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オカマシスターズ⑤
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以前、初めてオカマを見たのはユーベルだった。
これはこれで癖が強い。
「あら~コゼットちゃん!思っていたより可愛いわね~」
男の声で女性を強調するような声だった。どうやらレオンが目的のようだ。
「それにそこの男もいいじゃないの~私好み」
アキセのことだろう。アキセの顔をしたレオンも青ざめる。
「あれ、もしかして聖女かしら」
「そうだけど」
「聖女がいるなんて訊いてなかったけど」
「誰から聞いたのよ」
「リリス様よ」
もう察してしまった。これはリリスの差し金だということを。
「あら~ラムナちゃん~」
別の声がした。そこには3人。話に訊いているリーズ、クルツ、カロッサだろうか。
――どれも濃いな。
「もう合流していたのね」
「探すのも大変だったのよ」とリーズは言う。
「ラムナちゃん。あの子でしょ。言っていたエルフって?」とクルツは言う。
「あら、可愛いじゃないの」とカロッサは言う。
「そうよ。リリス様から遠慮なく食べていいって」
リリスめ。
レオンが目的なら。
「ねえ。あいつを差し出すから、ここは見逃してくれない」
レオンの姿をしたアキセを差し出そう。
「俺は!」
レオンはガシっとすかさずアキセの首を腕で抑える。
「ん。そうね。私たちも別に聖女と喧嘩するつもりはないのよ。それで手を打ちましょう」
「よかった。魔女と違って物分かりがよくて」
「喧嘩する相手は選びますわよ」
ジャンヌはレオンに親指を立て、引き渡すように合図を出す。
レオンも頷き、首を絞めているアキセを引き渡そうとした時だった。
急に一瞬光に包まれ、ぼっと音がし、光が消えた時には二人とも元の姿に戻る。
――タイミング悪い時に
「あら、私たちを騙そうとしたの」
オカマたちの目つきが変わる。戦闘に入るような目つきだった。
「でも、渡してくれるよね」
笑顔でラムナは言う。
「そっちの黒い方を渡すからそれで打たない?」
「話しが違うわよ」
ドシっとラムナは一歩踏み出す。地面が揺れた。
「ごめんね。今回はエルフとその男と今夜したいのよ」
今、アキセを追加された。
「だから、言ってるじゃないの。男の方をやるって!」
「狙った獲物は逃がすつもりはないから」
その時だった。
「お姉様~」
声をした方へ向けば、水色の長髪。黄色の瞳。ロングスカートとシャツとブラザーを着たユーベルがやってきた。
「間に合えた~」
ユーベルは嬉しそうに言う。
「ユーベル。用事は終わったの?」
「ええ」
ユーベルとアキセが目と合う。
アキセは冷や汗をかく。レオンから離れ、走り出そうとした瞬間にユーベルは瞬時にアキセを抱く。
「お姉様。ダメよ。この人は私のなんだから!」
ユーベルも逃がさないように力強く抱き着く。
「そうだ。思い出した。ユーベルの彼氏だった」
リーズは言う。
「ちょっと待った!それは完全に誤解だ!」
「何よ。初夜はあんなに積極的だったのに~」
ユーベルは顔を赤らめて言う。
「どっちかっていうとお前の方が攻めたから」
どんなやり取りしていたのよ。この二人は。
「そうだ!いつでも狙えるし、久しぶりにお姉様とお茶しない?」
ユーベルは提案する。
「で、その後で皆で今夜、いい男捕まえてやりましょう」
今、どんでもないこと言ったような。
「あらいいわね」
「そうね」
「いいわよ」
「やりましょ!」
ユーベルの提案にのるオカマたちだった。
「よかったわね。私がいて」
ユーベルはアキセにウィンクしてオカマたちの元へと歩く。
オカマたちはどこかに行く。
「「助かった~」」
アキセとレオンが腰を引く。
その時、どこから聞こえる笑い声が響く。
「あーあ、おもしろかった」
木の枝の上で座っているよきの魔女リリス・ライラ・ウィッチャーがいた。
「リリス・・・」
ジャンヌは言う。
「いい暇つぶしになった」
それだけでこんな大事になったのか。
「待て!まさか暇つぶしで俺の・・・」
「そうよ。でもよかったわね。唯一の男の要素が無くならなくてすんだわね。面白かったからまたやろうかしら」
レオンがリリスとは反対方向に足を一歩踏み出そうとした時に「どこに行くのかな」とリリスは瞬時にレオンに抱きつく。
「じゃあ、この子連れて帰るから。また遊んでもらってね」
「ちょ!」
リリスは黒い羽をはらい、レオンと一緒に消える。
何も動けなかった。リリスのきまぐれ一つで殺されるからだ。
レオンには申し訳がないが、そのまま去ってよかった。
その時、背後から胸を触られる。
「う!」
「これで俺を縄に縛ったことも引き渡そうにしたのもチャラにしてあげるからさ」
アキセが耳元で囁く。
プチ。
「気安く触るな!」
ロザリオで振るが避けられる。
「あとこれも」
指輪を見せびらかす。
「あ!」
アキセは指輪をはめ、召喚した指飾りで記号を描き、風と共に消えた。
