360 / 642
迷鏡の魔女③
しおりを挟む
ジャンヌとヒミコは大きくなったさんちゃんの上に乗っていた。横にいっちゃんとにっちゃんが並んで飛んでいる。
よく見れば、足の数が1本、2本、3本とそれぞれ違っている。ヒミコはその足の数を見て決めたそうだ。
「私以外にもこの世界に迷った聖女もいるんですか」
「たまにね。聖女とは限らないけど」
「聖女以外にも」
「聖女はもちろん助けるけど。まあ気晴らしにね。助けたりしているのよ」
破片が顔の横にかすった。
背後を振り向けば、最初に襲ってきたドラゴンの上に少女が乗っていた。
「詩鏡(しかがみ)の魔女アリス・ミラーレンブランから逃げると思うな!」
アリスは怒鳴る。
「他にやることないのかしら」
振り向いたヒミコは呆れて言う。
「悪いけど、ジャンヌはこのまま出口に向かいなさい」
「ヒミコさんは?」
「あいつを殺す。あなたを現実に返すのが優先だから」
横に並んでいたいっちゃんとにっちゃんは横に回転しながら、ガラス玉がついた杖となってヒミコに掴み、大きい黒い翼になってヒミコの背中につく。
「さんちゃん、お願いね!」
ヒミコは降り、アリスへと向かう。
「あれね」
さんちゃんに連れられた先には人が通れるほどの大きい鏡が浮いている。
あの鏡に入れば、現実に戻れる。
その時、巨大な足がさんちゃんを横から蹴る。その衝撃でさんちゃんと離れてしまう。
ニトクリスか。素直に返してくれないか。
目の前に巨大な手が迫ってくる。すぐに足に白い炎を噴射し、上がるも上にも無数の手が伸びていく。
ロザリオで無数の白い結晶を飛ばす。
伸ばした手を通り、奥の鏡を割る。手は消えるが、今度は破片が迫ってくる。
咄嗟にロザリオで振りながら弾く。
払えばと思えば、ヒミコと戦っているはずのアリスが剣を降り下ろそうとする。
ロザリオで剣を受け止め、距離を取る。
遠くでよく見えなかったが、アリスは銀髪。紫色の瞳。銀色の短い裾のドレスを着た少女だった。
もしかして目的はこっち。
ドラゴンがいないと考えるとヒミコと相手しているのか。
「殺してやる!」
「怖いからって私に向けるんじゃねえぞ!」
背後から首と腕、足が掴まれる。さらに背中に何かが乗っかり、肩を噛まれる。動けない隙を狙って、アリスが剣を伸ばして、迫ってくる。
体中に白い炎を纏う。体に絡まれたモノが離れた。すぐに上に上がるも、目の前に巨大な鳥の足が迫ってくる。
その時、黒い羽が銃弾のように迫り、目の前の鳥を遠ざかる。
あの黒い羽は、さんちゃんのモノだった。
左から来るさんちゃんの巨大な3本の足にすがり、距離を取る。
「助かった」
さんちゃんを軽く触る。
相手の正体を確かめる。
アリスのそばに2体。
4本足。背中にクモのように手の足が8本。クマのような顔で口を裂け、ノコギリのような牙が見える灰色の獣。肩を噛んだのは、あの獣だろう。
もう一体は、鋭い嘴。首と足、尾羽が長い。人のような手に腕が大きい羽になっている赤い鳥だった。さんちゃんが払った鳥だろう。
これ以上使い魔がいないことを祈りたい。
出口となる鏡が奥にある。
その時、アリスは奥に飛ぶ。出口の鏡に向かって。
「まず!」
アリスは出口を壊しに行こうとしている。
すぐに追いかければと思えば、足を大きく振られ、さんちゃんと離れる。巨大な手がさんちゃんを追いかける。
さらにアリスの使い魔たちに迫る。
ロザリオに白い炎を纏い、白い炎の波を飛ばす。灰色の獣が自身から白い炎の波にぶつかってくる。
赤い鳥が足を伸ばして迫ってくる。足に白い炎を噴射して避け、アリスに向かう。
アリスはもう出口の鏡の前までいた。
すぐにロザリオで白い炎を飛ばそうとしたが、背後から両肩に掴まれた。鋭い爪が肩に食い込む。肩を見れば、鳥の足。上を向けば、鋭い嘴を刺そうとしている。ロザリオを赤い鳥に刺し、白い炎を注ぐ。
赤い鳥は白い炎に包まれ、足を離す。
視線を向かえば、アリスが出口の鏡に剣を振り下ろす。
よく見れば、足の数が1本、2本、3本とそれぞれ違っている。ヒミコはその足の数を見て決めたそうだ。
「私以外にもこの世界に迷った聖女もいるんですか」
「たまにね。聖女とは限らないけど」
「聖女以外にも」
「聖女はもちろん助けるけど。まあ気晴らしにね。助けたりしているのよ」
