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譜曲の魔女①
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ラ~ラララ~
ジャンヌは森の中で歌声が響いた。
綺麗な歌声だった。
歌声を辿っていけば、そばかすで茶髪の少女がとても気持ちよさそうに歌っている。
少女と目が合ってしまう。
「ごめん。聞こえちゃったから・・・」
少女は、顔を赤くなってその場から去る。
訊いてほしくなかったかな。
今度は男が現れた。茶髪の美男で貴族の格好をしている。
こんな森の中で貴族がいるだろうか。
だか、男は何も言わずに去ってしまった。
「何よ。次から次へと」と頭をかきながら言う。
国に着いた途端に、城に連行された。
――もうこのパターンは飽きたぞ。
玉座に王が座っており、その横にさっき会った男がいた。
「ダリウス。こんな時にワシまで呼んでどうした?」
「父上。この方と結婚をします」
一瞬理解ができなかった。さっき会ったばかりでしかも話したこともないのに急に結婚。
「急にどうした。おまえには」
「この方の歌を訊いて決めました」
もしかして、あの歌がジャンヌだと思っているのか。
「あれは・・・」
「決めたことなので、私の書斎に連れてこい」
ダリウスはこの場から去る。
「ダリウス!」
また使用人に連行される。
書斎に連行された。
「おまえたちは下がれ。あとラウラを呼んでくれ」
使用人たちは下がる。書斎は二人だけになった。
「どういうことよ」
一番に訊いた。
「まず、名前を訊きたい」
「そっちから名乗ってくれない」
「俺はダリウス。この国の王子だ」
聖女は伏せておくか。
「ジャンヌよ」
「言いたいことは多くあるだろうが、今は忙しい。詳しいことは今夜話す」
「今すぐに話をしたいんだけど」
呼び出しておいて後回し。
「悪いな」
「悪いと思っているなら、婚約破棄してくださる。すぐできるでしょ」
「それはできない」
その気はないようだ。
「あと、あの歌は私じゃないから。その子と結婚してくれない」
「他にいたのか」
「いたのよ。すぐにどっかに行ったけど」
「言い訳か」
「だったら、本人を見つけたら破棄してくれるかしら」
「いるなら、破棄してやる」
絶対に見つけやる。どんな事情を持っていても。
その時、扉にノック音がした。
「ただいま、ラウラが着きました」
女の声。
「入れ」
扉を開ければ、メイド姿になっているが、あの時歌っていたそばかすの少女だった。
お互い目が合い、固まる。
「彼女に世話を任せる」
ピューと風のようにラウラは逃げるので、そのまま追いかける。
ジャンヌは森の中で歌声が響いた。
綺麗な歌声だった。
歌声を辿っていけば、そばかすで茶髪の少女がとても気持ちよさそうに歌っている。
少女と目が合ってしまう。
「ごめん。聞こえちゃったから・・・」
少女は、顔を赤くなってその場から去る。
訊いてほしくなかったかな。
今度は男が現れた。茶髪の美男で貴族の格好をしている。
こんな森の中で貴族がいるだろうか。
だか、男は何も言わずに去ってしまった。
「何よ。次から次へと」と頭をかきながら言う。
国に着いた途端に、城に連行された。
――もうこのパターンは飽きたぞ。
玉座に王が座っており、その横にさっき会った男がいた。
「ダリウス。こんな時にワシまで呼んでどうした?」
「父上。この方と結婚をします」
一瞬理解ができなかった。さっき会ったばかりでしかも話したこともないのに急に結婚。
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「この方の歌を訊いて決めました」
もしかして、あの歌がジャンヌだと思っているのか。
「あれは・・・」
「決めたことなので、私の書斎に連れてこい」
ダリウスはこの場から去る。
「ダリウス!」
また使用人に連行される。
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「おまえたちは下がれ。あとラウラを呼んでくれ」
使用人たちは下がる。書斎は二人だけになった。
「どういうことよ」
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「まず、名前を訊きたい」
「そっちから名乗ってくれない」
「俺はダリウス。この国の王子だ」
聖女は伏せておくか。
「ジャンヌよ」
「言いたいことは多くあるだろうが、今は忙しい。詳しいことは今夜話す」
「今すぐに話をしたいんだけど」
呼び出しておいて後回し。
「悪いな」
「悪いと思っているなら、婚約破棄してくださる。すぐできるでしょ」
「それはできない」
その気はないようだ。
「あと、あの歌は私じゃないから。その子と結婚してくれない」
「他にいたのか」
「いたのよ。すぐにどっかに行ったけど」
「言い訳か」
「だったら、本人を見つけたら破棄してくれるかしら」
「いるなら、破棄してやる」
絶対に見つけやる。どんな事情を持っていても。
その時、扉にノック音がした。
「ただいま、ラウラが着きました」
女の声。
「入れ」
扉を開ければ、メイド姿になっているが、あの時歌っていたそばかすの少女だった。
お互い目が合い、固まる。
「彼女に世話を任せる」
ピューと風のようにラウラは逃げるので、そのまま追いかける。
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