魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

宿器の魔女 後半①

「何？」
　夕方に聴いた鐘の音とは違っていた。
　その時、アキセが距離を縮め、サブマシンガンを奪い取られ、腕を掴まれる。
　少女の自力ではアキセに対抗できない。
「おまえな。よくも主人を見捨てたな」
　アキセは、突き刺すような目つきで口調を強めに言う。
「人になったのも魔女の呪力と分かれば」
　アキセの行動が読めた。
　奪う魔力でユビワの中にある魔女の『呪力』を奪い、指輪に戻すつもりだ。
　必死に手を大きく振ろうにもアキセの手から離れられない。その時だった。
　アキセが急に苦しんだ。
　それはヌノノの布の尾でアキセの首が絞められているからだった。
「ヌノノさん！」
「姉さんに頼んできたと思えば、この人間はどうやって・・・」
　アキセはヌノノの布を掴む。
「離れて！」
　その時、ヌノノは萎えていく。アキセの奪う魔力を発動している。アキセの首に絡めた布が緩んだ隙にアキセはヌノノを掴む。
　銃を召喚するが。
「召喚したら、ただの布にする」
　とても冷たい瞳でアキセに脅される。
「魔女に頼まれてきたってなんだ。それにあの鐘はなんだ。言え」
　ヌノノを掴む。
「あの鐘は・・・避難の鐘・・・一緒に避難をしてと・・・」
　ヌノノの視線がアキセではなく、ユビワに向けられる。ヌノノはユビワに伝えようとしている。
「捕獲した人間の逃亡・・・魔女の襲撃・・・」
「ほ～なら好都合」
　アキセはヌノノを捨てる。
　ヌノノは虫の息だった。アキセから大部『呪い』を引き抜いたのだろう。
「ヌノノさん！」
　ヌノノにかけようとしたが、アキセに首を絞められる。
　アキセの手をどかそうにも少女の力では抵抗も空しい。このままでは奪う魔力で指輪に戻ってしまう。アキセの元には戻りたくない。
「アーキーセー」
　ジャンヌの声でユビワとアキセは固まる。
「え！？ジャンヌ？！」
　アキセが一番に驚く。
「な～に～ユビワちゃんをいじめているのかな～」
　声だけでも圧を感じる。
「おまえ。『伝達インコ』を・・・」
　腕に付けた『伝達インコ』専用の腕輪に気付いたようだ。
「ジャンヌさん！」
「ごめん。早く声をかけるべきだった。それにアーキーセー」
　ジャンヌはさらに口調を強めた。
「後で覚えておきなさいよ」とドスの入った声でジャンヌは言う。
「その前に逃げてやる！」
　アキセは奪う魔力で腕輪を奪われる。腕輪を投げ、壁に激突し、壊れてしまう。これでジャンヌとの連絡が途絶える。
「来い！」
　アキセに引っ張られ、部屋を出る。