破片が顔の横にかすった。
背後を振り向けば、最初に襲ってきたドラゴンの上に少女が乗っていた。
「詩鏡(しかがみ)の魔女アリス・ミラーレンブランから逃げると思うな!」
アリスは怒鳴る。
「他にやることないのかしら」
振り向いたヒミコは呆れて言う。
「悪いけど、ジャンヌはこのまま出口に向かいなさい」
「ヒミコさんは?」
「あいつを殺す。あなたを現実に返すのが優先だから」
横に並んでいたいっちゃんとにっちゃんは横に回転しながら、ガラス玉がついた杖となってヒミコに掴み、大きい黒い翼になってヒミコの背中につく。
「さんちゃん、お願いね!」
ヒミコは降り、アリスへと向かう。
「あれね」
さんちゃんに連れられた先には人が通れるほどの大きい鏡が浮いている。
あの鏡に入れば、現実に戻れる。
その時、巨大な足がさんちゃんを横から蹴る。その衝撃でさんちゃんと離れてしまう。
ニトクリスか。素直に返してくれないか。
目の前に巨大な手が迫ってくる。すぐに足に白い炎を噴射し、上がるも上にも無数の手が伸びていく。
ロザリオで無数の白い結晶を飛ばす。
伸ばした手を通り、奥の鏡を割る。手は消えるが、今度は破片が迫ってくる。
咄嗟にロザリオで振りながら弾く。
払えばと思えば、ヒミコと戦っているはずのアリスが剣を降り下ろそうとする。
ロザリオで剣を受け止め、距離を取る。
遠くでよく見えなかったが、アリスは銀髪。紫色の瞳。銀色の短い裾のドレスを着た少女だった。
もしかして目的はこっち。
ドラゴンがいないと考えるとヒミコと相手しているのか。
「殺してやる!」
「怖いからって私に向けるんじゃねえぞ!」
背後から首と腕、足が掴まれる。さらに背中に何かが乗っかり、肩を噛まれる。動けない隙を狙って、アリスが剣を伸ばして、迫ってくる。
体中に白い炎を纏う。体に絡まれたモノが離れた。すぐに上に上がるも、目の前に巨大な鳥の足が迫ってくる。
その時、黒い羽が銃弾のように迫り、目の前の鳥を遠ざかる。
あの黒い羽は、さんちゃんのモノだった。
左から来るさんちゃんの巨大な3本の足にすがり、距離を取る。
「助かった」
さんちゃんを軽く触る。
相手の正体を確かめる。
アリスのそばに2体。
4本足。背中にクモのように手の足が8本。クマのような顔で口を裂け、ノコギリのような牙が見える灰色の獣。肩を噛んだのは、あの獣だろう。
もう一体は、鋭い嘴。首と足、尾羽が長い。人のような手に腕が大きい羽になっている赤い鳥だった。さんちゃんが払った鳥だろう。
これ以上使い魔がいないことを祈りたい。
出口となる鏡が奥にある。
その時、アリスは奥に飛ぶ。出口の鏡に向かって。
「まず!」
アリスは出口を壊しに行こうとしている。
すぐに追いかければと思えば、足を大きく振られ、さんちゃんと離れる。巨大な手がさんちゃんを追いかける。
さらにアリスの使い魔たちに迫る。
ロザリオに白い炎を纏い、白い炎の波を飛ばす。灰色の獣が自身から白い炎の波にぶつかってくる。
赤い鳥が足を伸ばして迫ってくる。足に白い炎を噴射して避け、アリスに向かう。
アリスはもう出口の鏡の前までいた。
すぐにロザリオで白い炎を飛ばそうとしたが、背後から両肩に掴まれた。鋭い爪が肩に食い込む。肩を見れば、鳥の足。上を向けば、鋭い嘴を刺そうとしている。ロザリオを赤い鳥に刺し、白い炎を注ぐ。
赤い鳥は白い炎に包まれ、足を離す。
視線を向かえば、アリスが出口の鏡に剣を振り下ろす。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。
火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。
王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。
そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。
エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。
それがこの国の終わりの始まりだった。
旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします
