魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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言霊の魔女⑤

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 イロハはジャンヌに顔を蹴られ、部屋の奥まで飛ばされる。
「大丈夫?」
 ジャンヌが何もなかったように声をかけられる。
「本当に容赦しないな・・・」
「いや、嫌そうに押し倒されていたから」
 確かにそうだか。
「分かってるって。魔女が苦手なことも。女をたぶらかすような男じゃないってことに」
 妙に圧を感じる。
 今度は奥から槍が飛んできた。ジャンヌはよけ、槍はそのまま外へと飛んでいく。
「聖女!恋にまで突っかかるわけ!」
 イロハが戻ってきた。
「拉致監禁している時点でアウトよ!」
「彼が照れて逃げるからよ!」
 照れていない。
「あなたはイル様とはどういう関係なんですの!」
「頼れる男」とジャンヌはすぐに答える。
 なんて言われるかと思ったが、それは変わらないんだな。
「じゃあ、別に恋人ではないということですね」と嬉しそうにイロハは言う。
「じゃなくても本人嫌がってるじゃないの!」
「そんなことはありません。出会ったばかりで戸惑っているんです」
「あんたが魔女だからでしょうか!」
「なんですの。差別ですか」
「差別も何も魔女は、極端で犯罪レベルに起こすでしょうが!」
「そんな魔女と一緒にしないでくださる。偏見を持ってはいけませんわよ」
プチっと切れた音がした。
「魔女に一番言われたくないわ!」
 怒声の入った声で切れたジャンヌはロザリオを持って、イロハに突っ込む。
「泥棒女に言われたくないですわ!」
 イロハは長い袖の中から槍を取り出し、ジャンヌに突っ込む。
 ロザリオと槍で受け止める。女同士の戦いが増していく。
 イルも怖気づいて引いてしまう。
「ワン!」
 アキセが現れたかと思いきや、あの子犬だった。
「まさか。おまえが連れてきたのか」
「うん!」
 子犬が大きくうなずく。
 よく見れば、指輪を持っている。
 もしかしてジャンヌが言っていた指輪だろうか。
 その時物音。その先にはアキセ・リーガンだった。
「またおまえか!」
 アキセに怒鳴る。
 その時、子犬が急に走り出す。アキセも子犬を追いかける。
「おい!」
 アキセを追いかけようとしたが、ウサギとイヌのぬいぐるみが獣になって追いかける。
 ネコとイタチのぬいぐるみも獣に変化し、立ち塞がる。
「下がれ」「生ごみ臭い」
 プチ。
「おまえが『臭い』と言ったのは!」
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