魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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再現された⑥

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 アキセは森の中にいた。
「これで元に戻るはず・・・」
 コルンの発明品の一つ『遡り香水』。
 見た目は、容器に4枚のダイヤルと小さなボタンがついている金色に輝く四角の香水瓶。
 24時間までしか戻れないが、水を補充するだけで何度も使える。
 6枚のダイヤルで設定した時間帯にボタンを押せば設定し、香水をかければ、その時間帯にまで体が戻れる。
つまり、子供になる前までに時間を巻き戻せば、元に戻るという。今までの怪我もこれで戻れた。
時間を12時間前に設定する。自身に香水をかける。
 体が大人に戻っていく。
「元に戻った・・・」
 アキセは安堵の溜息を吐く。
 大人に戻れば、魔力も使える。ジャンヌの効能も取れる。
 『再現お年玉』は、時間経過で元に戻れるが、それは個人差による。いつ戻れるか分からない。
 けど、もう少し幼いジャンヌを堪能してからにしようか。
「なんだ。普通に戻れたのね」
 ウィムの声だった。
 アキセは銃を召喚し、ウィムに向けるが、ウィムの腕の中に幼いジャンヌがいた。
「どこにいったと思えば・・・」
「この子を連れてきたんだけど。大好きな彼女を」
 ウィムはジャンヌを抱いて、イタズラな笑みを見せる。
「どうするつもりだ?俺を逃がして指輪までも返して」
「え~助けたつもりなんだけどな」
 絶対何か企んでいる。
「だったら、ジャンヌを離してさっさと消えろ」
「助けてあげたセリフがそれ。ふん」
 ウィムはジャンヌを落とし、風と鈴の音と共に消える。
 素直に消えた。まだ油断はできない。とりあえずジャンヌを連れて離れよう。
 アキセは怯えて動かないでいるジャンヌの元へと寄ろうとした時だった。
「えい!」と突然現れたウィムに何かかけられる。
「う!何を!」
 顔を上げれば、ウィムの手にポンプ式の香水瓶を持っていた。
 その時、急に膝をつく。興奮する。体が熱い。息が乱れる。
「よかった。念のためにもってきて」
 ウィムは言う。
「君さ。ロリコン疑惑あったでしょ。だからはっきりしようって。ロリコンに」
「俺はロリコンじゃない!」
 アキセが声を上げる。
「それもコルンからだろう・・・」
「うん!」
 ウィムが大きく頷く。
「確か。ロリコン香水っていってね。かければロリコンになれるって。君に使うっていったらコルンからもらった」
――なんつーものを作ったんだ。コルン。
 ダメだ。抑え付けられない。見たらやってしまう。
 アキセは、ジャンヌと視線を合わせないように地面に伏せる。すぐに魔力で効能を抜き取らなくては。
「何。視線をそらそうとしているの」
 ウィムに足で腕を抑えられ、頭を掴まれる。
「ダメじゃないの」
 無理やり顔を上げさせる。
「このアマ・・・」
 まずい。ジャンヌと目が合う。一気に興奮が高まる。抑えられない。
 アキセはジャンヌを押し倒す。
「う・・・」
 ジャンヌは怯える。
 ロリコンじゃない。幼女には興味がない。やるならジャンヌを元に戻してからやりたい。
 このままではやってしまう。
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