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檎守の魔女⑤
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「似合っているぞ」
タキシードを着たアキセが言う。
イラつく。ムカつく。不快。不愉快。
なぜなら、アキセが用意したドレスに着かえさせられているからだった。コルンの発明品『奴隷首輪』をつけられては、抵抗ができない。
あの後、アキセに言われるがまま、城まで連行された。
何をされるかと思えば、部屋に案内され、アキセが用意したドレスをメイドたちに着せられた。
前回は目を潰してやったのに。
今回は肩を露出する赤と白のドレスだった。
「そんな嫌な顔をするなよ。首輪はめられて嫌なのか。首元は隠しているからいいだろ」
首元はレースで隠しているが。
「少し笑えよ」
「笑えるかあああああああああああああああああああああああ!」
怒鳴る。
「嫌な相手に着せ替えられ!首輪をつけられ!ロザリオも奪われ!利用され!騙され!」
文句の一言言いながら徐々に近づく。
「分かったから。そんな怒鳴るなって!」
アキセが落ちつけようと手を前に出す。
「そもそもジャンヌだけでもよかったんだ。けど、林檎体質のおかげで仕事がやりやすかった」
「だから、ヘンリーと組んだのか!」
「別に情報だけでも奪ってよかったけど、ジャンヌを油断させるには彼を使った方がやりやすいと思って」
「それで、用無しになったヘンリーを置いてけぼりにしたのか」
連行された時に、気絶したヘンリーはそのまま置いた。
「一応林檎落としたじゃないか」
「間接的によ。魔女のタタリが、あれで解けたとは思えない」
「だとしてもただの人間一人に城まで侵入できるかよ」
――いや、執念深そうだけど。
「毎回ジャンヌのこと考えるのに結構頭使うんだぞ」
苦労しているぞとアキセはアピールする。
「そんなの知らん!頭の回路がぶっキレてそのままくたばれ!」
「そこまで暴言吐くなよ。毎回だろ。慣れろよ」
「慣れたら、おしまいよ!」
「いい加減。観念しろよ」
アキセが呆れるように言う。
「言わせたいか」
「うっ」
脅している。奴隷首輪で命令するぞと。
しかもアキセが口に指を指す。キスをさせるということ。絶対にイヤ。
「そろそろ時間だ。会場にまで行きましょうか」
アキセは手を出す。
アキセの手をジャンヌは置く。
「よろしい」
そのままアキセの指をゴキっと折る。
「あれでどう踊れと」
アキセは瞬時にコルンの発明品で回復させたようだ。
ジャンヌはアキセに会場まで案内されているところだった。
「踊らないという選択肢もある」
「つーか。そんなにキスいや。この間やったのに」
そうりつの魔女アニエス・ソナタ・ウェンディとコルンの発明品で入れ替わっていた。死にかける時にアキセがキスしようとした。
「あれは私の体ではないので、ノーカウントです」
その時、目の前に40代くらいの男がいた。
「これはこれはジョージ様」
「林檎はどこにある」
ジョージは機嫌悪く言う。
そうか。こいつがアキセと取引したのか。
「ご心配なく。こんな貴重品、他に狙っているかもしれませんからね。安全に確保していますので、ご安心を。披露宴の時には出します」
アキセにしか引き出せない指輪の中に仕舞っているだろう。渡した途端に裏切るのも確かにあるが。
「今すぐここに出せ」
「そんな心配しなくても出しますって。」
「言いから出せ。依頼したのは俺だぞ」
取引する相手を間違っている。
アキセは溜息を吐く。
「別にあなたでなくてもいいですよ」
ジョージはしかめる。
「約束を守って頂ければ、ちゃんとお渡しますから」
アキセは笑顔で言う。
「いいだろ」
ジョージは離れる。
「指輪の中でしょ」
「同然」
呆れて溜息を吐く。
タキシードを着たアキセが言う。
イラつく。ムカつく。不快。不愉快。
なぜなら、アキセが用意したドレスに着かえさせられているからだった。コルンの発明品『奴隷首輪』をつけられては、抵抗ができない。
あの後、アキセに言われるがまま、城まで連行された。
何をされるかと思えば、部屋に案内され、アキセが用意したドレスをメイドたちに着せられた。
前回は目を潰してやったのに。
今回は肩を露出する赤と白のドレスだった。
「そんな嫌な顔をするなよ。首輪はめられて嫌なのか。首元は隠しているからいいだろ」
首元はレースで隠しているが。
「少し笑えよ」
「笑えるかあああああああああああああああああああああああ!」
怒鳴る。
「嫌な相手に着せ替えられ!首輪をつけられ!ロザリオも奪われ!利用され!騙され!」
文句の一言言いながら徐々に近づく。
「分かったから。そんな怒鳴るなって!」
アキセが落ちつけようと手を前に出す。
「そもそもジャンヌだけでもよかったんだ。けど、林檎体質のおかげで仕事がやりやすかった」
「だから、ヘンリーと組んだのか!」
「別に情報だけでも奪ってよかったけど、ジャンヌを油断させるには彼を使った方がやりやすいと思って」
「それで、用無しになったヘンリーを置いてけぼりにしたのか」
連行された時に、気絶したヘンリーはそのまま置いた。
「一応林檎落としたじゃないか」
「間接的によ。魔女のタタリが、あれで解けたとは思えない」
「だとしてもただの人間一人に城まで侵入できるかよ」
――いや、執念深そうだけど。
「毎回ジャンヌのこと考えるのに結構頭使うんだぞ」
苦労しているぞとアキセはアピールする。
「そんなの知らん!頭の回路がぶっキレてそのままくたばれ!」
「そこまで暴言吐くなよ。毎回だろ。慣れろよ」
「慣れたら、おしまいよ!」
「いい加減。観念しろよ」
アキセが呆れるように言う。
「言わせたいか」
「うっ」
脅している。奴隷首輪で命令するぞと。
しかもアキセが口に指を指す。キスをさせるということ。絶対にイヤ。
「そろそろ時間だ。会場にまで行きましょうか」
アキセは手を出す。
アキセの手をジャンヌは置く。
「よろしい」
そのままアキセの指をゴキっと折る。
「あれでどう踊れと」
アキセは瞬時にコルンの発明品で回復させたようだ。
ジャンヌはアキセに会場まで案内されているところだった。
「踊らないという選択肢もある」
「つーか。そんなにキスいや。この間やったのに」
そうりつの魔女アニエス・ソナタ・ウェンディとコルンの発明品で入れ替わっていた。死にかける時にアキセがキスしようとした。
「あれは私の体ではないので、ノーカウントです」
その時、目の前に40代くらいの男がいた。
「これはこれはジョージ様」
「林檎はどこにある」
ジョージは機嫌悪く言う。
そうか。こいつがアキセと取引したのか。
「ご心配なく。こんな貴重品、他に狙っているかもしれませんからね。安全に確保していますので、ご安心を。披露宴の時には出します」
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「今すぐここに出せ」
「そんな心配しなくても出しますって。」
「言いから出せ。依頼したのは俺だぞ」
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「別にあなたでなくてもいいですよ」
ジョージはしかめる。
「約束を守って頂ければ、ちゃんとお渡しますから」
アキセは笑顔で言う。
「いいだろ」
ジョージは離れる。
「指輪の中でしょ」
「同然」
呆れて溜息を吐く。
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