魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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悪の軍団⑥

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 ルシアも絡んでいたのか。
 アキセは、『見える聞こえるスコープ』で耳までかぶせる望遠鏡でイルたちの会話を聞いていた。
『見える聞こえるスコープ』は透視可能で、覗いた範囲で相手の話を訊けるというもの。透視機能は、耳の横にある円盤状を回せば、壁の厚さを調整できる。このスコープで時々いろいろと覗いていた。
――てか。あのジジの野望がくだらなすぎる。
 会話からして総統はルシアのタタリにかかってなく、ただの実力で立ち上げたようだ。
 それにしてもロストテクノロジーの遺伝子を見つけるとは。
あんなふざけた格好して侮れん。
 それよりもジャンヌがルシアと相手している内にイルを狙おう。
 魔術で木に足場を作り、高台からライフル銃を構える。スコープを覗き、イルに狙いを定める。引き金を引こうとした時だった。
「悪党成敗キック!」
 頭に衝撃した。


 ペルチェがアキセを踏みつけて登場した。
 この場には聖女のジャンヌと魔女のルシアとペルチェ。さすがに魔女二人ではジャンヌでも苦戦する。
 どうする。
「おまえか!無罪な人から頭をむしりとる悪人か」
 ペルチェは、杖をルシアに向ける。
「はあ?」
 ルシアが首をかしげる。
「あ~君か。なんか面倒くさい魔女って」
「魔女じゃない。魔法少女」
「魔法少女?確かマンガにもいたな」
 ルシアが考え込む。
「でも、僕が知っている魔法少女と違うんだけど」
「何を言っているの。私が正義の魔法少女よ」
 ペルチェが胸を張る。
「ふ~ん。まあいいや。僕の仕事を邪魔しないでよ。怒られるの。僕なんだからさ」
「邪魔するわよ!無差別に攻撃するなんてまさしく悪そのもの!」
「無差別じゃないよ。ちゃんと選別しているんだけど」
「選別しても無鉄砲に攻撃するのが悪なんだ」
「君の判断基準がよくわからないよ~」
 ペルチェとルシアが口論している。
「逃げるよ」
 ジャンヌが小声で言う。
 ペルチェとルシアが言い合っている隙に逃げるということだろう。
「ああ」
 気絶したアキセをつれて。



「確認していいか」
 あの後、ルシアとペルチェが口論している内に逃げ出した。
 総統たちもどさくさに紛れて逃げたようだ。もう二度と会いたくない。
 アキセを連行し、ジャンヌと一緒に仕返ししてから、ジャンヌの説明を整理していた。
「ルシアと言う魔女はラプラスじゃなくて、空想を実現できる魔女で、そのタタリにかかっていた本をジャンヌが燃やそうとしたが、タタリにかかってなかった。あのカイジンは、ジジが実力で生み出したということでいいか」
「そうなるね」
「いろいろとついていかない」
 頭が痛くなる。
「今回も散々だったね」
 ジャンヌは言う。
「お願いだから、俺を解放させてくれ・・・」
「何を」
「とぼけるな」
「だって頼りのある男なんて目が離さないわよ。あと。その尻尾にも」
 ジャンヌはイタズラな笑みを見せる。
「おまえな・・・」
 イルは頭を抱えながら、ジャンヌと一緒に歩く。
 ボコボコにしたアキセを木に吊るしたままにして。
「俺を下ろせ!」
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