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酷糧の魔女①
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「くそ・・・腹減った・・・」
森の中で空腹のアキセはうつ伏せで倒れていた。
「なんで急に森の中で腹減るんだよ。今までだってそんな描写なかったじゃん。食べるシーンなんてなかったじゃん。考えるの面倒くさかったからって、急に腹をへかせるってどういうことだよ」
ぶつぶつと切れ気味に言っている時だった。
「あら。どうかいたしました?」
女の声がした。
「ああ」
顔を上げる。
長い金髪。緑色。片手にバスケットを持っている。メイド帽子をかぶり、白のエプロンドレスを着た20代くらいの女だった。
かなりの美人。これはイケる。
「もしかして、お腹を減っているんですか?」
女は首をかしげる。
「でしたら、このクッキーを食べますか?」
バスケットからクッキーを取り出す。しゃがみ込み、アキセの前まで手を伸ばす。
「これで元気になってください」
優しく見つめる女。
――あ~俺が求めてた理想の女~ジャンヌなら絶対にやらない。
「では、お言葉に甘えて」
クッキーを受け取り、口の中へと入れ、齧った瞬間だった。
――え?ナニコレ。この世に思えない味なんだけど。
味が薄い。辛い。苦い。渋い。いろいろと味があるが、一言で簡単に言えば、まずい。
今まで感じたこともない味を感じる。泥のような味。噛み砕いた瞬間に臭った死臭。すぐにでも吐き出したい。
料理が下手にしてもここまで作り上げられるものだろうか。こんな母性が溢れる女が作り上げたとは思えない。
「どうかいたしました?美味しさのあまりに固まってしまいましたか?」
やはり本人が作ったようだ。しかも無自覚。
もう関わりたくない。早くこの女から逃げなくては。
空腹で動けなくなった体を無理やり起こす。
「もう俺元気になりました」
「そうですか。それは何よりです。でももっと食べてもいいんですよ」
女は笑顔でバスケットを差し出す。
「いや。もう十分あなたの手料理を堪能したので、では、俺はこれで!」
一目散に逃げる。
1時間後。
おかしい。
なんでこんなに息が乱れているんだ。苦しい。熱い。しかも吐き出すほどに気持ち悪くなってきた。木に寄りかからないと立てないほどに体調が崩れていく。
どう考えてもあのクッキーを食べてからだ。
それにあのクッキーを食べたくなるのはなぜなんだ。あんなにまずかったのに。もう食べたくないのに。それでもあのクッキーに恋しくなるのはなぜだ。
奪う魔力で毒を奪おうにも、魔力が乱れてうまく発動できない。
木に体を預けながら、いつの間にか森の中の小さな家につく。
「ここって・・・」
まさかと思っていたが、家から誰か出できたと思えば、先ほど会った女だった。
「あら、先ほどの方ではありませんか」
あの女の家だった。
「大丈夫ですか。先ほどよりも体調が悪くなってますよ」
女は慌てた様子で近づき、心配そうに見つめる。
「でも、大丈夫ですよ。私の食事を食べれば元気になります」
女は自信満々に言う。
「いや、遠慮します・・・」
――おまえのせいで悪化したじゃないか
「なぜです。このままでは回復しませんよ」
なぜ、食べれば元気になれると思っているだろうか。
「いやこれ以上は・・・」
逆に死ぬ。早く逃げなければ。
「さあさあ」
ぐいぐいと腕を掴まれ、無理やり引っ張られる。
「そういえば、申し遅れました。私。酷糧(こくりょう)の魔女ダフネ・ローネルーと申します」
もう納得した。
彼女が魔女だったから、まずいのを作れたのか。
森の中で空腹のアキセはうつ伏せで倒れていた。
「なんで急に森の中で腹減るんだよ。今までだってそんな描写なかったじゃん。食べるシーンなんてなかったじゃん。考えるの面倒くさかったからって、急に腹をへかせるってどういうことだよ」
ぶつぶつと切れ気味に言っている時だった。
「あら。どうかいたしました?」
女の声がした。
「ああ」
顔を上げる。
長い金髪。緑色。片手にバスケットを持っている。メイド帽子をかぶり、白のエプロンドレスを着た20代くらいの女だった。
かなりの美人。これはイケる。
「もしかして、お腹を減っているんですか?」
女は首をかしげる。
「でしたら、このクッキーを食べますか?」
バスケットからクッキーを取り出す。しゃがみ込み、アキセの前まで手を伸ばす。
「これで元気になってください」
優しく見つめる女。
――あ~俺が求めてた理想の女~ジャンヌなら絶対にやらない。
「では、お言葉に甘えて」
クッキーを受け取り、口の中へと入れ、齧った瞬間だった。
――え?ナニコレ。この世に思えない味なんだけど。
味が薄い。辛い。苦い。渋い。いろいろと味があるが、一言で簡単に言えば、まずい。
今まで感じたこともない味を感じる。泥のような味。噛み砕いた瞬間に臭った死臭。すぐにでも吐き出したい。
料理が下手にしてもここまで作り上げられるものだろうか。こんな母性が溢れる女が作り上げたとは思えない。
「どうかいたしました?美味しさのあまりに固まってしまいましたか?」
やはり本人が作ったようだ。しかも無自覚。
もう関わりたくない。早くこの女から逃げなくては。
空腹で動けなくなった体を無理やり起こす。
「もう俺元気になりました」
「そうですか。それは何よりです。でももっと食べてもいいんですよ」
女は笑顔でバスケットを差し出す。
「いや。もう十分あなたの手料理を堪能したので、では、俺はこれで!」
一目散に逃げる。
1時間後。
おかしい。
なんでこんなに息が乱れているんだ。苦しい。熱い。しかも吐き出すほどに気持ち悪くなってきた。木に寄りかからないと立てないほどに体調が崩れていく。
どう考えてもあのクッキーを食べてからだ。
それにあのクッキーを食べたくなるのはなぜなんだ。あんなにまずかったのに。もう食べたくないのに。それでもあのクッキーに恋しくなるのはなぜだ。
奪う魔力で毒を奪おうにも、魔力が乱れてうまく発動できない。
木に体を預けながら、いつの間にか森の中の小さな家につく。
「ここって・・・」
まさかと思っていたが、家から誰か出できたと思えば、先ほど会った女だった。
「あら、先ほどの方ではありませんか」
あの女の家だった。
「大丈夫ですか。先ほどよりも体調が悪くなってますよ」
女は慌てた様子で近づき、心配そうに見つめる。
「でも、大丈夫ですよ。私の食事を食べれば元気になります」
女は自信満々に言う。
「いや、遠慮します・・・」
――おまえのせいで悪化したじゃないか
「なぜです。このままでは回復しませんよ」
なぜ、食べれば元気になれると思っているだろうか。
「いやこれ以上は・・・」
逆に死ぬ。早く逃げなければ。
「さあさあ」
ぐいぐいと腕を掴まれ、無理やり引っ張られる。
「そういえば、申し遅れました。私。酷糧(こくりょう)の魔女ダフネ・ローネルーと申します」
もう納得した。
彼女が魔女だったから、まずいのを作れたのか。
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