187 / 642
魅稚の魔女④
しおりを挟む
何となくラピスとクノの狙いが分かってきた。
おそらくジャンヌにあの魔女を退治させるために、アキセをわざわざ子供にして餌にしたのだろう。
ただわざわざ聖女を使うのは、まだ謎だった。
聖女から逃げ出すほど呪力が強くない。クノや実力が知らないがラピスでも殺せないとは思うが。
どちらにしても今、大人に戻るわけにはいかない。正体がばれたら、確実にジャンヌに殺される。ここはジャンヌがあの魔女を退治するまで子供になるしかない。
せっかく子供になったというので、子供にしかできないことをしようとジャンヌに仕掛けたり、レオンに潰されたりと繰り返していた。
そして、いつの間にか夜になってしまい、街に着く前に野宿となった。
「もう二人ともさっきから何しているのよ」
ジャンヌが焚火の前で呆れて言う。
「お姉ちゃん。さっきからあのお兄ちゃん。怖いんだ」
わざとらしく泣き、ジャンヌに抱き着く。
「こいつ・・・」
「レオン。もしかして子供嫌いなの?」
「違う!そいつは!」
「うわあああああああああああああああああああああああああん」
言わせないように泣き叫ぶ。
「この・・・」
レオンが拳に殺意を込める。
「そんなにイヤなら、別に最後までいなくても」
「いやそれはダメ」とレオンが即答に返す。
二人きりにさせないためだろう。
「街に返すまでは一緒にいるからさ」
レオンがアキセに睨みつけられる。
ジャンヌに見えないようにレオンに舌を出す。
さらにレオンの顔がしかめる。
「分かった。もう夜だし、寝ましょう」
ジャンヌは視線と合わせる。
「どうする?怖いなら一緒に寝ようか」
その時、頭が過った。
もうこれからいろいろと思いついてしまった。いろいろと。
「一緒に!」
頭に何かが掴まれる。
「おいおい。男が甘えることするもんじゃないぞ~」
頭を掴むレオンが言う。
こいつ。
「寝る前に男同士で話したいことがあるから。ちょっと借りていく」
レオンに小脇に抱きえながら、ジャンヌから離れる。
ジャンヌから離れ、レオンと二人きりとなってしまった。
この状況だけは避けたかったのに。
レオンはアキセを雑に投げる。
「イテ!お兄ちゃん。イタイよ~」
わざと泣き叫ぶ。
「もういい加減にしろ!」
レオンは怒鳴る。
「ち」
悪態をつく。
「そんな子供になってまでジャンヌさんにいかがわしいことしやがって!」
「俺だって!お前に言いたいことがある!俺のいない間にジャンヌと親密になっているじゃないか!」
「お前がしないことを俺がしただけだ!」
ジャンヌとやっていないことは。まさかとは思うが、ジャンヌと性行為をしたというのか。
「まさか・・・ジャンヌと・・・」
レオンが赤くなる。
「違う!ジャンヌさんとやってない!」
「よかった。おまえが奥手だからできないと思っているし」
「んだと!」
レオンは怒声を上げる。
「もう我慢ができない!お前の正体をばらして、この間の男の下着泥棒のことも言ってやる!」
そういれば記憶を奪っていない。
以前、紅孩児とイーグスの思惑で男の下着を奪う羽目になった。それはジャンヌにはバレていない。
「待て!それは言うな!」
レオンを止めようとした時だった。
レオンの体が縮んでいく。
「もう言ってやる!」
レオンは自身の裾に踏み、顔から倒れる。
レオンが自身の体を見る。
「え?なんで?!」
レオンも幼くなった。
ということは近くにラピスかクノがいるかもしれない。
周辺を確認するが、体が急に縄に縛われる。
「え?」
後ろに引っ張られる。
よく見たら、レオンも縄に縛われている。
「つっかまえた~」
女の声。視線を向ければ、昼間襲撃してきた魔女が不気味に嬉しそうに笑う。
おそらくジャンヌにあの魔女を退治させるために、アキセをわざわざ子供にして餌にしたのだろう。
ただわざわざ聖女を使うのは、まだ謎だった。
聖女から逃げ出すほど呪力が強くない。クノや実力が知らないがラピスでも殺せないとは思うが。
どちらにしても今、大人に戻るわけにはいかない。正体がばれたら、確実にジャンヌに殺される。ここはジャンヌがあの魔女を退治するまで子供になるしかない。
せっかく子供になったというので、子供にしかできないことをしようとジャンヌに仕掛けたり、レオンに潰されたりと繰り返していた。
そして、いつの間にか夜になってしまい、街に着く前に野宿となった。
「もう二人ともさっきから何しているのよ」
ジャンヌが焚火の前で呆れて言う。
「お姉ちゃん。さっきからあのお兄ちゃん。怖いんだ」
わざとらしく泣き、ジャンヌに抱き着く。
「こいつ・・・」
「レオン。もしかして子供嫌いなの?」
「違う!そいつは!」
「うわあああああああああああああああああああああああああん」
言わせないように泣き叫ぶ。
「この・・・」
レオンが拳に殺意を込める。
「そんなにイヤなら、別に最後までいなくても」
「いやそれはダメ」とレオンが即答に返す。
二人きりにさせないためだろう。
「街に返すまでは一緒にいるからさ」
レオンがアキセに睨みつけられる。
ジャンヌに見えないようにレオンに舌を出す。
さらにレオンの顔がしかめる。
「分かった。もう夜だし、寝ましょう」
ジャンヌは視線と合わせる。
「どうする?怖いなら一緒に寝ようか」
その時、頭が過った。
もうこれからいろいろと思いついてしまった。いろいろと。
「一緒に!」
頭に何かが掴まれる。
「おいおい。男が甘えることするもんじゃないぞ~」
