魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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宿器の魔女 後半④

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「ジャンヌさん!」
「派手に知らせたわね」
 ジャンヌは来てくれたのは嬉しいが。
「ユビワちゃん。こいつは?」
 後から追いかけてきたヨロイトが声をかける。
「まさか・・・こいつは・・・」
「ごめんなさい」
 ユビワは召喚した指飾りで描いた陣をヨロイトに投げる。
 陣に当たったヨロイトは陣と共に消える。
「魔術で転送しました」
ヨロイトは、トウキの家まで避難させた。
 ジャンヌと合流ができた。ジャンヌはトウキと退治し、ただの指輪に戻るつもりだった。けど。
「ジャンヌさん。トウキさんはなぜ暴走したのですか?襲撃した魔女が何かしたそうですが・・・」
 ジャンヌは真剣な眼差しで見つめる。
「その魔女は昨日殺し損なったふうきゅうの魔女ヒルダ・レイディ。何もかも朽ちらせる。おそらく理性を朽ちらせたんだと思う」
「そんなことが・・・」
「理性を失った魔女はナリカケになりやすい。見過ごすことはできない。もう殺すしかない」
 ナリカケは、魔女が共食いを行い、黒女神へと繋がる段階。黒女神の復活を阻止するため、もう殺すしかない。
「ヒルダの目的は私よ」
「え?」
「昨日の仕返しにトウキを使った。根に持つ魔女が考えそうなことよ」
「それにトウキさんは巻き込まれたんですか」
 少し感情的になった。
「そんなにトウキと仲が良くなったのね」
 見抜かれたように心に刺さった。
「『伝達インコ』でトウキの仲を知っている」
 今までの会話を聞いていたのだろう。
「嫌ならやめてもいい」
 ジャンヌから思わない言葉を発した。
「暴走したトウキを止めるには殺すしかない。時間をかけたくないし、確実に殺したい。そんな情緒不安定中、参加してほしくない。それに・・・」
 ジャンヌは言葉を詰まる。
「友達を殺したくないでしょう」
 ジャンヌはロザリオを取り出し、トウキの元へ歩き出す。
 ユビワは、その言葉で決意した。
 理性を失った魔女は元に戻ることがない。想いや記憶まで失っているかもしれない。生きた屍のようにトウキは築き上げた街を破壊し続ける。
「待って下さい!」
 戦場に行くジャンヌを止める。
「やります!」
 もう決めた。
「私は友達として止めます。これ以上トウキさんを暴走させたくない」
 ジャンヌに思いを伝える。
「分かった。作戦がある」
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