魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

文字の大きさ
上 下
321 / 648

蜜鳥の魔女④

しおりを挟む
 アキセが気絶している内に指輪を取ろうとしたが、指輪がなかった。もしかしたら、あの女が盗んだかもしれない。あの女を探さなくてはと思った矢先にアキセは消えた。アキセも指輪を探しに行ったんだろう。
レオンの精霊術を使ってアキセを探していた。指輪の行方を知っているのがアキセだからだ。
 レオンの精霊術で4つの石を動かしている。以前も使われた術だった。一つは動かず、一つの石が二つの石を追いかけている。
「え~と、魔女3人に一人」
「魔女が3人?」
「ウィムにさっきの女。知らない魔女」
 一度に3人も魔女が出るなんて。しかもさっき助けた女は、魔女だったのか。それにウィムも絡んでいる。ジャンヌがいれば、周囲に『光』が放ってウィムには聞こえないはず。
「知らない魔女がさっきの女とガルムを追いかけてる」
「じゃあ、ウィムは高みの見物ってところね。誰か指輪を持ってるか分かる?」
「指輪はウィムが持っているみたい」
「ウィムか」
 だったら。



「離してください!気色悪い!」
 アキセは魔女姿のアニエスに抱き着きながら森の中を逃げている。
 戦えなくてもアニエスは空を飛べる。
「さすがに杖一本で戦えないって!」
「指輪のないあなたに用はありません!」
 その時、木から黄色の液体が飛び出す。アニエスは咄嗟に空へと上がる。それでも黄色の液体が伸びていく。
 アキセは杖で記号を描き、黄色の液体に向けて投げる。記号が弾け、黄色の液体は凍っていく。それでも後から黄色の液体が木から伸びていく。
「やっぱ無理か」
「だったら離れてください!」
「いやさすがにこの高さは死ぬから!」
 その時、桃色の花が吹雪く。周りが見えなくなった。この花は攪乱するために放しただろうか。思惑に気付いた時には遅く、黄色の液体が体にへばりつく。払おうにも払えない。アニエスにも黄色の液体がへばりつき、そのまま森へと引っ張られる。


「これ・・・樹液か」
 体中についた樹液で動けない。それにしても。
 アニエスも体中に樹液が粘りついている。思わずたってしまう。
「こういうのは、別でやってほしかったけど」
 アニエスと目が合う。
「あなたって言う人は!」
「大したことはなかったわね」
 別の女の声。
 黄緑色の長い髪。桃色の瞳。淡い桃色の花の羽を6枚。桃色のドレスを着た女だった。
「蜜鳥(みつどり)の魔女ハミング・ビアリング・バードの羽を奪おうとしたって」
 ハミングは見下ろす。
「私を殺しても、エリニュス様が見つけた以上、あなたを追いかけます」
「だからといって、あなたを見逃す理由にはならない」
 その時だった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

冤罪で追放した男の末路

菜花
ファンタジー
ディアークは参っていた。仲間の一人がディアークを嫌ってるのか、回復魔法を絶対にかけないのだ。命にかかわる嫌がらせをする女はいらんと追放したが、その後冤罪だったと判明し……。カクヨムでも同じ話を投稿しています。

私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。

火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。 王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。 そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。 エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。 それがこの国の終わりの始まりだった。

悪役令嬢は処刑されました

菜花
ファンタジー
王家の命で王太子と婚約したペネロペ。しかしそれは不幸な婚約と言う他なく、最終的にペネロペは冤罪で処刑される。彼女の処刑後の話と、転生後の話。カクヨム様でも投稿しています。

聖女召喚

胸の轟
ファンタジー
召喚は不幸しか生まないので止めましょう。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【完結】そして、誰もいなくなった

杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」 愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。 「触るな!」 だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。 「突き飛ばしたぞ」 「彼が手を上げた」 「誰か衛兵を呼べ!」 騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。 そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。 そして誰もいなくなった。 彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。 これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。 ◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。 3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。 3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました! 4/1、完結しました。全14話。

1人生活なので自由な生き方を謳歌する

さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。 出来損ないと家族から追い出された。 唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。 これからはひとりで生きていかなくては。 そんな少女も実は、、、 1人の方が気楽に出来るしラッキー これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。

仰っている意味が分かりません

水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか? 常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。 ※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。

処理中です...