146 / 654
聖女になりたかった魔女④
しおりを挟む
泣いているトリスは、叫び声を上げる。
耳を塞ぐほどの高音の叫び声が響き、兵士たちの頭を飛ばされ、体は人形のように倒れていく。
ジャンヌは、『光』の浄化により助かった。
トリスは長い黒い手は前後に動かし、迫ってくる。
ロザリオで構えるが、ジャンヌを素通りする。
「え?」
襲わなかった。
魔女として覚醒しても理性は残っているのか。だとしたら、狙っているのは王様だろう。あの方向は街がある。そして城がある。襲撃する。
すぐに後を追う。
トリスが通った後は、ドロっとした黒い水溜りがある。黒い水溜りから『呪い』が漂っている。
その先に黒い水溜まりの中に誰かが倒れている。近くに見れば、半身溶けているジャックだった。ほとんど骨が見え、体が腐っていた。
魔女から離れたのか。
「た・・す・・・けて・・・・」
生きているが、死にかけている。
「おかあ・・・さん・・・を・・・」と言って、ジャックは骨となり、塵となって消えた。
ジャックは魔女の一部となって消えた。
トリスは、子供たちを死なせないように取り込んだのだろうか。だとしてももう人間ではなくなり、魔女の一部として生きることになってしまった。
ジャックがジャンヌに助けを求められた。トリスを助けてほしいと。あのままではトリスは救われないと感じたのだろう。
「分かった・・・」
黒い水溜まりを辿れば、街に入った。昼間の時と違って、赤く染まり、黒いモヤが漂っている。
『呪い』の濃度が高まり、暴動が起きている。建物を破壊し、人は殴り合っている。武器を持って襲っている。一部が人の姿をしていない。
『呪い』の影響を受け、魔族(アビス)化が進行している。急激な魔族(アビス)化は、異形な姿をし、理性を失う。
トリスが原因なのか。この現状を治めるにしてもトリスを殺すしかない。
黒い水溜まりは城まで続いていた。
城の門番が破壊され、城の中へと進入する。玉座にたどり着いた。
「全てはおまえのせいだ!」
トリスが王様を追い詰めていた。
壁が破壊されている。壁を壊して玉座に侵入したといったところだろう。
「悲嘆(ひたん)の魔女トリス・スクリームが殺してやる!」
トリスが王様に手をかけようとした時、白い炎を飛ばし、黒い手を燃やす。
叫び声を上げる。
背後からロザリオを刺し込む。
「殺させない!」
トリスは大きく黒い手を払い、ジャンヌを飛ばす。
ジャンヌは壁に激突される。
「子供たちを殺させない!」
トリスは腹から異形な姿をした子供を出す。
殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで。
泣きそうな声で子供たちが叫ぶ。
――「僕たちは、シスターが魔女でも一緒にいるよ!だって僕たちのお母さんだもん!」
変わり果てた子供たちを見て、ジャックや子供たちを思い出す。
トリスは泣きながら見つめる。
――「私はできる限り子供たちといたいだけです」
魔女とは思えない笑顔のトリスを思い出す。
「子供を使って動揺を誘うつもり。随分と成り下がったもんね」
ジャンヌはトリスを見下す。
「結局おまえは魔女なんだよ・・・どんなに善意や常識を持っていたとしても・・・手段を選ばないワガママ自己中魔女と変わらないのよ。魔女!」
立ちながらトリスに睨みつける。
「だから。あんたをただのトリスにまでに浄化してやる」
ロザリオを握り直す。
「もうこれ以上、子供たちを巻き込ませるな」
ロザリオに白い炎を纏う。
「殺さないでぇええええええええええええええ」
トリスは腹から子供を伸ばしていく。
白い炎を纏ったロザリオを大きく払う。
子供たちを燃やし、トリスを燃やしていく。
「聖女があなたでよかった」
一瞬聞こえたトリスの声が嬉しそうに聞こえた。
――おまえは魔女なんだよ。だからそんなことを言わないで。
耳を塞ぐほどの高音の叫び声が響き、兵士たちの頭を飛ばされ、体は人形のように倒れていく。
ジャンヌは、『光』の浄化により助かった。
トリスは長い黒い手は前後に動かし、迫ってくる。
ロザリオで構えるが、ジャンヌを素通りする。
「え?」
襲わなかった。
魔女として覚醒しても理性は残っているのか。だとしたら、狙っているのは王様だろう。あの方向は街がある。そして城がある。襲撃する。
すぐに後を追う。
トリスが通った後は、ドロっとした黒い水溜りがある。黒い水溜りから『呪い』が漂っている。
その先に黒い水溜まりの中に誰かが倒れている。近くに見れば、半身溶けているジャックだった。ほとんど骨が見え、体が腐っていた。
魔女から離れたのか。
「た・・す・・・けて・・・・」
生きているが、死にかけている。
「おかあ・・・さん・・・を・・・」と言って、ジャックは骨となり、塵となって消えた。
ジャックは魔女の一部となって消えた。
トリスは、子供たちを死なせないように取り込んだのだろうか。だとしてももう人間ではなくなり、魔女の一部として生きることになってしまった。
ジャックがジャンヌに助けを求められた。トリスを助けてほしいと。あのままではトリスは救われないと感じたのだろう。
「分かった・・・」
黒い水溜まりを辿れば、街に入った。昼間の時と違って、赤く染まり、黒いモヤが漂っている。
『呪い』の濃度が高まり、暴動が起きている。建物を破壊し、人は殴り合っている。武器を持って襲っている。一部が人の姿をしていない。
『呪い』の影響を受け、魔族(アビス)化が進行している。急激な魔族(アビス)化は、異形な姿をし、理性を失う。
トリスが原因なのか。この現状を治めるにしてもトリスを殺すしかない。
黒い水溜まりは城まで続いていた。
城の門番が破壊され、城の中へと進入する。玉座にたどり着いた。
「全てはおまえのせいだ!」
トリスが王様を追い詰めていた。
壁が破壊されている。壁を壊して玉座に侵入したといったところだろう。
「悲嘆(ひたん)の魔女トリス・スクリームが殺してやる!」
トリスが王様に手をかけようとした時、白い炎を飛ばし、黒い手を燃やす。
叫び声を上げる。
背後からロザリオを刺し込む。
「殺させない!」
トリスは大きく黒い手を払い、ジャンヌを飛ばす。
ジャンヌは壁に激突される。
「子供たちを殺させない!」
トリスは腹から異形な姿をした子供を出す。
殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで。
泣きそうな声で子供たちが叫ぶ。
――「僕たちは、シスターが魔女でも一緒にいるよ!だって僕たちのお母さんだもん!」
変わり果てた子供たちを見て、ジャックや子供たちを思い出す。
トリスは泣きながら見つめる。
――「私はできる限り子供たちといたいだけです」
魔女とは思えない笑顔のトリスを思い出す。
「子供を使って動揺を誘うつもり。随分と成り下がったもんね」
ジャンヌはトリスを見下す。
「結局おまえは魔女なんだよ・・・どんなに善意や常識を持っていたとしても・・・手段を選ばないワガママ自己中魔女と変わらないのよ。魔女!」
立ちながらトリスに睨みつける。
「だから。あんたをただのトリスにまでに浄化してやる」
ロザリオを握り直す。
「もうこれ以上、子供たちを巻き込ませるな」
ロザリオに白い炎を纏う。
「殺さないでぇええええええええええええええ」
トリスは腹から子供を伸ばしていく。
白い炎を纏ったロザリオを大きく払う。
子供たちを燃やし、トリスを燃やしていく。
「聖女があなたでよかった」
一瞬聞こえたトリスの声が嬉しそうに聞こえた。
――おまえは魔女なんだよ。だからそんなことを言わないで。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説

