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魅稚の魔女④

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 何となくラピスとクノの狙いが分かってきた。
 おそらくジャンヌにあの魔女を退治させるために、アキセをわざわざ子供にして餌にしたのだろう。
ただわざわざ聖女を使うのは、まだ謎だった。
 聖女から逃げ出すほど呪力が強くない。クノや実力が知らないがラピスでも殺せないとは思うが。
 どちらにしても今、大人に戻るわけにはいかない。正体がばれたら、確実にジャンヌに殺される。ここはジャンヌがあの魔女を退治するまで子供になるしかない。
 せっかく子供になったというので、子供にしかできないことをしようとジャンヌに仕掛けたり、レオンに潰されたりと繰り返していた。
 そして、いつの間にか夜になってしまい、街に着く前に野宿となった。
「もう二人ともさっきから何しているのよ」
 ジャンヌが焚火の前で呆れて言う。
「お姉ちゃん。さっきからあのお兄ちゃん。怖いんだ」
 わざとらしく泣き、ジャンヌに抱き着く。
「こいつ・・・」
「レオン。もしかして子供嫌いなの?」
「違う!そいつは!」
「うわあああああああああああああああああああああああああん」
 言わせないように泣き叫ぶ。
「この・・・」
 レオンが拳に殺意を込める。
「そんなにイヤなら、別に最後までいなくても」
「いやそれはダメ」とレオンが即答に返す。
 二人きりにさせないためだろう。
「街に返すまでは一緒にいるからさ」
 レオンがアキセに睨みつけられる。
ジャンヌに見えないようにレオンに舌を出す。
さらにレオンの顔がしかめる。
「分かった。もう夜だし、寝ましょう」
 ジャンヌは視線と合わせる。
「どうする?怖いなら一緒に寝ようか」
 その時、頭が過った。
 もうこれからいろいろと思いついてしまった。いろいろと。
「一緒に!」
 頭に何かが掴まれる。
「おいおい。男が甘えることするもんじゃないぞ~」
 頭を掴むレオンが言う。
 こいつ。
「寝る前に男同士で話したいことがあるから。ちょっと借りていく」
 レオンに小脇に抱きえながら、ジャンヌから離れる。


 ジャンヌから離れ、レオンと二人きりとなってしまった。
 この状況だけは避けたかったのに。
 レオンはアキセを雑に投げる。
「イテ!お兄ちゃん。イタイよ~」
 わざと泣き叫ぶ。
「もういい加減にしろ!」
 レオンは怒鳴る。
「ち」
 悪態をつく。
「そんな子供になってまでジャンヌさんにいかがわしいことしやがって!」
「俺だって!お前に言いたいことがある!俺のいない間にジャンヌと親密になっているじゃないか!」
「お前がしないことを俺がしただけだ!」
 ジャンヌとやっていないことは。まさかとは思うが、ジャンヌと性行為をしたというのか。
「まさか・・・ジャンヌと・・・」
 レオンが赤くなる。
「違う!ジャンヌさんとやってない!」
「よかった。おまえが奥手だからできないと思っているし」
「んだと!」
 レオンは怒声を上げる。
「もう我慢ができない!お前の正体をばらして、この間の男の下着泥棒のことも言ってやる!」
 そういれば記憶を奪っていない。
 以前、紅孩児とイーグスの思惑で男の下着を奪う羽目になった。それはジャンヌにはバレていない。
「待て!それは言うな!」
 レオンを止めようとした時だった。
 レオンの体が縮んでいく。
「もう言ってやる!」
 レオンは自身の裾に踏み、顔から倒れる。
 レオンが自身の体を見る。
「え?なんで?!」
 レオンも幼くなった。
 ということは近くにラピスかクノがいるかもしれない。
 周辺を確認するが、体が急に縄に縛われる。
「え?」
 後ろに引っ張られる。
 よく見たら、レオンも縄に縛われている。
「つっかまえた~」
 女の声。視線を向ければ、昼間襲撃してきた魔女が不気味に嬉しそうに笑う。
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