が乱れる。心臓が圧迫する。この想いを魔力で奪い取る。それでも治まらない。
 今度は急に部屋の中に視界が戻った。
 大きく深呼吸をして整える。まさか、リリスはこれを見せるためにしているのか。
「目を覚めたのね」
 夜輝(よき)の魔女リリス・ライラ・ウィッチャーが戻ってきた。リリムを生み出した魔女であり、アキセの母でもある。
 アキセはすぐに銃を召喚し、リリスに打ち出す。弾はリリスの目の前で止まり、その場に落ちる。
 当たるとは思っていない。腹いせにしただけ。
「あら、母親としてわが子を看病してあげたのに。その態度はどうなのかな」
「これが看病か。頭に直接入れやがって、く!」
 また頭痛がする。
「言ったでしょ。あなたの嫉妬深さは可愛げがあるって」
リリスはアキセを押し倒す。
「ガルム」
 股間を触っていく。
「どれだけ嫉妬を奪ったの」
 掴まれる。
「う!」
「よかったわね。私の血が混じって。普通だったら廃人になるところよ。いくら感情を取り除いても嫉妬はなくならないってことね」
 リリスの声が甘く聞こえる。何も考えられなくなる。誘うように股間を触っていく。このままだと押し倒される。
「だったらおまえにもくれてやる」
 アキセが奪った感情の塊をリリスの体に手が伸ばしたところで止まる。
 動けない。
「あ~これなのね」
 リリスは指一本で塊を手の中に押し込む。
 またあの想いが込みあがる。胸やけが止まらない。苦しい。呼吸が乱れる。心臓が圧迫する。
「そんなにあの時もそうして欲しかったのかしら」
「やっぱり・・・知っているのか・・・」
「私を誰と思っているの」
最強な魔女なだけある。
「そういえば、あの時の想いも捨てたんでしょ」
 リリスの手に塊を持っていた。
 話からしてまさか。
「せっかくだし、戻すね」
 リリスが手を伸ばしていく。
 抵抗しようにも体が動けない。
 捨てたその想いが入れられる。思い出しただけでも吐き下がする。気持ちが悪くなる。何もできなくなる。震えが止まらなくなる。
「なんてね」
 リリスはアキセの股間を握り潰す。
「う!」
 アキセは股間を抑える。
「なんで俺ばっかり・・・」
「どうせ魔力で痛みを奪うでしょ」
 やっぱり分かり切っている。
「その内やろうかしらね」
 リリスはイタズラな笑みを見えながら、塊を手の中から消える。
「おまえの力は一体なんだ・・・」
 話したこともないのに過去のことを知っている。昔捨てたはずの想いをリリスが持っていた。復元。分からない。
それに頭の中に流れた映像からロゼッタの力を使い、ボルガを苦しめたあの力。
 力を複数持っている。それとも一つの力で複数の力を操れるのか。
「何。シンプルなことよ」
 リリスはイタズラな笑みを見せる。
「そろそろ帰ってくるかしら。コゼット」
「はあ?」
 そういえば、最近見ていない。
「もういいわよ。それなりに楽しめたから」とアキセを穴の中へと落とす。
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