竹林にて清談に耽る~竹姫さまの異世界生存戦略~
月芝
ファンタジー
庭師であった祖父の薫陶を受けて、立派な竹林好きに育ったヒロイン。
大学院へと進学し、待望の竹の研究に携われることになり、ひゃっほう!
忙しくも充実した毎日を過ごしていたが、そんな日々は唐突に終わってしまう。
で、気がついたら見知らぬ竹林の中にいた。
酔っ払って寝てしまったのかとおもいきや、さにあらず。
異世界にて、タケノコになっちゃった!
「くっ、どうせならカグヤ姫とかになって、ウハウハ逆ハーレムルートがよかった」
いかに竹林好きとて、さすがにこれはちょっと……がっくし。
でも、いつまでもうつむいていたってしょうがない。
というわけで、持ち前のポジティブさでサクっと頭を切り替えたヒロインは、カーボンファイバーのメンタルと豊富な竹知識を武器に、厳しい自然界を成り上がる。
竹の、竹による、竹のための異世界生存戦略。
めざせ! 快適生活と世界征服?
竹林王に、私はなる!

婚約破棄?一体何のお話ですか?
リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。
エルバルド学園卒業記念パーティー。
それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる…
※エブリスタさんでも投稿しています


もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。
「では開廷いたします」
家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

素直になる魔法薬を飲まされて
青葉めいこ
ファンタジー
公爵令嬢であるわたくしと婚約者である王太子とのお茶会で、それは起こった。
王太子手ずから淹れたハーブティーを飲んだら本音しか言えなくなったのだ。
「わたくしよりも容姿や能力が劣るあなたが大嫌いですわ」
「王太子妃や王妃程度では、このわたくしに相応しくありませんわ」
わたくしといちゃつきたくて素直になる魔法薬を飲ませた王太子は、わたくしの素直な気持ちにショックを受ける。
婚約解消後、わたくしは、わたくしに相応しい所に行った。
小説家になろうにも投稿しています。

私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシャリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

冤罪で追放した男の末路
菜花
ファンタジー
ディアークは参っていた。仲間の一人がディアークを嫌ってるのか、回復魔法を絶対にかけないのだ。命にかかわる嫌がらせをする女はいらんと追放したが、その後冤罪だったと判明し……。カクヨムでも同じ話を投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる