魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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真珠の魔女①

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 ジャンヌは川の辺を歩いていた。
底が赤と黄、紫とカラフルな苔で彩られている珍しい川だった。そんな川を眺めながら、のんびり歩いている時だった。
「ジャンヌ」
 イヴの声。振り向けば、白い鳥が枝の上に乗っていた。
 白い鳥は、イヴの一部が鳥に変え、伝達に使っている。
「イヴ様・・・」
 また面倒くさい仕事かといやいや聞くも。
「今すぐに離れなさい」と予想と違った言葉だった。
「それは・・・」
 白い鳥に白い玉が当たるも、白い鳥は何もなかったように立っている。
 白い鳥は、『光』の塊のようなもの。当たっても消えるということは、『呪い』で作られたもの。近くに魔女か魔族が攻撃しているということ。
 方向先を確かめようとしたが、何かが体を絡める。真珠の紐だった。その先は川から伸びている。
 すぐに体中から白い炎を溢れ、真珠の紐を燃やす。消えた。
川から攻撃しているということは、水関係の力を持っている。相性が悪い。今すぐ川から離れなければ。
 足に白い炎を噴射し、川から離れようとするが、また真珠の紐が伸び、足を絡める。
 白い炎で燃やそうとするも、水柱が目の前にまで迫ってくる。息が吸えない。水柱に覆われながら、体中に絡め、川に引っ張られる。


 ジャンヌが川の中へと引っ張られた。
 波が落ち着けば、普通の川へと戻った。
 そんな様子を、アキセは魔術で作った水の鏡で見ていた。
――またあいつ捕まってるな
 いくら水が弱点にしても捕まりすぎる。弱点あった方がやりやすいが。
 さて、何を条件にして助けようかとアキセが考えていた時だった。
「遅かったか」
 別の女の声がした。
 あれは。


 やっと息が吸えた。
 体中に真珠の玉を結びついた紐に絡めている。動けない。水と相性が悪く、より消耗が激しくなる。『光』をかなり消耗してしまった。
どこかの建物の中にいるようだ。
 その時、腹に衝撃がし、壁にぶつかる。
「捕まえた~」
 女が顔を赤くして見つめる。
 虹色が絡めている黒い髪。青い瞳。黒いアームカバー。青い肩紐に胸元を見せている。ドレスの側面が白く透けたウェーブに前掛けが青い布となり、足を見せている。
 女から黒いモヤが発生している。
 『呪い』を可視化した黒いモヤを発生できる女は、魔女だということ。
「これでカーティアが来てくれる~また会える~」
 高らかに興奮する。
「カーティア・・・」
 誰の事。
「ねえ。今も黄色の聖女アガタって名乗っているの?」
 魔女はにやっと笑う。
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