魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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茜子の魔女②

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「ルシアちゃん!待ってました!」
 腕から離し、手を合わせてベリルは言う。
 ルシアと知り合いなのか。
「いっぱい持ってきたからね」
 ルシアが指を鳴らすと、山積みになった本が現れた。よく見れば、本の表紙が絵と読めない文字が描いている。以前に見たことがあるマンガというものか。
「わーい!」
 幼女たちは本にしがみつく。
「ベリルちゃんも・・・」
 ルシアと目が合う。
――ヤバい。前回、痛めつけたばっかりというのに。やり返しされる。
「あっれ~」
 ルシアが近づいて来る。
「まさか君がいるとは思わなかった」
「お知り合いですの」
「うん!」
 ルシアは大きく頷く。
「ベリルちゃんが言っていたのって、この子だったの?」
「違いますよ~イーグス様ですわ。招待状届いているはずなのだけど」
「あ!でもこの子もお勧めするよ。今回の口説き大会にぴったり」
「え!?今なんて!」
「私はイーグス様から言われたいんです。『君の瞳は血のように赤く食べたい』って」
 何、その発言。淫魔でもそんな口説きはしない。
 あまりにもの寒い発言に鳥肌を立った。
「視野を広げよう。もっといい男はいるよ」
「ダメです。あの言葉はイーグス様がいいんですの。他にも言ってほしいものはありますの」
「じゃあ、俺は本人ではないので・・・」
 逃げよう。手の傷も手当したい。
 また腕を掴まれる。
「でも、他のセリフなら言ってくださる」
 狙った獲物は逃がさないようだ。
「ルシア!何入れ知恵したんだ!」
「え~寂しいベリルちゃんにマンガを読ませたら、面白いって。それで、ベリルちゃんが皆でやりたいっていうから、皆で口説き大会を開くことになったんだ」
「てめえか!」
 一番に怒鳴った。
「え~と、これで全員?」
 ルシアはアキセを無視する。
「あとゲストだけですわよ。みんな決まった~」
 ベリルは他の吸血鬼(ヴァンパイア)に声かける。
「これも素敵ですわ~『愛してるって叫びたーい』とか」
「こちらもいいわよ。『僕は君に出会うために生まれた』とか」
 次々に吸血鬼(ヴァンパイア)たちは、口説き文句を注文する。
 どれも発言が恥ずかしい。
「折角ですので、この方に言ってもらいましょう」
「わ~い!」
 幼女たちは声を上げる。
「う・・・」
 肩を掴まれる。
「君、得意でしょ」
 悪意のある笑顔でルシアは言う。
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