頭を掴むレオンが言う。
こいつ。
「寝る前に男同士で話したいことがあるから。ちょっと借りていく」
レオンに小脇に抱きえながら、ジャンヌから離れる。
ジャンヌから離れ、レオンと二人きりとなってしまった。
この状況だけは避けたかったのに。
レオンはアキセを雑に投げる。
「イテ!お兄ちゃん。イタイよ~」
わざと泣き叫ぶ。
「もういい加減にしろ!」
レオンは怒鳴る。
「ち」
悪態をつく。
「そんな子供になってまでジャンヌさんにいかがわしいことしやがって!」
「俺だって!お前に言いたいことがある!俺のいない間にジャンヌと親密になっているじゃないか!」
「お前がしないことを俺がしただけだ!」
ジャンヌとやっていないことは。まさかとは思うが、ジャンヌと性行為をしたというのか。
「まさか・・・ジャンヌと・・・」
レオンが赤くなる。
「違う!ジャンヌさんとやってない!」
「よかった。おまえが奥手だからできないと思っているし」
「んだと!」
レオンは怒声を上げる。
「もう我慢ができない!お前の正体をばらして、この間の男の下着泥棒のことも言ってやる!」
そういれば記憶を奪っていない。
以前、紅孩児とイーグスの思惑で男の下着を奪う羽目になった。それはジャンヌにはバレていない。
「待て!それは言うな!」
レオンを止めようとした時だった。
レオンの体が縮んでいく。
「もう言ってやる!」
レオンは自身の裾に踏み、顔から倒れる。
レオンが自身の体を見る。
「え?なんで?!」
レオンも幼くなった。
ということは近くにラピスかクノがいるかもしれない。
周辺を確認するが、体が急に縄に縛われる。
「え?」
後ろに引っ張られる。
よく見たら、レオンも縄に縛われている。
「つっかまえた~」
女の声。視線を向ければ、昼間襲撃してきた魔女が不気味に嬉しそうに笑う。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
側妃に追放された王太子
基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」
正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。
そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。
王の代理が側妃など異例の出来事だ。
「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」
王太子は息を吐いた。
「それが国のためなら」
貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。
無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
転生調理令嬢は諦めることを知らない
eggy
ファンタジー
リュシドール子爵の長女オリアーヌは七歳のとき事故で両親を失い、自分は片足が不自由になった。
それでも残された生まれたばかりの弟ランベールを、一人で立派に育てよう、と決心する。
子爵家跡継ぎのランベールが成人するまで、親戚から暫定爵位継承の夫婦を領地領主邸に迎えることになった。
最初愛想のよかった夫婦は、次第に家乗っ取りに向けた行動を始める。
八歳でオリアーヌは、『調理』の加護を得る。食材に限り刃物なしで切断ができる。細かい調味料などを離れたところに瞬間移動させられる。その他、調理の腕が向上する能力だ。
それを「貴族に相応しくない」と断じて、子爵はオリアーヌを厨房で働かせることにした。
また夫婦は、自分の息子をランベールと入れ替える画策を始めた。
オリアーヌが十三歳になったとき、子爵は隣領の伯爵に加護の実験台としてランベールを売り渡してしまう。
同時にオリアーヌを子爵家から追放する、と宣言した。
それを機に、オリアーヌは弟を取り戻す旅に出る。まず最初に、隣町まで少なくとも二日以上かかる危険な魔獣の出る街道を、杖つきの徒歩で、武器も護衛もなしに、不眠で、歩ききらなければならない。
弟を取り戻すまで絶対諦めない、ド根性令嬢の冒険が始まる。
主人公が酷く虐げられる描写が苦手な方は、回避をお薦めします。そういう意味もあって、R15指定をしています。
追放令嬢ものに分類されるのでしょうが、追放後の展開はあまり類を見ないものになっていると思います。
2章立てになりますが、1章終盤から2章にかけては、「令嬢」のイメージがぶち壊されるかもしれません。不快に思われる方にはご容赦いただければと存じます。
わたしは婚約者の不倫の隠れ蓑
岡暁舟
恋愛
第一王子スミスと婚約した公爵令嬢のマリア。ところが、スミスが魅力された女は他にいた。同じく公爵令嬢のエリーゼ。マリアはスミスとエリーゼの密会に気が付いて……。
もう終わりにするしかない。そう確信したマリアだった。
本編終了しました。
魔法のせいだからって許せるわけがない
ユウユウ
ファンタジー
私は魅了魔法にかけられ、婚約者を裏切って、婚約破棄を宣言してしまった。同じように魔法にかけられても婚約者を強く愛していた者は魔法に抵抗したらしい。
すべてが明るみになり、魅了がとけた私は婚約者に謝罪してやり直そうと懇願したが、彼女はけして私を許さなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる