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地下の魔女④
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昨日仕掛けたのが裏目に出るとは。ジャンヌを小さくしていじる計画を考えていたのに。
コルンの発明品『大きさ調整ライト』。ダイヤル次第で小さくも大きくもなる。ただ今回は少し欠陥のようで、効果が出るまで時間がかかる。
だか、もうすぐ。
「ねえ」
玉座に座っていたアリスから声を掛けられる。
「聖女ちゃんとはお知り合いでしょ。だったら、小さくなった理由知っているのかな。お兄さん」
探っている。
「さあ。知りません」
「そうなの。魔女の力ではできないはずよ。『呪い』は『光』に浄化されるから。なのに、どうして小さくなったのかしらね」
「不思議ですね」
答えたら面倒くさくなる。
「話してくれたら、聖女ちゃんを助けてあげるけど」
「魔女って純粋に約束守ったところ見たことないんですよね」
「じゃあ、やめた!あとでじっくり遊んでやる」とアリスがチェスに視線を向く。
あとが怖い。何をされるのやら。
それにしてもジャンヌはなんとか持ち堪えている。駒を壊しても、また駒が再構成し、攻撃してくる。『光』の消耗を狙っている。これ以上時間をかけたら、アリスを殺せなくなる。
『呪い』を使っている魔術ならアリスに気づかれる。なら。
その時、マッドハッターが動く。鳥籠の格子が自ら広げ、アキセの手に杖で押し潰す。
「ぐ!」
手に激痛が走る。
「何をするおつもりで?」
マッドハッターはさらに杖で手を押しつぶす。
「察しがよろしいようで・・・ロリコンが・・・」
「マッドハッター」
アリスが振り向かずにマッドハッターに声をかける。
「せっかくのゲームを止められるところでしたので」
「後で遊ぶのよ。殺さないで」
アリスは振り向きもせず、口調強めに言う。
「承知しました」と言いながら左手も押しつぶされる。
このロリコン変質者が。
「これで邪魔されないと思いますので、もうしません」
マッドハッターは鳥籠から出る。
両腕を押しつぶされた。指を動かすたびにジンジンと痛む。これでは道具を持てない。だか、あれもそろそろ。
「ん?」
アリスが急に見上げた瞬間だった。
パンと割れた音がしたと思えば、無数の黒い刃が雨のように降ってくる。アリスや使い魔たちは咄嗟に避ける。
次々に割れた音が続き、無数の黒い刃が降ってくる。
アキセが事前に仕掛けたコルンの発明品『はじけとべ風船爆弾』が発動した。
見た目は透明な風船だか、空気に触れれば、自動に膨らむ。割れ切った瞬間に刃を飛ばす発明品。
『呪い』を使う魔術を使えば、魔女に気づかれる。この爆弾なら周囲から見えず、膨らむまで時間がかかるから、いくつもこっそり召喚した。
刃が鳥籠を壊していく。格子も壊し、鎖も千切れる。手が自由になったことで指飾りを手に召喚する。痛みはするが、切るくらいならできる。横一線に切り、上下に壁を生み出す。
簡易な壁ができる簡易式壁創製封印魔術を発動する。カースネロに直接記号を描き、指飾りにはめれば、一線引いて簡単に壁を生み出す仕組み。
生み出した壁が刃の攻撃を防ぐ。
魔術を発動しながらアキセは鳥籠から飛び出す。
混乱している隙にチェス盤に向かうが、攻撃が止んだ。『はじけとべ風船爆弾』が切れた。
その時、横腹に衝撃がする。
それはマッドハッターが蹴りを入れたからだった。
飛ばされ、壁に当たる。
すぐに顔を上げれば、目の前にアリスがいた。殺意のある目つきをするアリスが木槌を振り下ろそうとした時だった。
アリスの背後から白い炎が迫ってくる。
ビルやドードーがアリスの背後に回る。白い炎に包まれ、消えていく。
「ご無事で」
マッドハッターがアリスの元へと駆け寄る。
アリスはマッドハッターを向かずにチェス盤に視線を向く。
剣を持ったハートの男と女がチェス盤に向かっていた。
「邪魔すんじゃねぇぞ!」
その時、ハートの女と男は白い炎に包まれる。
やっと効力が切れたか。
チェス盤から体を白い炎に包まれたジャンヌが大きくなってにらみつける。
「ぶっ殺してやる!アリス!」とドスの入った声で怒鳴る。
つーか。怖い。
「露出魔が!地下(ちか)の魔女アリス・ワンダーランドが相手してやるわよ!」
アリスは木槌を構えて突っ込む。
「変態が用意した服よりマシだ!」
ジャンヌは白い炎を剣に固め、アリスに突っ込む。
コルンの発明品『大きさ調整ライト』。ダイヤル次第で小さくも大きくもなる。ただ今回は少し欠陥のようで、効果が出るまで時間がかかる。
だか、もうすぐ。
「ねえ」
玉座に座っていたアリスから声を掛けられる。
「聖女ちゃんとはお知り合いでしょ。だったら、小さくなった理由知っているのかな。お兄さん」
探っている。
「さあ。知りません」
「そうなの。魔女の力ではできないはずよ。『呪い』は『光』に浄化されるから。なのに、どうして小さくなったのかしらね」
「不思議ですね」
答えたら面倒くさくなる。
「話してくれたら、聖女ちゃんを助けてあげるけど」
「魔女って純粋に約束守ったところ見たことないんですよね」
「じゃあ、やめた!あとでじっくり遊んでやる」とアリスがチェスに視線を向く。
あとが怖い。何をされるのやら。
それにしてもジャンヌはなんとか持ち堪えている。駒を壊しても、また駒が再構成し、攻撃してくる。『光』の消耗を狙っている。これ以上時間をかけたら、アリスを殺せなくなる。
『呪い』を使っている魔術ならアリスに気づかれる。なら。
その時、マッドハッターが動く。鳥籠の格子が自ら広げ、アキセの手に杖で押し潰す。
「ぐ!」
手に激痛が走る。
「何をするおつもりで?」
マッドハッターはさらに杖で手を押しつぶす。
「察しがよろしいようで・・・ロリコンが・・・」
「マッドハッター」
アリスが振り向かずにマッドハッターに声をかける。
「せっかくのゲームを止められるところでしたので」
「後で遊ぶのよ。殺さないで」
アリスは振り向きもせず、口調強めに言う。
「承知しました」と言いながら左手も押しつぶされる。
このロリコン変質者が。
「これで邪魔されないと思いますので、もうしません」
マッドハッターは鳥籠から出る。
両腕を押しつぶされた。指を動かすたびにジンジンと痛む。これでは道具を持てない。だか、あれもそろそろ。
「ん?」
アリスが急に見上げた瞬間だった。
パンと割れた音がしたと思えば、無数の黒い刃が雨のように降ってくる。アリスや使い魔たちは咄嗟に避ける。
次々に割れた音が続き、無数の黒い刃が降ってくる。
アキセが事前に仕掛けたコルンの発明品『はじけとべ風船爆弾』が発動した。
見た目は透明な風船だか、空気に触れれば、自動に膨らむ。割れ切った瞬間に刃を飛ばす発明品。
『呪い』を使う魔術を使えば、魔女に気づかれる。この爆弾なら周囲から見えず、膨らむまで時間がかかるから、いくつもこっそり召喚した。
刃が鳥籠を壊していく。格子も壊し、鎖も千切れる。手が自由になったことで指飾りを手に召喚する。痛みはするが、切るくらいならできる。横一線に切り、上下に壁を生み出す。
簡易な壁ができる簡易式壁創製封印魔術を発動する。カースネロに直接記号を描き、指飾りにはめれば、一線引いて簡単に壁を生み出す仕組み。
生み出した壁が刃の攻撃を防ぐ。
魔術を発動しながらアキセは鳥籠から飛び出す。
混乱している隙にチェス盤に向かうが、攻撃が止んだ。『はじけとべ風船爆弾』が切れた。
その時、横腹に衝撃がする。
それはマッドハッターが蹴りを入れたからだった。
飛ばされ、壁に当たる。
すぐに顔を上げれば、目の前にアリスがいた。殺意のある目つきをするアリスが木槌を振り下ろそうとした時だった。
アリスの背後から白い炎が迫ってくる。
ビルやドードーがアリスの背後に回る。白い炎に包まれ、消えていく。
「ご無事で」
マッドハッターがアリスの元へと駆け寄る。
アリスはマッドハッターを向かずにチェス盤に視線を向く。
剣を持ったハートの男と女がチェス盤に向かっていた。
「邪魔すんじゃねぇぞ!」
その時、ハートの女と男は白い炎に包まれる。
やっと効力が切れたか。
チェス盤から体を白い炎に包まれたジャンヌが大きくなってにらみつける。
「ぶっ殺してやる!アリス!」とドスの入った声で怒鳴る。
つーか。怖い。
「露出魔が!地下(ちか)の魔女アリス・ワンダーランドが相手してやるわよ!」
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