魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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屍花の魔女②

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  青の聖女ヒュパティラは、『光』を水に変える聖女。ジャンヌに対して妙に敵意を見せる聖女でもある。
「待ち合わせ場所に来ないから、探し回ったぞ!」
 ヒュパティアは怒っている。
「お前嫌われているのか」
 アキセが言う。
「うるさい」
 アキセは、ヒュパティアをいやらしい目つきで見つめる。
「まあ、顔はそこそこだか、もうちょっとかわいげがあればイケる」
「だったら、あげる」
「ちょっと!」
 ヒュパティアは声を上げる。
「ジャンヌ。何よ。そこの人間は?」
 あれ?気付いていない。アガタはすぐに気づいたというのに。いや、アガタは別格か。
「仲間できたの?」とヒュパティアが尋ねる。
「違う!」と即座に答えるジャンヌ。
「婚約者です」とアキセが言うので、顔を殴り、アキセを倒す。
「仲間じゃないの・・・」
「悪質ストーカー!」
「は~あなたたちの関係はこの際どうでもいいわ」
 ヒュパティアは溜息を吐きながら、呆れたように言う。
「そうしてくれる。で。なんでヒュパティアがここにいるのよ」
「イヴ様に言われたからよ」
「え?」
「今回はジャンヌと組むようにって・・・イヴ様から訊いてないの?」
「・・・」
 白い鳥はそういうことか。ヒュパティアと組ませ、魔女を退治するというのが、今回の任務のようだ。
「逃げたでしょ」
 ヒュパティアはジト目で見つめる。
「ち」
「舌打ちしないでよ」
――だって、ヒュパティアは面倒くさいんだもん。
「私だってあなたと組みたくないわよ。でもイヴ様の指示で仕方なく。ジャンヌが苦手な魔女と会うから一緒に手伝いなさいって。イヴ様の配慮にも感謝しなさいよ」
「そこは感謝しますよ。さあ。さっさと終わらせて解散しましょ」
「ちょっと。言い方っていうのがあるんじゃないの」
 ヒュパティアは切れ気味に言う。
「ジャンヌ。やっぱ嫌われているのか」
 いつの間にか復活したアキセがまた同じ質問をする。
「答える気はない。あんたも一緒に来なさい」
「え~あ~」
 嫌そうな声から何かを閃いたように声を上げる。
「分かった。あの魔女にヤキモチ焼いているから一緒にいたいのか」
 アキセがジト目で見つめる。
「殺すぞ!」
 ドスを入った声で拳に怒りを込める。
 アキセが怖気る。
「ジャンヌ。その人間も一緒に行くの?」
 ヒュパティアは尋ねる。
「だから悪質なストーカーなの。一緒にいたくないけど、目を離すと何してかすが分からない不幸を呼ぶ男なの」
「それ、前回聞いた」
 アキセの小さなツッコミを無視する。
「今回はパスしようとしたが、仕方がない。ジャンヌがいてほしいなら一緒にッ」
 唐突にアキセは大きい白い花に丸ごと噛まれる。そのまま地中へと消えていった。
「行きましょ」
 ジャンヌは歩く。
「仲間じゃないの?」
「言ったでしょ。悪質ストーカーって」
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