魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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怪物を産む国 後半⑧

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 このまま土の底へと引っ張られる。
 ロザリオで触角を切り、逃げようにも、上下左右ともに触角が襲ってくる。体を絡め、また底に引っ張られる。このまま地上に抜けられなくなる。
 底に着き、そのまま地面に叩きつけられる。小さな地底だった。
 そこには大きい体。くわのような大きい手。垂れた大きい鼻からいくつものの触角が伸びている怪物がいくつもいた。
 地底に引きずられたと思われる怪物だろう。
 穴が小さくなっている。防がれたら逃げられない。
その時、穴からウィズボードに乗ったアキセが来た。
 アキセは指飾りで横一線に切ると風の刃が生み出す。風の刃が地底の怪物を切っていく。
 その隙を狙って、アキセに腕を掴まれる。
「飛ぶぞ!」
 アキセが叫ぶ。
――なんでいつもおまえなんだよ。
 その場から暗くなるのと同時に消える。


 アキセが土の中に入った。今はアキセしかジャンヌを救出できない。任せるしかない。
 イルは黒い怪物と苦戦していた。
 黒い怪物を倒せても何度も立ち上がり、迫ってくる。バイカリに操っているだけあって簡単には倒せない。
 魔族(アビス)になった。何か魔力が宿ったはず。でも今は考える場合ではない。
「あなたのせいで逃げられちゃったじゃないの」
 バイカリがトカゲの怪物に近づく。
 まずい。
 トカゲの怪物の元へ行こうにも黒い怪物が邪魔をする。
「ママヲカエセ!カエセ!」
 トカゲの怪物がバイカリに飛びつく。
「邪魔!」
 トカゲの怪物は黒い尾に刺される。
「邪魔するな!気持ち悪い!触るな!寄るな!私の前から消えろ!」
黒い尾で何度もトカゲの怪物を叩きつけ、土の壁に投げつける。
トカゲの怪物から血が流れている。
「おまえなんかいらないんだ!余計に生きていやがって。生まれてくるな!」
 バイカリは叫ぶ。
「ママチガウ・・・オマエナンカママジャナイ・・・」
 弱弱しく声で言う。
 このままだと殺される。
 イルは黒い怪物に一発殴り飛ばす。隙ができた。すぐにトカゲの怪物へと走る。
「消えろ!」
 黒い尾が迫る。
 距離がある。このままでは間に合わない。
 黒い尾がトカゲの怪物に迫った時だった。
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