393 / 648
魔女狩り将軍④
しおりを挟む
現在。
「あれ。魔女を見たんじゃないですか。それにしてはやけに驚いていますね」
アキセが煽るように言う。
「精神系なタタリは見分けしづらい。聖女だけでは判断できない。けど」
「俺、魔術師なんで、『呪い』の量を調べれば、解かなくでもタタリと判断はできるので、こっそり調べました。いや~隠れて魔術使っているのかと思ったら、本当に魔術を使わないもので楽にできました~」
ジャンヌは呆れるようにため息を吐く。
「おまえは王を薬でおかしくしたんだろ」
アキセは手に持っていた瓶を見せながら言う。
「それは!」
マシューは体を触る。体のどこかに隠していたのだろう。いつの間に盗んだのやら。
「証拠品はしっかり持たないと。見る限りこの瓶に煙を閉じ込めている。凝った方法をしますね~」
よく見れば、瓶の中に白い煙が込めていた。
「乾燥した薬物を火で燃やすのが大半だか。その煙を瓶に閉じ込める。これで、現場で火を使わなくても、蓋を開ければ吸わせることは可能だ」
王と二人で話した時に吸わせたのだろう。
「吸えば、幻覚。精神障害。興奮状態。中毒性も高い。まあ精神をおかしくする品物ではないですか。素人なら簡単に騙せる」
「ぐ・・・」
マシューは悔しがるように口を嚙みしめる。
「潔く観念して。言い訳を訊くつもりはないから」
ジャンヌは鋭い目つきを向ける。
「は~シャルルから話を聞いていたのですか」
マシューはため息を吐きながら言う。
「ええ。話を聞いているだけで怪しさ満々でした。よくある手法なんで。魔女を理由にすれば騙して、金儲けするのも」
「聖女様のおっしゃる通りで。魔女を知らない彼らに一言言うだけで信用してくれますし、退治すると言えば、簡単にお金をいただきました」
「私は魔女狩りまではしないですが。あなたの行いを許すつもりはないので」
ロザリオを出す。
「聖女様は手厳しいようで。で、どうします?」
マシューは開きなおす。
「捏造が分かったところで国民たちの不安は治まりませんよ。本物の魔女が退治しない限りは。けど、ここまで魔女も現れないということは、魔女はそもそもいないかもしれませんね。噂はやはり真に受けないことですね」
「噂を利用してここまでやったでしょうが」
「ええ。とてもやりやすかったですよ。無知で世間体が狭い彼らで。で、ボクを捕まえたところでどうやって、この状況を止めるつもりで」
「大丈夫です。今放送していますから」とアキセは言う。
「は・・・」
余裕ぶっていたマシューは気が抜けたように口が開く。
「俺、天才魔術師なんで。国中に放送するくらいの技術は持ち合わせていますので」
アキセの指飾りが振るう。
天井に陣が浮かぶ。あの陣で放送しているようだ。
「貴様ら!」
その時、王の部屋に騎士が入る。
「マシュー・ホプキンス。おまえを逮捕する」
扉の奥にシャルルも立っていた。
「あれ。魔女を見たんじゃないですか。それにしてはやけに驚いていますね」
アキセが煽るように言う。
「精神系なタタリは見分けしづらい。聖女だけでは判断できない。けど」
「俺、魔術師なんで、『呪い』の量を調べれば、解かなくでもタタリと判断はできるので、こっそり調べました。いや~隠れて魔術使っているのかと思ったら、本当に魔術を使わないもので楽にできました~」
ジャンヌは呆れるようにため息を吐く。
「おまえは王を薬でおかしくしたんだろ」
アキセは手に持っていた瓶を見せながら言う。
「それは!」
マシューは体を触る。体のどこかに隠していたのだろう。いつの間に盗んだのやら。
「証拠品はしっかり持たないと。見る限りこの瓶に煙を閉じ込めている。凝った方法をしますね~」
よく見れば、瓶の中に白い煙が込めていた。
「乾燥した薬物を火で燃やすのが大半だか。その煙を瓶に閉じ込める。これで、現場で火を使わなくても、蓋を開ければ吸わせることは可能だ」
王と二人で話した時に吸わせたのだろう。
「吸えば、幻覚。精神障害。興奮状態。中毒性も高い。まあ精神をおかしくする品物ではないですか。素人なら簡単に騙せる」
「ぐ・・・」
マシューは悔しがるように口を嚙みしめる。
「潔く観念して。言い訳を訊くつもりはないから」
ジャンヌは鋭い目つきを向ける。
「は~シャルルから話を聞いていたのですか」
マシューはため息を吐きながら言う。
「ええ。話を聞いているだけで怪しさ満々でした。よくある手法なんで。魔女を理由にすれば騙して、金儲けするのも」
「聖女様のおっしゃる通りで。魔女を知らない彼らに一言言うだけで信用してくれますし、退治すると言えば、簡単にお金をいただきました」
「私は魔女狩りまではしないですが。あなたの行いを許すつもりはないので」
ロザリオを出す。
「聖女様は手厳しいようで。で、どうします?」
マシューは開きなおす。
「捏造が分かったところで国民たちの不安は治まりませんよ。本物の魔女が退治しない限りは。けど、ここまで魔女も現れないということは、魔女はそもそもいないかもしれませんね。噂はやはり真に受けないことですね」
「噂を利用してここまでやったでしょうが」
「ええ。とてもやりやすかったですよ。無知で世間体が狭い彼らで。で、ボクを捕まえたところでどうやって、この状況を止めるつもりで」
「大丈夫です。今放送していますから」とアキセは言う。
「は・・・」
余裕ぶっていたマシューは気が抜けたように口が開く。
「俺、天才魔術師なんで。国中に放送するくらいの技術は持ち合わせていますので」
アキセの指飾りが振るう。
天井に陣が浮かぶ。あの陣で放送しているようだ。
「貴様ら!」
その時、王の部屋に騎士が入る。
「マシュー・ホプキンス。おまえを逮捕する」
扉の奥にシャルルも立っていた。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
冤罪で追放した男の末路
菜花
ファンタジー
ディアークは参っていた。仲間の一人がディアークを嫌ってるのか、回復魔法を絶対にかけないのだ。命にかかわる嫌がらせをする女はいらんと追放したが、その後冤罪だったと判明し……。カクヨムでも同じ話を投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。
火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。
王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。
そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。
エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。
それがこの国の終わりの始まりだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
悪役令嬢は処刑されました
菜花
ファンタジー
王家の命で王太子と婚約したペネロペ。しかしそれは不幸な婚約と言う他なく、最終的にペネロペは冤罪で処刑される。彼女の処刑後の話と、転生後の話。カクヨム様でも投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
1人生活なので自由な生き方を謳歌する
さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。
出来損ないと家族から追い出された。
唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。
これからはひとりで生きていかなくては。
そんな少女も実は、、、
1人の方が気楽に出来るしラッキー
これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
仰っている意味が分かりません
水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか?
常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。
※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる