魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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星が生まれる日⑤

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 これ以上手加減ができない。
イルは牙を向けている星獣(アストラ)の口を抑えている。
 ジャンヌとアタランテが気になっている星獣(アストラ)のはず。怪我をさけて戦うのは難しい。
 これがアキセの狙いだろう。聖獣(ルーチェス)の星獣(アストラ)と戦わせる。
 森の中に歩いていた時に、急に足元に陣が浮かんだ。気付いた時には遅く、もうこの地に飛ばされていた。
 絶対にやり返す。
 星獣(アストラ)の口から光の球を溜めている。
まずい。
 足で星獣(アストラ)を押して、背後に飛ばす。星獣(アストラ)は体を回して光の球を飛ばす。横へ避ける。
着地した星獣(アストラ)は、瞬時に跳びだす。目の前まで距離を詰められ、右腕を噛まれる。
「ぐ!」
 右腕に何かが注がれる。溶けるような激痛が襲う。『光』が体内に注がれ、『呪い』の抗体を浄化している。
 イルは右腕を大きく上げ、星獣(アストラ)を地面に叩きつける。その衝撃で星獣(アストラ)の口が離れる。すぐに距離を取る。
 噛まれた腕を押さえる。
 右腕がまともに動かない。次が来たら、押さえられない。
 星獣(アストラ)が立て直した時だった。
 星獣(アストラ)の周りに青白い光の矢が囲むように地面に刺す。青白い光の矢が伸び、網のようになり、星獣(アストラ)を捕らえる。
 星獣(アストラ)の動きが止まった瞬間に、アタランテが抱き着く。
「大丈夫。落ちついて。怖くないから」
 優しくアタランテは言う。
 星獣(アストラ)はもがくも、それでもアタランテは離れようともしない。アタランテから青白い光が溢れ、星獣(アストラ)を包む。
「大丈夫だから・・・」
星獣(アストラ)の体が小さくなっていく。
 『光』で調整しているのだろうか。
 青白い光が止んだ時には、アタランテの胸のなかに小さくなった星獣が寝ていた。
「よかった・・・」
 アタランテが安心きった時だった。
 アタランテが倒れる。アタランテの背中に透明な宝石の矢が刺さっていた。その背後に騎士たちが矢を構えている。
 聖女狩りをする聖騎士団だろう。騒ぎが治まるまで待機していたのだろう。
 まだ戦いが終わっていない。右手が負傷している。それに相手は聖騎士団。逃げすつもりはない。
 アタランテと星獣(アストラ)を守り切れない。このままでは。
 その時、目の前に白い炎が壁のように塞がる。
「こっち!」
 声をした方を向けば、ジャンヌがいた。
 イルはアタランテと星獣(アストラ)を抱いて、その場をさる。



 もうすぐ朝日を迎えていた。
聖騎士団から逃げられた。
手当てしたアタランテと星獣(アストラ)が横でゆっくり寝ていた。
「二人とも寝ているだけだから、その内起きるよ」
 イルに優しくかける。
「二人を助けてくれてありがとう。それに星獣にも怪我させないように戦っていたんでしょ」
「探していた星獣だとは分かっていたからな」
「本当にありがとう」
 イルに言う。
「イル。腕大丈夫?」
 右腕から流れる血は止まったようだか。
「血は止まったから平気だ」
 あの傷は噛んだ跡だった。星獣に噛まれた傷。
 その右腕が星獣(アストラ)に噛まれたなら、『光』が注がれたはず。
「イル。本当に・・・」
 その時、スピカがアキセの頭を噛みついて戻ってきた。
「さて、後始末しようか」
 アキセを見ただけで殺意が芽生えた。ロザリオを構える。
「そうだな」
 イルも立ち上がる。
「ちょ!待って!悪かったって!」
 スピカに噛まれながらでもまだアキセは生きている。
「「死ね!」」
 ジャンヌとイルとスピカは、アキセを痛めつける。
 アタランテと星獣(アストラ)はまだ眠っていた。
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