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雨粒の魔女①
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アキセは隠家から窓を眺めていた。
日が昇っても、空が曇って暗い。
淫魔は恋愛や嫉妬しない。人を惑わすから、持つ必要がない。リリムも体質は淫魔と変わらない。だからそんな感情がないはず。
「かわいいとこあるのね」
突然目の前に夜輝(よき)の魔女リリス・ライラ・ウィッチャーが目の前に現れる。
「うわ!」
頭がベッドの角に当たり、そのままベッドから落ちる。
かなり頭が痛い。頭を抱えながら、痛みを抑える。
「リリス・・・」
リリスがベッドの上で座る。
「どこから・・・」
外部からの侵入対策はしているが、最強な魔女なだけある。普通に入ってくる。
「何のようだ・・・」
「いちいち言わないとダメなの」
リリスがもったいぶるように言う。
「気まぐれババが!」
ドン。急に頭が床に叩きつけられる。床にヒビがはいるほどの衝撃だった。
「デリカシーがないわね」
床から顔を上げる。
「嫉妬しているんでしょ」
思わず体が固まった。
「あなたには半分違う血が流れているから、しかも感情が感じやすい人間の血がね」
「俺が嫉妬?んなわけないだろうか」
「素直に認めないのね。見苦しい」
「おまえにも嫉妬しないのか」
寝取り趣味のリリスが嫉妬するとしたら笑える。
「私はその感情を知っているから、なったとしてもあなたのようにはならない」
ジト目をするリリスははっきり答える。
「感情は一つの言葉で複雑に絡んでいるの。嫉妬はみっともないけど、あなたの場合は可愛げがあるから素敵よ」
「無駄に年食っていないんだな」
ドン。また床に叩きつけられる。
「本当に懲りないわね」
リリスは呆れるように言う。
「あなたの場合、嫉妬するのも仕方がないかもね」
「どういうことだ」
「私を誰だと思って」
リリスは、黒い羽を軽く払い、その場から消えた。
「ババめ」
その時、股間に急激な痛みが増した。
「あ・・・」
隠家から出たアキセは森の中を歩いていた。空がさらに雲っている。今でも雨が降り出しそうだ。
「やっと見つけた!」
背後から抱きつけられた。
振り向けば、風鳴の魔女ウィム・シルフだった。
次から次へと。
「ねえねえ。彼女と喧嘩した?」
ウィムはせがんでくる。
こいつ。
ウィムを払い、無視する。
「あら、不機嫌?」
ウィムがあざとく言う。
「本当に喧嘩したのね」
絶対に分かっている。
ウィムは噂好き。風を使って情報を得ている。知らないわけがない。
「分かった!私が二人の仲を取り戻してあげる」
「ああ?」
思わず振り向く。
「今、彼女ね。怪我して困っているの」
日が昇っても、空が曇って暗い。
淫魔は恋愛や嫉妬しない。人を惑わすから、持つ必要がない。リリムも体質は淫魔と変わらない。だからそんな感情がないはず。
「かわいいとこあるのね」
突然目の前に夜輝(よき)の魔女リリス・ライラ・ウィッチャーが目の前に現れる。
「うわ!」
頭がベッドの角に当たり、そのままベッドから落ちる。
かなり頭が痛い。頭を抱えながら、痛みを抑える。
「リリス・・・」
リリスがベッドの上で座る。
「どこから・・・」
外部からの侵入対策はしているが、最強な魔女なだけある。普通に入ってくる。
「何のようだ・・・」
「いちいち言わないとダメなの」
リリスがもったいぶるように言う。
「気まぐれババが!」
ドン。急に頭が床に叩きつけられる。床にヒビがはいるほどの衝撃だった。
「デリカシーがないわね」
床から顔を上げる。
「嫉妬しているんでしょ」
思わず体が固まった。
「あなたには半分違う血が流れているから、しかも感情が感じやすい人間の血がね」
「俺が嫉妬?んなわけないだろうか」
「素直に認めないのね。見苦しい」
「おまえにも嫉妬しないのか」
寝取り趣味のリリスが嫉妬するとしたら笑える。
「私はその感情を知っているから、なったとしてもあなたのようにはならない」
ジト目をするリリスははっきり答える。
「感情は一つの言葉で複雑に絡んでいるの。嫉妬はみっともないけど、あなたの場合は可愛げがあるから素敵よ」
「無駄に年食っていないんだな」
ドン。また床に叩きつけられる。
「本当に懲りないわね」
リリスは呆れるように言う。
「あなたの場合、嫉妬するのも仕方がないかもね」
「どういうことだ」
「私を誰だと思って」
リリスは、黒い羽を軽く払い、その場から消えた。
「ババめ」
その時、股間に急激な痛みが増した。
「あ・・・」
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「やっと見つけた!」
背後から抱きつけられた。
振り向けば、風鳴の魔女ウィム・シルフだった。
次から次へと。
「ねえねえ。彼女と喧嘩した?」
ウィムはせがんでくる。
こいつ。
ウィムを払い、無視する。
「あら、不機嫌?」
ウィムがあざとく言う。
「本当に喧嘩したのね」
絶対に分かっている。
ウィムは噂好き。風を使って情報を得ている。知らないわけがない。
「分かった!私が二人の仲を取り戻してあげる」
「ああ?」
思わず振り向く。
「今、彼女ね。怪我して困っているの」
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