「たく・・・」とジャンヌは悪態をつける。
その夜、オカマたちの前にリリスがレオンを差し出したという。
これはこれで癖が強い。
「あら~コゼットちゃん!思っていたより可愛いわね~」
男の声で女性を強調するような声だった。どうやらレオンが目的のようだ。
「それにそこの男もいいじゃないの~私好み」
アキセのことだろう。アキセの顔をしたレオンも青ざめる。
「あれ、もしかして聖女かしら」
「そうだけど」
「聖女がいるなんて訊いてなかったけど」
「誰から聞いたのよ」
「リリス様よ」
もう察してしまった。これはリリスの差し金だということを。
「あら~ラムナちゃん~」
別の声がした。そこには3人。話に訊いているリーズ、クルツ、カロッサだろうか。
――どれも濃いな。
「もう合流していたのね」
「探すのも大変だったのよ」とリーズは言う。
「ラムナちゃん。あの子でしょ。言っていたエルフって?」とクルツは言う。
「あら、可愛いじゃないの」とカロッサは言う。
「そうよ。リリス様から遠慮なく食べていいって」
リリスめ。
レオンが目的なら。
「ねえ。あいつを差し出すから、ここは見逃してくれない」
レオンの姿をしたアキセを差し出そう。
「俺は!」
レオンはガシっとすかさずアキセの首を腕で抑える。
「ん。そうね。私たちも別に聖女と喧嘩するつもりはないのよ。それで手を打ちましょう」
「よかった。魔女と違って物分かりがよくて」
「喧嘩する相手は選びますわよ」
ジャンヌはレオンに親指を立て、引き渡すように合図を出す。
レオンも頷き、首を絞めているアキセを引き渡そうとした時だった。
急に一瞬光に包まれ、ぼっと音がし、光が消えた時には二人とも元の姿に戻る。
――タイミング悪い時に
「あら、私たちを騙そうとしたの」
オカマたちの目つきが変わる。戦闘に入るような目つきだった。
「でも、渡してくれるよね」
笑顔でラムナは言う。
「そっちの黒い方を渡すからそれで打たない?」
「話しが違うわよ」
ドシっとラムナは一歩踏み出す。地面が揺れた。
「ごめんね。今回はエルフとその男と今夜したいのよ」
今、アキセを追加された。
「だから、言ってるじゃないの。男の方をやるって!」
「狙った獲物は逃がすつもりはないから」
その時だった。
「お姉様~」
声をした方へ向けば、水色の長髪。黄色の瞳。ロングスカートとシャツとブラザーを着たユーベルがやってきた。
「間に合えた~」
ユーベルは嬉しそうに言う。
「ユーベル。用事は終わったの?」
「ええ」
ユーベルとアキセが目と合う。
アキセは冷や汗をかく。レオンから離れ、走り出そうとした瞬間にユーベルは瞬時にアキセを抱く。
「お姉様。ダメよ。この人は私のなんだから!」
ユーベルも逃がさないように力強く抱き着く。
「そうだ。思い出した。ユーベルの彼氏だった」
リーズは言う。
「ちょっと待った!それは完全に誤解だ!」
「何よ。初夜はあんなに積極的だったのに~」
ユーベルは顔を赤らめて言う。
「どっちかっていうとお前の方が攻めたから」
どんなやり取りしていたのよ。この二人は。
「そうだ!いつでも狙えるし、久しぶりにお姉様とお茶しない?」
ユーベルは提案する。
「で、その後で皆で今夜、いい男捕まえてやりましょう」
今、どんでもないこと言ったような。
「あらいいわね」
「そうね」
「いいわよ」
「やりましょ!」
ユーベルの提案にのるオカマたちだった。
「よかったわね。私がいて」
ユーベルはアキセにウィンクしてオカマたちの元へと歩く。
オカマたちはどこかに行く。
「「助かった~」」
アキセとレオンが腰を引く。
その時、どこから聞こえる笑い声が響く。
「あーあ、おもしろかった」
木の枝の上で座っているよきの魔女リリス・ライラ・ウィッチャーがいた。
「リリス・・・」
ジャンヌは言う。
「いい暇つぶしになった」
それだけでこんな大事になったのか。
「待て!まさか暇つぶしで俺の・・・」
「そうよ。でもよかったわね。唯一の男の要素が無くならなくてすんだわね。面白かったからまたやろうかしら」
レオンがリリスとは反対方向に足を一歩踏み出そうとした時に「どこに行くのかな」とリリスは瞬時にレオンに抱きつく。
「じゃあ、この子連れて帰るから。また遊んでもらってね」
「ちょ!」
リリスは黒い羽をはらい、レオンと一緒に消える。
何も動けなかった。リリスのきまぐれ一つで殺されるからだ。
レオンには申し訳がないが、そのまま去ってよかった。
その時、背後から胸を触られる。
「う!」
「これで俺を縄に縛ったことも引き渡そうにしたのもチャラにしてあげるからさ」
アキセが耳元で囁く。
プチ。
「気安く触るな!」
ロザリオで振るが避けられる。
「あとこれも」
指輪を見せびらかす。
「あ!」
アキセは指輪をはめ、召喚した指飾りで記号を描き、風と共に消えた。
「たく・・・」とジャンヌは悪態をつける。
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