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博戯の魔女⑧
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今回はそもそもアキセがジャンヌを賭けにかけたから始まった。このまま入れば、殺されると思ってウィムと協力したのだろう。
モニカがドナートの手下を相手してくれたようで、町の外まで楽に脱出できた。
「私を利用したんだから、今回は見逃してくれるんでしょ」
モニカは言う。
「ええ」
その前にモニカに確かめたいことがある。
「あなた。どこまで知っていたの」
「知っていたわよ。ラッキーアイテムを使っていたことにも」
モニカは少しシルクハットをずらすと黒いウサギの耳が一本立つ。つまり、モニカはウサギだったから聴こえていたということだろうか。
「そこまで知ってて、どうしてわざわざドナートの勝負としたの」
「そもそも私、あの男とやるつもりなかったの」
モニカはウサギの耳をシルクハットの中に仕舞いながら言う。
「ラッキーアイテムを知っていたし、面白味もないの。でもしつこかったから聖女を条件に出せば、諦めるかと思えば、本当に聖女を連れ出すなんて」
「破るつもりはなかったのね」
「約束一つ守らないと博打でできないものよ。それに聖女も計画していたからね。私も乗ってみようと思ってね」
モニカはイタズラな笑みを見せる。
――魔女って本当に性格悪い
「結局ドナートの博打はどうなったのよ」
「辞めたに決まっているでしょ」
モニカは呆れるように言う。
「だから言ったでしょ。面白味がないって。ただのラッキーアイテム頼りなのよ」
「それって、別にインチキしてもよかったの?」
「博打は運を任せっきりで勝てると思って。本当の博打はね。相手の手口を探るものよ。それがやりたいの」
「つまり、あなたもインチキをするってことなの」
「博打はね。以外に技術が必要なのよ」
モニカは笑って消えた。
「やっと声がでた」
喉を回復したレオンが立ち上がる。
「いや~作戦うまくいったっで!」
レオンに抱き着く。
「ジャンヌ・・・さん・・・」
「ごめん。死ぬことになって・・・」
「ちょ・・・」
「いくら死なないからって言ってもこの作戦はもう使いたくない・・・」
誰かが犠牲になるってことは本当に。
「でも・・・本当に助かった・・・」
さらに強く抱きしめる。
「いや・・・その!」
レオンが離す。
「なんていうか・・・俺だって・・・その・・・」
レオンは視線をそらしながら顔を赤らめる。
リリスの遊びに付き合うために不死の体にした。命に関しては希薄なんだろう。
「そういえば、どうやって伝えたの。それに発動条件はドナートっていうのも考えていたけど?」
レオンが仕掛けた精霊術を訊く。
「どっちにしても精霊(スピリット)でも風しか伝える手段がなかった。けどそれだとあのウィムに気付かれる。発動するまでに土の中の精霊(スピリット)に預けたんだ。発動条件はジャンヌさんじゃなくて、ドナートが言いだそうなことにしたんだ。次は俺の完全勝利になるっていう言葉にしてさ。注意を向けるためにジャンヌさんに伝えたんだ。それはわりいとは思ってる」
「そういうことだったの。私も一本取られた」
「俺だって伊達に魔女から逃げてないって」
「そうね」
軽く笑う。
ドナートがそれっきりどうなったのかは知らない。知るつもりもない。ロクなことはしていないはず。ざまあみろ。
モニカがドナートの手下を相手してくれたようで、町の外まで楽に脱出できた。
「私を利用したんだから、今回は見逃してくれるんでしょ」
モニカは言う。
「ええ」
その前にモニカに確かめたいことがある。
「あなた。どこまで知っていたの」
「知っていたわよ。ラッキーアイテムを使っていたことにも」
モニカは少しシルクハットをずらすと黒いウサギの耳が一本立つ。つまり、モニカはウサギだったから聴こえていたということだろうか。
「そこまで知ってて、どうしてわざわざドナートの勝負としたの」
「そもそも私、あの男とやるつもりなかったの」
モニカはウサギの耳をシルクハットの中に仕舞いながら言う。
「ラッキーアイテムを知っていたし、面白味もないの。でもしつこかったから聖女を条件に出せば、諦めるかと思えば、本当に聖女を連れ出すなんて」
「破るつもりはなかったのね」
「約束一つ守らないと博打でできないものよ。それに聖女も計画していたからね。私も乗ってみようと思ってね」
モニカはイタズラな笑みを見せる。
――魔女って本当に性格悪い
「結局ドナートの博打はどうなったのよ」
「辞めたに決まっているでしょ」
モニカは呆れるように言う。
「だから言ったでしょ。面白味がないって。ただのラッキーアイテム頼りなのよ」
「それって、別にインチキしてもよかったの?」
「博打は運を任せっきりで勝てると思って。本当の博打はね。相手の手口を探るものよ。それがやりたいの」
「つまり、あなたもインチキをするってことなの」
「博打はね。以外に技術が必要なのよ」
モニカは笑って消えた。
「やっと声がでた」
喉を回復したレオンが立ち上がる。
「いや~作戦うまくいったっで!」
レオンに抱き着く。
「ジャンヌ・・・さん・・・」
「ごめん。死ぬことになって・・・」
「ちょ・・・」
「いくら死なないからって言ってもこの作戦はもう使いたくない・・・」
誰かが犠牲になるってことは本当に。
「でも・・・本当に助かった・・・」
さらに強く抱きしめる。
「いや・・・その!」
レオンが離す。
「なんていうか・・・俺だって・・・その・・・」
レオンは視線をそらしながら顔を赤らめる。
リリスの遊びに付き合うために不死の体にした。命に関しては希薄なんだろう。
「そういえば、どうやって伝えたの。それに発動条件はドナートっていうのも考えていたけど?」
レオンが仕掛けた精霊術を訊く。
「どっちにしても精霊(スピリット)でも風しか伝える手段がなかった。けどそれだとあのウィムに気付かれる。発動するまでに土の中の精霊(スピリット)に預けたんだ。発動条件はジャンヌさんじゃなくて、ドナートが言いだそうなことにしたんだ。次は俺の完全勝利になるっていう言葉にしてさ。注意を向けるためにジャンヌさんに伝えたんだ。それはわりいとは思ってる」
「そういうことだったの。私も一本取られた」
「俺だって伊達に魔女から逃げてないって」
「そうね」
軽く笑う。
ドナートがそれっきりどうなったのかは知らない。知るつもりもない。ロクなことはしていないはず。ざまあみろ。
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