魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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聖女に憧れる少女①

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 お昼頃、森に歩いている時だった。
 少女が魔獣に襲われていた。
 ジャンヌよりも若そうな10代前半の金髪の少女がレイピアで魔獣に挑んでいる。
 こんな森の中に一人? 魔獣(モンスター)相手に剣一つでやるなんて。
 魔獣(モンスター)は、体毛が棘のように伸びているニードルキャット。人と同じくらいの大きさ。ただ単独で行動する魔獣(モンスター)が、集団で少女を襲っている。
 どういうことだ。集団でしかも少女に襲われるなんて。あり得るとしたら、近くに魔女の『呪い』に惹かれて集まったか、それとも誰かに操られているのか。
 その時ニードルキャットの一体と目が合う。
 気付かれた。
 ニードルキャットが迫ってくる。
「たく」
 手に白い炎を込め、大きく払う。迫ってきたニードルキャットを燃やす。
 他のニードルキャットも仲間を燃やされたことに気づき、森の中へと走っていた。
――よかった。無駄に戦わなくてすんだ
 一息ついたと思えば、少女と目が合う。
「あなたは!」
 少女が一気に距離を詰める。
「あなたは、聖女様ですね!」
 少女は目を輝いている。
「聖女様!私、サーラと申します。弟子にしてください!」
「何言っているのよ」
 即答するジャンヌは無視して歩く。
「本気なんです!弟子にしてください!」
 サーラは必死に懇願するが、無視する。その内どこかに行くだろう。
 半日後。
――チクショー甘かった。そうだ。私の周りにはしつこい奴ばかりだった。
 まだついてくるサーラ。諦める様子がない。
「ねえ、諦めてくれない」
「いやです。諦めません!」
「諦めて」
 溜息した途端だった。
「おまえ、弟子を取ったのか」
 体が固まった。それは背後にアキセ・リーガンが立っていたからだった。
――なんでタイミングよく出るのよ。いつも。
「トラブルメーカー」
「なんだよ。いきなり」
 アキセは不満そうに返す。
「師匠なんですか。この人?」
 訊いてこないで~
「彼氏です」とアキセが代わりに答える。
「ウソだから。つーか勝手に師匠って呼ぶな」
「お願いですから~」
「ああ!」と唸り声を上げる。
 もうイライラする。今のタイミングでアキセにも会いたくなかったし、魔女と鉢合わせるわけにはいかない。絶対に余計なことする。魔女と会う前になんとかしなければ。
 とりあえず、この子の正体を確かめなくては。
 少女一人でこの森にいる。服装から見て新しい。旅に出かけたばかりと考える。確か近くに街がある。
「私、長旅で疲れたから町にも休みたいなー」
「え?!」
 サーラは驚いている。
「あら、どうしたの?」
「いえ・・・なんでも・・・近場の町は治安が悪いそうなので、それより近くで魔女が現れたみたいなので先に・・・」
 よし、知っている街のようだ。
「さあ。行きましょう」
 街に向かうことにした。
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