魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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博戯の魔女②

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「なんでここに?」
「精霊から聞いた。ジャンヌはメイドにされて囚われているって」
「お。かわいいエルフじゃないか」
「俺は男だ!」
「そんなウソを言うなよ」
 女だと思っているのか。
「ジャンヌさんを賭けてお前に挑む!」とレオンはドナートに指して挑戦をする。
 嬉しいけど、イヤな予感。
「いいだろ」
 ドナートはノリノリに挑む。
「レオン・・・無理しない方が・・・」
「任せてください!」とレオンが胸を張る。


 惨敗したレオンもメイドにされた。
「助けてくれるのは嬉しいけど、せめてルールを覚えてからにしようね」
「精霊(スピリット)を使ったのに・・・」とレオンが悔やむ。
――なんつー使い方をしているんだ
「この周辺にいる精霊(スピリット)を訊いてもダメだった・・・」
――精霊(スピリット)も変なことを覚えるなよ
「いや~メイドが二人も手に入れた。愉快愉快」
 ドナートが高笑いする。
 腹立つ。
「俺はもう寝る。夜襲しても無駄だからな。あ~でも夜遊びは付き合うぞ」
「結構です」
「じゃあ、大人しくするんだな」
 ドナートは高笑いして部屋を出る。
「さて。どうやってやりかえすか」
「考えあるのか。襲うこともできないし!」
 急に途切れる。
「レオン?」
 レオンが消えた。
「目の保養になる」
 別の男の声。その声で一気に怒りがこみ上げる。
 振り向けば、やはりアキセがいた。
「メイド服似合ってる」
「何を言っているの。あんたが女になったメイドの方が、ギャップがあって似合ってたわよ」
 以前、アキセは魔女に女体化され、メイド服を着たことがある。
「あ~そんなこともあったな~君のメイド服を見るまで忘れてたよ~それにしても、まさかメイドにされるとは思わなかった」
「おまえのせいだろうがああああああああああああああああああああああああ!」
 両手でつかんだアキセの頭を下ろさせ、膝を上げ、アキセの顔にぶつける。アキセは顔を押さえながら、のたうち回る。
「レオンをどうした!」
「あいつの心配かよ」
 アキセはイラつきながら起き上がる。
「今屋敷の中のどこかに飛ばしただけだ。あいつがいたら邪魔だろ」
「おまえの存在が邪魔だ!」
 どうやら二人きりになりたいがためにレオンを転送したそうだ。
「ひでぇな。軽く傷つくぞ」
「おまえはそこまで繊細じゃないだろうが。それよりなんであいつに博打した!」
「人稼ぎしようと俺も博打したんだ。結構稼いだところであいつから声をかけられたんだ」
「どうせ。ズルとかしたんでしょ」
「俺のことよく分かってる~でもそれでも勝てなかった・・・」
「なんでよ!」
 インチキしてなぜ負ける。
「だからって私を賭けるな!」
「イヤだって最後の財産を無くしたくなかったし!」
「指輪を賭けに出しても許せない!」
「じゃあどうしろと!」
 アキセが負けずに返す。
「おまえが一生奴隷としてあいつに捧げろ。代わりに指輪はもらうから!」
「それは絶対に断る!てか、あいつとそんなに仲良くなったのかよ」
「あんたより、素直でかわいい子よ。ユビワちゃんは!」
 その時、アキセに腕を掴まれる。
「何よ」
「ただの道具よりも俺を選べよ。ここから連れ出してやるからよ」
 誘うように言うアキセに白い炎を注ぐ。
「アッツ~アツアツ~」
 白い炎に包まれたアキセは転がっていく。
「私。ドナートに攻撃できないだけで、聖女の力を封じてないから」
 アキセに見下ろして言う。
「ジャンヌさん!大丈夫ですか!」
 その時、ドアを蹴破ったレオンが部屋に入ってきた。
「お帰り」
「やっぱ、おまえが!俺を飛ばしたのは!」
 レオンがアキセに怒鳴る。
「ああ」
 白い炎から解放されたアキセがレオンに視線を向ける。
「んだよ。お前はお呼びじゃねぇんだ」
「ふざけるな!ジャンヌさんを賭けに使って逃げやがって!」
「それだったら、おまえもジャンヌを賭けたじゃないか」
「取り戻すためだ!」
 レオンも負けずに返す。
「律儀にやるな。その前にあいつを殺せばよかっただろ」
「・・・う」
 急にレオンが頭を抱える。
 思いつかなかったようだ。
「たく。だから悪いって思ってるから助けてやろうと思ったのに」
 その発言に思わず鳥肌が立った。
「元凶が何を言ってる・・・」
「いいのか。助けられるのは俺しかいないと思うが」
「あんたなんか頼りません!」
「ふ~ん。分かった。後で後悔しても知らないぞ」
 アキセは消える。
 あの様子からして、ドナートの原因を調べ、分かったところでいかがわしい条件をつけにくるに違いない。
 でも。
「あれは失敗するね」
「でしょうね」
 レオンも同感した。
「私たちだけでなんとかしましょ」
「どうやって。あいつに攻撃なんてできないだろ」
 レオンもドナートに主導権を奪われ、攻撃はできない。
「なんでできないと思う?」
「それは・・・」
 レオンが言葉を詰まる。
「魔術師でもないし、普通の人間が聖女を押さえ付けられるとは思えない」
「確かに」
「ねえ。ドナートとやった時、インチキした様子なかった?」
「そんなの。あったら最初に言ってる」
「そうよね」
 聖女を押さえられる。インチキではない。思いつくが今は。
「ちょっと様子を見ましょう」
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