魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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茜子の魔女④

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 クソ。これいつまで続くんだ。
 アキセは地面に伏せていた。
「言ってくださいませ」とベリルと吸血鬼(ヴァンパイア)たちにせがまれる。
 絶対に言うもんか。
 指輪もないから、何もできない。どうすれば。
 その時だった。
「みんな~来たよ~」
 森から幼女の吸血鬼(ヴァンパイア)に引っ張られ、ルシアに押されたイーグスが姿を見せる。
 ざまあ。
「きゃー」
 一斉に幼女たちが、アキセを飛び越えて、イーグスに飛びつく。
――俺の時より反応が違うのが妙に悔しい。
「イーグス様!お待ちしておりました!」
 ベリルが感激に言う。
「初めまして。ベリル様」
 イーグスが微妙に顔を引きずっている。
「さあさ!こちらへ」
 ベリルがイーグスを引っ張る。
「折角のお誘いですが、申し訳ございません。ブランシェ様をお送りしなければいけないので」
「まだ帰りたくないです!」
 イーグスの横にいるブランシェがベリルと目が合う。
 よく見れば、ブランシェが鏡と指輪を持っている。
――何、面倒ごとを増やしてやがる。
「あら、あなたを呼んだかしら」
 あれ。
「え?だって誘ったでしょ・・・」
「あ~そうだったね。ごめんね。ブランシェ」
 空気が怪しくなってきた。
「何をしているの」
「さあね」
 無視される。
「こらこらいじめはダメだよ」
 ルシアが抑える。
「そんなことをしてませんよ。そもそも遅れてきたのが悪いでしょ。しかも1時間も」
 待って。そんなに経っていたのか。
「だって、この時間に来てって・・・」
「あら、私そう言ったかしら」
 意地でも認めないつもりだ。
「それに何よ。これ」
 ベリルは、ブランシェから鏡と指輪を奪う。
「返してください!」
「見ているだけでしょ。まさか、イーグス様から頂いたのかしら」
 ブランシェの目つきが鋭くなった。
「え~と、元々はイーグス様がお持ちでした・・・」
 俺の。
「なんであなたがイーグス様から頂いているのよ」
「それは・・・」
 なんかこのままだと陰湿ないじめに発達するぞ。
 その時だった。
「ここなの」
「そうっすよ」
 まだ別の声が二人も。しかも訊いたことがある。
 声をした方へ向けば、見たことのある二人だった。
 ピンクの瞳。ピンク色のウェーブをかかった長い髪。腕には透き通ったアームカバー。肩を出し、胸から広げた長い裾で足を見せている幼女。
 もう一人は、布で巻いた頭。袖がなく、短い裾。腰に帯を巻き、青黒の衣を留めている。黒髪、緑色の目の幼女。
 この二人は知っている。魅稚(みち)の魔女ラピス・フィールと速(そく)忍(にん)の魔女ヤオトメ・クノだった。
 もう次から次へと。
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