魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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サバトだよ。全員集合!②

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 くそーどうやって逃げよう。
 アキセは『なんでも遮断マント』で隠れていた。
 魔女が9人。さすがに一人で対応できない。逃げようにも、以前コルンが使った結界で脱出もできない。
 どうすればと思った矢先にぼっと爆発する。その勢いでフードが下ろされる。
 煙が晴れれば、ユビワがまた人になった。
「おま!」
「いやああああああああああああああああああああああ」とユビワが一目散に逃げる。
――この状況で逃げるな。
 何気に『なんでも遮断マント』も回収された。
 これではすぐに見つかってしまう。
「あなたが犯人かしら」
 見つかった。
 心臓が止める勢いだった。
 蕗を傘のように持ち、ふらふらと浮いている。
「初めまして。私。冬(ふゆ)蕗(ふき)の魔女 アイニャ・コロ・ポックルと申します」
「は・・・」
「あら、いい顔ね」
「なら見逃してくれます?」
「そこまで軽い女じゃないので」
 アイニャは笑顔で返す。
「では一緒に行きましょうか」
 捕まってたまるか。
 保険に作ってある懐中時計の武器庫から煙玉を召喚し、アイニャに投げる。煙玉は地面から生えた根に掴まれる。
「え!?」
 根が煙玉を投げ、アキセの顔に当たる。
「ぷふぇ!」
 その衝撃で煙玉が爆発し、煙に包まれる。体に何かを締め付けられ、逆さに持ち上げられる。体を見れば、根を絡めていた。
 捕まってしまった。
「ゲッツ!」
 煙が晴れれば、「どうだ!常夏の魔女チュラナ・キジムナーの勝利!」とチュラナが腕を上げて勝利を宣言していた。
「作戦いったね」
「でしょ」
 こいつら。
 その時、目の前に炎が飛んできた。
「え!?」
 アイニャが手を振る。冷たい風を吹き、迫ってくる炎を消す。
「ちょっと。スタッフィ」
「横取りはよくないさー」
 チュラナとアイニャが視線を向けた先を見る。
 テラコットに乗っていたスタッフィとゴッホだった。
 スタッフィは口を開け、かすかに小さな火が散っている。口からスタッフィが吐いたということだろうか。
「だめ?」とスタッフィは首をかしげる。
「だめに決まっているでしょ」
「二人ともずるいもん。自然系の魔女だから。すぐに分かるじゃん」
「ええ」
「そのへんは負けないさー」
「せっかく捕まえたのに。どう見ても犯人そっちだね」とゴッホは言う。
 え。今なんて。
 テラコットの尾にはユビワを糸で絡めていた。
 ユビワまで捕まえるとは。
「やっぱりこの子は犯人じゃないよ」
「ほら、見た目に騙されちゃダメだよ」
 スタッフィはじっと見つめる。
「あれ?なんか見たことあるような・・・」
 スタッフィには以前捕まった時に面識がある。テラコットのエサとして。
「なんだ。捕まったのか」
 また別の声。
 今度は、巨大なキノコの上に乗っているピトラにアーノルド。そして「あ!アキセ!」とコルンが指を差す。
「あ~この子なの?コルンが言っていたのって」とアイニャは言う。
 魔女たちが一斉にアキセに視線を向ける。
 体中に冷や汗がかく。
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