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字崩の魔女②
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住民が目を覚ますと面倒くさかったので、とりあえず小道に入る。
「本当に行く先々にいるから嫌だわ」
「君がいるところにはいるさ」
「それが一番の悩みなんだけど」
と口調強めに嫌味に返す。
「あと何よ。その眼鏡」
「コルンが作った『見通すサングラス』。見えないものが見えるシンプルな発明品。これで魔女から逃げていたんだ」
「見えないもの・・・」
アキセにジト目で見つめる。
「おいおい。そんなやらしいことしてないって。つーかしたくても文字だけで興奮できるか」
「一生文字だけ見てろ」
と口調強めに言う。
「あんたの性欲を抑えられるなら、今回の魔女狩りは他の聖女に任せようと」
「いや、助けてください!」
なんかやけに素直に助けを求めている。
「なんか、企んでいるでしょ」
もう何かある。騙されない。
「文字を操るから魔術もロクに使えないし、魔女から身を守れません。助けてください」
素直に答えた。
「コルンのなら使えるでしょ」
「さっき見たろ。『光』にしか浄化できないから」
あ。そうだった。
「手伝いますので、助けてください!」
ここまで言うには相当追い込まれているのか。でも。
「イヤ」とシンプルに返す。
「俺がここまで素直に言っているんだぞ。助けてください」
「それが人に助けを求める言い方か。大丈夫。その内、別の聖女が退治してくれる。それまで我慢すれば」
「そんな滅相な」
アキセは情けない声を上げ、足にしがみついてきた。
「ああ!離せ!」
浮気してまくり、許してくれという男のように見えてきた。
アキセからも離れたいが、別に離れたい理由がある。
「つーか。早く!」
「あ~見つけました。ジャンヌさん!」
ナタルに見つかってしまった。
本当は逃げたかったけど、あまりにもナタルがしつこかったので、仕方なくやる羽目になった。
「ちょっとどこかに飛ばしなさいよ」
ナタルを転送すればいいのに。
「飛ばしたら、俺から逃げるだろ」
「ち」と悪態をつく。
アキセは、まだ『見通すサングラス』をかけている。見えないものを見えると言っていたが、やらしいところを見ていないことを祈りたい。
それ以外に考えるとしたら、今回の魔女に恐れているということ。魔術は使えないし、コルンの発明品も効かない。身を守れないからだと思うが。
「やっぱり魔女いるんですね」
ナタルは目を輝かせている。
「で、いつ魔女狩りに行きます!」
「は~」
重い溜息を吐く。
ナタルが魔女と見れば、話しを聞きたいがためにいろいろと邪魔される未来しか見えない。
「そういえば、魔女がどうしてこの街に襲ってきたんでしょうね」
ナタルが言う。
「魔術師が目的なら他の町にいくらでもあるのに」
「それもそうね。またあんたが何かしたんでしょう」
アキセに疑いの目をする。
「なんでもかんでも俺にするなって!俺も襲われたんだ」
「もしかしてこの街の賢者が持っているウィーン辞典を狙っているかもしれません」
「ウィーン辞典?ここにあるの?」
ウィーン辞典。じていの魔女マリカラ・ウィーンが作った魔女文字(ウィーンもじ)を収めたという本。
「文字を操る魔女なら一番に狙ってくるかもしれません。よく考えたら、被害者もその賢者が立てた学校の生徒でした」
癪だか、ナタルの発言で作戦を思いついた。
「魔女を誘うには、ウィーン辞典を餌にしておびき出すしかないわね」
丘の上にある大きい屋敷を見つめる。
「本当に行く先々にいるから嫌だわ」
「君がいるところにはいるさ」
「それが一番の悩みなんだけど」
と口調強めに嫌味に返す。
「あと何よ。その眼鏡」
「コルンが作った『見通すサングラス』。見えないものが見えるシンプルな発明品。これで魔女から逃げていたんだ」
「見えないもの・・・」
アキセにジト目で見つめる。
「おいおい。そんなやらしいことしてないって。つーかしたくても文字だけで興奮できるか」
「一生文字だけ見てろ」
と口調強めに言う。
「あんたの性欲を抑えられるなら、今回の魔女狩りは他の聖女に任せようと」
「いや、助けてください!」
なんかやけに素直に助けを求めている。
「なんか、企んでいるでしょ」
もう何かある。騙されない。
「文字を操るから魔術もロクに使えないし、魔女から身を守れません。助けてください」
素直に答えた。
「コルンのなら使えるでしょ」
「さっき見たろ。『光』にしか浄化できないから」
あ。そうだった。
「手伝いますので、助けてください!」
ここまで言うには相当追い込まれているのか。でも。
「イヤ」とシンプルに返す。
「俺がここまで素直に言っているんだぞ。助けてください」
「それが人に助けを求める言い方か。大丈夫。その内、別の聖女が退治してくれる。それまで我慢すれば」
「そんな滅相な」
アキセは情けない声を上げ、足にしがみついてきた。
「ああ!離せ!」
浮気してまくり、許してくれという男のように見えてきた。
アキセからも離れたいが、別に離れたい理由がある。
「つーか。早く!」
「あ~見つけました。ジャンヌさん!」
ナタルに見つかってしまった。
本当は逃げたかったけど、あまりにもナタルがしつこかったので、仕方なくやる羽目になった。
「ちょっとどこかに飛ばしなさいよ」
ナタルを転送すればいいのに。
「飛ばしたら、俺から逃げるだろ」
「ち」と悪態をつく。
アキセは、まだ『見通すサングラス』をかけている。見えないものを見えると言っていたが、やらしいところを見ていないことを祈りたい。
それ以外に考えるとしたら、今回の魔女に恐れているということ。魔術は使えないし、コルンの発明品も効かない。身を守れないからだと思うが。
「やっぱり魔女いるんですね」
ナタルは目を輝かせている。
「で、いつ魔女狩りに行きます!」
「は~」
重い溜息を吐く。
ナタルが魔女と見れば、話しを聞きたいがためにいろいろと邪魔される未来しか見えない。
「そういえば、魔女がどうしてこの街に襲ってきたんでしょうね」
ナタルが言う。
「魔術師が目的なら他の町にいくらでもあるのに」
「それもそうね。またあんたが何かしたんでしょう」
アキセに疑いの目をする。
「なんでもかんでも俺にするなって!俺も襲われたんだ」
「もしかしてこの街の賢者が持っているウィーン辞典を狙っているかもしれません」
「ウィーン辞典?ここにあるの?」
ウィーン辞典。じていの魔女マリカラ・ウィーンが作った魔女文字(ウィーンもじ)を収めたという本。
「文字を操る魔女なら一番に狙ってくるかもしれません。よく考えたら、被害者もその賢者が立てた学校の生徒でした」
癪だか、ナタルの発言で作戦を思いついた。
「魔女を誘うには、ウィーン辞典を餌にしておびき出すしかないわね」
丘の上にある大きい屋敷を見つめる。
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