暖夢 由
恋愛
「キュリール様、私カダール様と心から愛し合っておりますの。
いつ子を身ごもってもおかしくはありません。いえ、お腹には既に育っているかもしれません。
子を身ごもってからでは遅いのです。
あんな素晴らしい男性、キュリール様が手放せないのも頷けますが、カダール様のことを想うならどうか潔く身を引いてカダール様の幸せを願ってあげてください」
伯爵家にいきなりやってきた女(ナリッタ)はそういった。
女は小説を読むかのように旦那とのなれそめから今までの話を話した。
妻であるキュリールは彼女の存在を今日まで知らなかった。
だから恥じた。
「こんなにもあの人のことを愛してくださる方がいるのにそれを阻んでいたなんて私はなんて野暮なのかしら。
本当に恥ずかしい…
私は潔く身を引くことにしますわ………」
そう言って女がサインした書類を神殿にもっていくことにする。
「私もあなたたちの真実の愛の前には敵いそうもないもの。
私は急ぎ神殿にこの書類を持っていくわ。
手続きが終わり次第、あの人にあなたの元へ向かうように伝えるわ。
そうだわ、私からお祝いとしていくつか宝石をプレゼントさせて頂きたいの。リボンもお付けしていいかしら。可愛らしいあなたととてもよく合うと思うの」
こうして一つの夫婦の姿が形を変えていく。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
Heroic〜龍の力を宿す者〜
Ruto
ファンタジー
少年は絶望と言う名の闇の中で希望と言う名の光を見た
光に魅せられた少年は手を伸ばす
大切な人を守るため、己が信念を貫くため、彼は力を手に入れる
友と競い、敵と戦い、遠い目標を目指し歩く
果たしてその進む道は
王道か、覇道か、修羅道か
その身に宿した龍の力と圧倒的な才は、彼に何を成させるのか
ここに綴られるは、とある英雄の軌跡
<旧タイトル:冒険者に助けられた少年は、やがて英雄になる>
<この作品は「小説家になろう」にも掲載しています>
側妃に追放された王太子
基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」
正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。
そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。
王の代理が側妃など異例の出来事だ。
「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」
王太子は息を吐いた。
「それが国のためなら」
貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。
無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。
公爵閣下に嫁いだら、「お前を愛することはない。その代わり好きにしろ」と言われたので好き勝手にさせていただきます
柴野
恋愛
伯爵令嬢エメリィ・フォンストは、親に売られるようにして公爵閣下に嫁いだ。
社交界では悪女と名高かったものの、それは全て妹の仕業で実はいわゆるドアマットヒロインなエメリィ。これでようやく幸せになると思っていたのに、彼女は夫となる人に「お前を愛することはない。代わりに好きにしろ」と言われたので、言われた通り好き勝手にすることにした――。
※本編&後日談ともに完結済み。ハッピーエンドです。
※主人公がめちゃくちゃ腹黒になりますので要注意!
※小説家になろう、カクヨムにも重複投稿しています。
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
父が再婚してから酷い目に遭いましたが、最終的に皆罪人にして差し上げました
四季
恋愛
母親が亡くなり、父親に新しい妻が来てからというもの、私はいじめられ続けた。
だが、ただいじめられただけで終わる私ではない……!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる