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舞扇の魔女①

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「出でいけ!」
 アキセはコルンの工房から追い出された。
「たく」
 悪態をつく。
 コルンが無理やり追い出されたため、今いる場所が分からない。周囲を確認すれば、どうやら廃墟の扉からコルンの工房に繋がっていたようだ。
「今回はこれだけか」
 アキセが持っていたのは、緑色の液体が入った瓶だった。
「さて、これはどんな道具かな」と瓶を確認しようとしたところで。
「アキセえええええええええええええええええええええええええええええええええ!」
 野太い声がした。しかも聞いたことがある。
 顔を上げれば、奥から怒りマックスのジャンヌが飛び蹴りで迫ってくるが、届くことなく、目の前で滑る。
「あれ?ジャンヌさん?」
 いつもと違う。
 ジャンヌはすぐに顔を上げ、アキセの胸倉を掴む。
「おまえ、私に何をした!」
 揺さぶりされながらジャンヌは怒鳴る。
「はあ?なんだ。急に!つーかよくここが分かったな」
「ふざけるな!とぼけるな!『光』を使えなくしやがって!」
 ジャンヌはリズミカルに言う。
「何言っているんだ。風評被害にもほどほどにって『光』が使えない!?」
「目を覚めたらこのざまなんだ!聖女を止められるのはコルンの発明品しかないんだよ!しかも私に使ったのもおまえしか考えられないんだよ!」
 さらにジャンヌに揺さぶりながら言う。
 確かにコルンは異世界の知恵や技術を持っているため、『呪い』では効かない聖女でも効く。
「最後のは、決めつけすぎでは・・・」
 ジャンヌの視線がピンに向ける。
「それが!」
 ジャンヌが取り上げようとしたので、手を高く伸ばして、ジャンヌから遠ざける。
「違う!これはさっきコルンから盗んだから!」
ジャンヌの前に出したビンが急に割れた。
「うわ!」
 液体が手にかかったが、何も起きなかった。その前にビンが何かに当たって割れた。ということは、襲撃だということ。
「うわ!」
 急にジャンヌが声を上げる。力が抜けるように倒れ、その背後に人がいた。
 銀の角を頭に生えた20代くらいの男が、手を伸ばし、雷を放つ。
「げ!」
 指飾りを召喚し、横一線に横に払う。
 光る一線は上下に広げ、光る盾となり、迫ってくる雷を防ぐ。
 簡易な壁ができる簡易式壁創製封印魔術。カースネロに直接記号を描き、指飾りにはめれば、一線引いて簡単に壁を生み出す仕組み。
 雷は防いだ。
 あの男は魔族(アビス)だろう。ジャンヌは『光』が使えないのか、『光』で魔力を浄化されずに雷を効いてしまったのか。
 その時、銀の角の男は距離を詰め、何かを横に振ろうとした。
 思わず背後に跳んだ瞬間、背後から衝撃する。体中から痺れる。その時腕に何かかけられ、そのまま倒れてしまう。手に感覚がない。顔を振り向けば、背中に金の角の男がいた。銀の角の男と同じ顔。双子か。
 その時、金の角の男が指輪を外される。
 指輪を奪ったということは、まさかコルンからの差し金か。
「おまえら!」
 その時、体に雷が流れ、気を失う。
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