魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

文字の大きさ
上 下
399 / 648

朱薇の魔女④

しおりを挟む
 屋敷の中に入ってしまった。
 大きい広場だった。大きいガラス窓が割れ、奥には二階に続く階段があった。
 急に音楽が鳴る。ピアノやバイオリン、チェロといった楽器で奏でる。演奏者をよく見えれば、目に正気がない。殺された吸血鬼(ヴァンパイア)だろう。
音楽に合わせるように一斉に死体が襲ってくる。白い炎を放ち、死体を燃やす。だか、また音楽に合わせて死体が現れる。
 何体いるのよ。
「踊れ!」
 ヴェリックが斧を振り回す。
 すぐに距離を取り、白い炎を放つ。
 目の前に死体が飛び出し、白い炎に当たる。ヴェリックが迫ってくる。回し蹴りされる。腕を交差し、衝撃を減らす。背後に死体が赤い剣をもって襲ってくる。足に白い炎を放ちながら、後ろに回し、赤い剣を蹴り、死体に白い炎を当てる。前に向いた時には、ヴェリックが、斧を振り下ろしていた。
 距離が取れない。すぐに白い炎を放とうとした時だった。
 斧に赤い刃が当たり、ヴェリックの手から離れる。さらに赤い刃が雨のように降り、死体に当たっていく。
「邪魔するんじゃねえぞ!」
 ヴェリックは、手に生み出した小さな斧を投げる。その先は階段の上にイーグスだった。
 わざわざ階段の上にいやがって。
イーグスは軽く横に飛び、斧をよける。斧は壁に刺す。
「雑魚が!」とヴェリックは鋭い目つきをする。
 ヴェリンクが視線を向けた瞬間に、ジャンヌは手を伸ばして白い炎を放つ。
 ヴェリンクの前の床から大きい腕が伸び、壁のように白い炎を防がれる。腕を白い炎に包まれ、泥のように崩れていく。
 足に白い炎を噴射し、階段の方に下がる。一旦体制を取る。
「せっかく隙ができましたのに、狙ってくださいよ」
 イーグスが横につく。
「うるさい」
「次もありますので、決めてください」
 イーグスがまた何か仕掛けたのだろうか。
「たく」
 イーグスに言われるのは癪だか、提案に乗る。
 視線を前に向ける。
 目を鋭くするヴェリンクの周りに肉塊になった死体が一つに固まっていく。巨大な腕に。
 あの腕は死体から作られていたのか。
「演奏は終わっていない。さあ!」
 だか、腕から薔薇の棘のように伸び、そのままヴェリンクの頭、体に貫通する。
 あれが、イーグスが言っていたことだろう。
 止まった瞬間に、足に白い炎を噴射し、まっすぐにヴェリンクに飛ぶ。
 ロザリオに白い炎をまとう。
 腕が徐々に崩れていく。ヴェリンクが動けるようになった時には遅く、ロザリオでヴェリンクの腹に刺し、そのまま白い炎を放つ。
 魔女の死と共に音楽は止んだ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

冤罪で追放した男の末路

菜花
ファンタジー
ディアークは参っていた。仲間の一人がディアークを嫌ってるのか、回復魔法を絶対にかけないのだ。命にかかわる嫌がらせをする女はいらんと追放したが、その後冤罪だったと判明し……。カクヨムでも同じ話を投稿しています。

私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。

火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。 王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。 そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。 エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。 それがこの国の終わりの始まりだった。

悪役令嬢は処刑されました

菜花
ファンタジー
王家の命で王太子と婚約したペネロペ。しかしそれは不幸な婚約と言う他なく、最終的にペネロペは冤罪で処刑される。彼女の処刑後の話と、転生後の話。カクヨム様でも投稿しています。

聖女召喚

胸の轟
ファンタジー
召喚は不幸しか生まないので止めましょう。

【完結】そして、誰もいなくなった

杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」 愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。 「触るな!」 だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。 「突き飛ばしたぞ」 「彼が手を上げた」 「誰か衛兵を呼べ!」 騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。 そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。 そして誰もいなくなった。 彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。 これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。 ◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。 3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。 3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました! 4/1、完結しました。全14話。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

1人生活なので自由な生き方を謳歌する

さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。 出来損ないと家族から追い出された。 唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。 これからはひとりで生きていかなくては。 そんな少女も実は、、、 1人の方が気楽に出来るしラッキー これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。

仰っている意味が分かりません

水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか? 常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。 ※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。

処理中です...