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タタリ解放戦③
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アキセが上空から降ってきた巨大な岩にぶつかったことで鎖が消えた。
イーグスは一旦引く。
アキセから離れたところで、マスクが消え、やっと息が吸えた。どうやら、一時的なものだろう。
マスクの中に口輪が含まれていた。血を吸えず、息を吸えない。しかもイヌの鳴き声しか出せない。
アリスがかけたタタリは、ろくなことではない。ある程度は覚悟していたが、これはこれでかなりの屈辱を身に染みた。それにアキセのバカ笑いを思い出すだけでイラつきが込み上げる。
でもこれはタタリではない。
「イーグス。聞こえるかしら」
直接頭の中にアリスの声がする。
「アリス様・・・」
「あなたの行動力だけはいつもながら感心するわ」
嫌味に聞こえる。
「ジャンヌと約束したのよ。血を吸ったら調教してって」
「それがこれですか・・・」
「どうだったかしら」
「ええ。とても味わえました」と嫌味に返す。
「やったがいがあったわ」とアリスが軽く笑う。
「これはタタリではないですね」
「ええ。タタリだったら、聖女の血を吸って解放しようと思っていたでしょ」
読まれている。
「実はね。ジャンヌには話していないけど、解放する方法があるわよ」
喉から手が出るほど欲しい。
「話してくれますか」
「それは自分で探しなさい」
それっきり切れた。
素直に答えるとは思っていなかったが、声に出してしまった。
難題すぎる。ヒントも全くもらえなかった。
今は状況を確認する。これはタタリではない。聖女の血を吸えば、タタリは解けるはず。それが効かない。心当たりがある。まさかとは思うが、コルンの発明品だろうか。
「なんか面白いことをしてるじゃないの」
声のした方へと向く。
茶髪の中に黄緑が混じっている。髪を二つに結んでいるが、一つは三つ編みに、もう片方はただ結んでいるだけ。緑色の長い袖。胸には布で前に縛っている。短パンをはいている。かざなりの魔女ウィム・シルフだった。
「ウィム様・・・」
「しばらく会っていなかったから寂しかった」
「先ほどの岩。あなたの仕業でしたか」
こんな森の中で岩が空から自然に落ちるとは思えない。
「ええ。困っていたそうだから」
ウィムに見つめられる。
「では、もう拝見したのですね」
「ええ。流したいほどに!」
ウィムはもう話したくてたまらないような顔をしている。
「でも、こういうのは言葉よりも映像を見せた方が面白いと思うの。私の場合、言葉だけしか流せないもの。あなたのメイド服も流せたいのにな~」
「それもご存知で・・・」
「だって、私、風だもん。自然と耳に入るもん」
あざとくウィムは言う。
「もしかして、僕のタタリの解除条件もご存知で」
「残念ながらそれは私でも分からないの。魔女の空間まで風が届かないもの」
「そうですか」
「やっぱりタタリから解放したい?」
「はい」
「どうしようかな。どこまで時間をかけるかも見ものだけどね。それともアキセ君と一緒にやるのもありだし」
それは避けなくては。
「組んだ仲ではないですか」
「ん~そうね~」と指を顔に当て、ウィムは考え込む。
「あなたの解放条件も気になるし、面白そうだから協力してあげる」
「感謝いたします」
イーグスは一旦引く。
アキセから離れたところで、マスクが消え、やっと息が吸えた。どうやら、一時的なものだろう。
マスクの中に口輪が含まれていた。血を吸えず、息を吸えない。しかもイヌの鳴き声しか出せない。
アリスがかけたタタリは、ろくなことではない。ある程度は覚悟していたが、これはこれでかなりの屈辱を身に染みた。それにアキセのバカ笑いを思い出すだけでイラつきが込み上げる。
でもこれはタタリではない。
「イーグス。聞こえるかしら」
直接頭の中にアリスの声がする。
「アリス様・・・」
「あなたの行動力だけはいつもながら感心するわ」
嫌味に聞こえる。
「ジャンヌと約束したのよ。血を吸ったら調教してって」
「それがこれですか・・・」
「どうだったかしら」
「ええ。とても味わえました」と嫌味に返す。
「やったがいがあったわ」とアリスが軽く笑う。
「これはタタリではないですね」
「ええ。タタリだったら、聖女の血を吸って解放しようと思っていたでしょ」
読まれている。
「実はね。ジャンヌには話していないけど、解放する方法があるわよ」
喉から手が出るほど欲しい。
「話してくれますか」
「それは自分で探しなさい」
それっきり切れた。
素直に答えるとは思っていなかったが、声に出してしまった。
難題すぎる。ヒントも全くもらえなかった。
今は状況を確認する。これはタタリではない。聖女の血を吸えば、タタリは解けるはず。それが効かない。心当たりがある。まさかとは思うが、コルンの発明品だろうか。
「なんか面白いことをしてるじゃないの」
声のした方へと向く。
茶髪の中に黄緑が混じっている。髪を二つに結んでいるが、一つは三つ編みに、もう片方はただ結んでいるだけ。緑色の長い袖。胸には布で前に縛っている。短パンをはいている。かざなりの魔女ウィム・シルフだった。
「ウィム様・・・」
「しばらく会っていなかったから寂しかった」
「先ほどの岩。あなたの仕業でしたか」
こんな森の中で岩が空から自然に落ちるとは思えない。
「ええ。困っていたそうだから」
ウィムに見つめられる。
「では、もう拝見したのですね」
「ええ。流したいほどに!」
ウィムはもう話したくてたまらないような顔をしている。
「でも、こういうのは言葉よりも映像を見せた方が面白いと思うの。私の場合、言葉だけしか流せないもの。あなたのメイド服も流せたいのにな~」
「それもご存知で・・・」
「だって、私、風だもん。自然と耳に入るもん」
あざとくウィムは言う。
「もしかして、僕のタタリの解除条件もご存知で」
「残念ながらそれは私でも分からないの。魔女の空間まで風が届かないもの」
「そうですか」
「やっぱりタタリから解放したい?」
「はい」
「どうしようかな。どこまで時間をかけるかも見ものだけどね。それともアキセ君と一緒にやるのもありだし」
それは避けなくては。
「組んだ仲ではないですか」
「ん~そうね~」と指を顔に当て、ウィムは考え込む。
「あなたの解放条件も気になるし、面白そうだから協力してあげる」
「感謝いたします」
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