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蜜鳥の魔女②
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「ん~まあ。こんなもんか」
アキセは近くの街の服屋にいた。
なぜなら、アニエスに短めの上着とワンピースに着替えさせた。
「う・・・」
アニエスはとても嫌そうにしている。愉快。
「わざわざどうして・・・」
「だって、服が地味だったから」
人間の姿のアニエスは、肩までの茶髪で地味な衣装を着ていた。デート向きではない。
「だからって・・・」
アニエスは手を伸ばして振るう。怒っている。
「俺のセンスもいいだろ。特に胸が」
アニエスは顔を赤くなって自身の胸を手で隠す。
「ふん!」とアニエスは顔をそらす。
「さて。早速どこに行こうか」
アキセとアニエスは、街の中を歩いていた。
陽気なアキセに対して、アニエスはさっきから視線と合わそうとはせず、後ろに距離を取っている。
「お~い。あんまり距離を取ってると・・・」
振り向けば、アニエスは3人の男らに囲まれていた。
アニエスが困っている。魔女のくせに。
「言っているそばから・・・」
少し呆れながらアニエスの元へと行く。
「君、今一人?」「これからどこに?」「俺らと一緒にいかない?」
――つーか。下手なナンパをするな。こいつら。
誘うような体型で、見た目もいいから寄ってくるのも仕方がないか。
「おまえら」
男らと目が合う。
「何。俺の女に手を出すなって」
アキセはアニエスの腕を引っ張り、胸の方へと抱きよせる。
アニエスの胸が当たる。柔らかい。
「いくら女に目がないからって人の物を取るな」
「「「あ!」」」
男たちが癇に障ったようだか、ガンと飛ばす。
怖気づいた男たちは去っていく。
「さて」
アニエスに視線を向けると、「あわあわあわあわあわあわあわ」とアニエスが赤くなって混乱している。
一瞬魔女だってことに忘れる。
「は!」
アニエスは意識を取り戻した。
「離してください!」
アニエスはアキセを押し出し、胸から離れる。
「なんでそんなに男が嫌なんだ?それとも男を知らないから怖いだけか」
「違います。女をたぶらかして、いかがわしい、穢わらしいからです!」
知らないくせにその知識はどこで知ったんだろうか。
「は~アニエスちゃん」
「気安く呼ばないでください!」
アニエスは声を上げる。
「俺が男っていうものを教えてやるからさ」
「あなたから何も学びたくないです!」
「相手が男だったらどうするんだよ」
「う!」
「最初に俺のところにクノが来たのって、そういうことだろう」
「う!」
アニエスが分かりやすい反応をする。
「そういう時のために俺が男っていうものを教えてやるって言ってるんだ」
「だから、あなたからは!」
アキセはアニエスの手を握り、指の間を入れて握る。
「は!」
「まずは、こうやって握るとか」
アニエスは顔を赤くなる。
「はなっ」
「弓はいいのか」
「う・・・」
――あれ、意外に素直。ジャンヌならそのまま握り潰すな。
「じゃあ。続きと・・・」
思わず足を止めた。
向こうにジャンヌが見えた。ただ男装したレオンと一緒にいたのは想定外だった。
どうする。邪魔するか。転送して追い出すか。こっちにはバレていない。よし、飛ばしてやる。
指飾りを召喚しようとしたが、急に風に吹き飛ばされ、ドンと壁に激突する。
「なんで急に術使ったの?」
ジャンヌがレオンに訊く。
「気のせいだよ」
「・・・そう」
ジャンヌとレオンは歩いていく。
――あのやろ。会わせないつもりだな
リリムだから近くにいれば、気配だけで分かる。さすがに気づかれたか。
その時、手に違和感がする。すぐに掴む。
「何をしているのかな」
アニエスが指輪を奪おうとしていた。
「きゃあああああああああああああああああああああああ」
アニエスが叫んだ途端に、顔に激突した。
アキセは近くの街の服屋にいた。
なぜなら、アニエスに短めの上着とワンピースに着替えさせた。
「う・・・」
アニエスはとても嫌そうにしている。愉快。
「わざわざどうして・・・」
「だって、服が地味だったから」
人間の姿のアニエスは、肩までの茶髪で地味な衣装を着ていた。デート向きではない。
「だからって・・・」
アニエスは手を伸ばして振るう。怒っている。
「俺のセンスもいいだろ。特に胸が」
アニエスは顔を赤くなって自身の胸を手で隠す。
「ふん!」とアニエスは顔をそらす。
「さて。早速どこに行こうか」
アキセとアニエスは、街の中を歩いていた。
陽気なアキセに対して、アニエスはさっきから視線と合わそうとはせず、後ろに距離を取っている。
「お~い。あんまり距離を取ってると・・・」
振り向けば、アニエスは3人の男らに囲まれていた。
アニエスが困っている。魔女のくせに。
「言っているそばから・・・」
少し呆れながらアニエスの元へと行く。
「君、今一人?」「これからどこに?」「俺らと一緒にいかない?」
――つーか。下手なナンパをするな。こいつら。
誘うような体型で、見た目もいいから寄ってくるのも仕方がないか。
「おまえら」
男らと目が合う。
「何。俺の女に手を出すなって」
アキセはアニエスの腕を引っ張り、胸の方へと抱きよせる。
アニエスの胸が当たる。柔らかい。
「いくら女に目がないからって人の物を取るな」
「「「あ!」」」
男たちが癇に障ったようだか、ガンと飛ばす。
怖気づいた男たちは去っていく。
「さて」
アニエスに視線を向けると、「あわあわあわあわあわあわあわ」とアニエスが赤くなって混乱している。
一瞬魔女だってことに忘れる。
「は!」
アニエスは意識を取り戻した。
「離してください!」
アニエスはアキセを押し出し、胸から離れる。
「なんでそんなに男が嫌なんだ?それとも男を知らないから怖いだけか」
「違います。女をたぶらかして、いかがわしい、穢わらしいからです!」
知らないくせにその知識はどこで知ったんだろうか。
「は~アニエスちゃん」
「気安く呼ばないでください!」
アニエスは声を上げる。
「俺が男っていうものを教えてやるからさ」
「あなたから何も学びたくないです!」
「相手が男だったらどうするんだよ」
「う!」
「最初に俺のところにクノが来たのって、そういうことだろう」
「う!」
アニエスが分かりやすい反応をする。
「そういう時のために俺が男っていうものを教えてやるって言ってるんだ」
「だから、あなたからは!」
アキセはアニエスの手を握り、指の間を入れて握る。
「は!」
「まずは、こうやって握るとか」
アニエスは顔を赤くなる。
「はなっ」
「弓はいいのか」
「う・・・」
――あれ、意外に素直。ジャンヌならそのまま握り潰すな。
「じゃあ。続きと・・・」
思わず足を止めた。
向こうにジャンヌが見えた。ただ男装したレオンと一緒にいたのは想定外だった。
どうする。邪魔するか。転送して追い出すか。こっちにはバレていない。よし、飛ばしてやる。
指飾りを召喚しようとしたが、急に風に吹き飛ばされ、ドンと壁に激突する。
「なんで急に術使ったの?」
ジャンヌがレオンに訊く。
「気のせいだよ」
「・・・そう」
ジャンヌとレオンは歩いていく。
――あのやろ。会わせないつもりだな
リリムだから近くにいれば、気配だけで分かる。さすがに気づかれたか。
その時、手に違和感がする。すぐに掴む。
「何をしているのかな」
アニエスが指輪を奪おうとしていた。
「きゃあああああああああああああああああああああああ」
アニエスが叫んだ途端に、顔に激突した。
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