魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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認めなかった末路⑤

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 地下の大きい部屋に着いた。
 中央は大きいくぼみに大きい陣から光っていた。赤黒く光り、火花のように散り、『呪い』が可視化した黒いモヤも広がっている。
 おそらくこの陣が全ての元凶だろう。
「離して!」
 陣の前に二人の男に連れられているカトリナがいた。
 やはりローブは取られている。後で探すしかない。よく見れば、カトリナの足を引きずっている。落ちた時に怪我をしただろう。
 生贄として陣の中に放り込むつもりだろう。
 早速阻止するために、召喚した実弾入りの銃を撃つ。二人の男に頭に命中し、倒れていく。
 カトリナも床につく。
「これは・・・」
「危なかったな」
 アキセは、『なんでも遮断マント』を仕舞い、姿を見せる。
「なんで・・・・ありがとうございます・・・」
 カトリナは嫌な顔から顔を真っ赤にした顔に変わる。
 惑わせた。
 いつもはジャンヌの『光』に触れているから、誘惑が浄化されて使えない。
「なあ。助けるからさ。あの武器のこと教えてくれない?」
「はい。喜んで!」
「何しているのよ」
 ジャンヌに頭を軽く踏まれる。
「あ!また私!」
 カとリナは正気に戻った。ジャンヌに踏まれたことでアキセの誘惑が浄化された。
「待ってた~」
「うっさい!」
 ジャンヌは、『追いかける蛇』と『脳通し指輪』を投げ、顔に当たる。
「痛いな」
 指輪の中に仕舞う。
「カトリナを助けに来ただけだから」
「え?私を?」
 ジャンヌはカトリナに近づく。
「いい。復讐したいのは分かるけど、ほどほどにしときな。こいつの為に人生注ぎたいの」
「イヤです」と即答に答えるカトリナ。
「で、ジャンヌのこの後の予定は?」
 ジャンヌに訊く。
「この街は魔族(アビス)化が進んでいる。こういう町は何かと利用される。この街には悪いけど、魔族(アビス)化を止める」
「だよな」
「魔族(アビス)化が起きているんですか」
「そうよ。聖女としては見過ごせないのよ」
ジャンヌは陣の前に立つ。
「これが元凶ね」
「ジャンヌの力なら十分に破壊できる。魔女よりは簡単なはずだ」
 ジャンヌはロザリオを取り出した時だった。
 足もとから振動がする。
 アキセは足元から咄嗟に横へ跳ぶ。いた場所から土の山ができた。
「動くな!」
 怒鳴った男の声がした。
 部屋の扉の前にあの老人がいた。
「陣から離れろ!そこの女を殺す」
 カトリナが鼻まで土の中に盛っている。息が吸えず、窒息死に追い込むつもりだろう。
「離れろと言っているんだ!」
 ジャンヌが近くにいるから、あの魔術は効かない。なら簡単。
「ジジィに脅されてたまるか」
 アキセはすかさず銃を撃つ。
 老人の首にあったカースネロに命中する。
「ぐう!」
 老人は腰をつき、首を押さえながら咳き込む。首を貫通していないが、それでも衝撃はかなりある。
 さらに『粘土ハンド』を右手に召喚する。
 黒いグローブだか、どんなものでも触れれば、粘土のように粘りのある土になり、操ることができるコルンの発明品。
 しゃがみ込み、床に触れる。波のように立ちながら粘土が伸び、老人の足と腕を押さえる。
 カースネロが破壊したことでカトリナを捕らえた土が緩む。
 カトリナは息いっぱいに吸い込む。
「大丈夫?」
 ジャンヌはカトリナに駆け寄る。
「はい・・・」
 カトリナは平気のようだ。
 今回は魔女と絡んではない。ここまでくれば、一人でもできる。
アキセは『飛ばしコイン』に隣の町まで転送を設定する。
「後は俺がやる。先に帰れ」
「は?」
 ジャンヌを突き飛ばし、カトリナにぶつける。
『飛ばしコイン』をジャンヌとカトリナに投げ、ジャンヌに触った瞬間に消える。
 『飛ばしコイン』は基本握った者にしか発動しない。だが相手に触れていれば、『飛ばしコイン』と繋がり、まとめて転送ができる。
「さて」
 アキセは『粘土ハンド』でまた床に触れる。波のように立ちながら粘土は、扉を壁のように防ぐ。
 『粘土ハンド』を仕舞い、実弾入りの銃を召喚する。
「こっからは尋問タイムだ」
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