146 / 648
聖女になりたかった魔女④
しおりを挟む
泣いているトリスは、叫び声を上げる。
耳を塞ぐほどの高音の叫び声が響き、兵士たちの頭を飛ばされ、体は人形のように倒れていく。
ジャンヌは、『光』の浄化により助かった。
トリスは長い黒い手は前後に動かし、迫ってくる。
ロザリオで構えるが、ジャンヌを素通りする。
「え?」
襲わなかった。
魔女として覚醒しても理性は残っているのか。だとしたら、狙っているのは王様だろう。あの方向は街がある。そして城がある。襲撃する。
すぐに後を追う。
トリスが通った後は、ドロっとした黒い水溜りがある。黒い水溜りから『呪い』が漂っている。
その先に黒い水溜まりの中に誰かが倒れている。近くに見れば、半身溶けているジャックだった。ほとんど骨が見え、体が腐っていた。
魔女から離れたのか。
「た・・す・・・けて・・・・」
生きているが、死にかけている。
「おかあ・・・さん・・・を・・・」と言って、ジャックは骨となり、塵となって消えた。
ジャックは魔女の一部となって消えた。
トリスは、子供たちを死なせないように取り込んだのだろうか。だとしてももう人間ではなくなり、魔女の一部として生きることになってしまった。
ジャックがジャンヌに助けを求められた。トリスを助けてほしいと。あのままではトリスは救われないと感じたのだろう。
「分かった・・・」
黒い水溜まりを辿れば、街に入った。昼間の時と違って、赤く染まり、黒いモヤが漂っている。
『呪い』の濃度が高まり、暴動が起きている。建物を破壊し、人は殴り合っている。武器を持って襲っている。一部が人の姿をしていない。
『呪い』の影響を受け、魔族(アビス)化が進行している。急激な魔族(アビス)化は、異形な姿をし、理性を失う。
トリスが原因なのか。この現状を治めるにしてもトリスを殺すしかない。
黒い水溜まりは城まで続いていた。
城の門番が破壊され、城の中へと進入する。玉座にたどり着いた。
「全てはおまえのせいだ!」
トリスが王様を追い詰めていた。
壁が破壊されている。壁を壊して玉座に侵入したといったところだろう。
「悲嘆(ひたん)の魔女トリス・スクリームが殺してやる!」
トリスが王様に手をかけようとした時、白い炎を飛ばし、黒い手を燃やす。
叫び声を上げる。
背後からロザリオを刺し込む。
「殺させない!」
トリスは大きく黒い手を払い、ジャンヌを飛ばす。
ジャンヌは壁に激突される。
「子供たちを殺させない!」
トリスは腹から異形な姿をした子供を出す。
殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで。
泣きそうな声で子供たちが叫ぶ。
――「僕たちは、シスターが魔女でも一緒にいるよ!だって僕たちのお母さんだもん!」
変わり果てた子供たちを見て、ジャックや子供たちを思い出す。
トリスは泣きながら見つめる。
――「私はできる限り子供たちといたいだけです」
魔女とは思えない笑顔のトリスを思い出す。
「子供を使って動揺を誘うつもり。随分と成り下がったもんね」
ジャンヌはトリスを見下す。
「結局おまえは魔女なんだよ・・・どんなに善意や常識を持っていたとしても・・・手段を選ばないワガママ自己中魔女と変わらないのよ。魔女!」
立ちながらトリスに睨みつける。
「だから。あんたをただのトリスにまでに浄化してやる」
ロザリオを握り直す。
「もうこれ以上、子供たちを巻き込ませるな」
ロザリオに白い炎を纏う。
「殺さないでぇええええええええええええええ」
トリスは腹から子供を伸ばしていく。
白い炎を纏ったロザリオを大きく払う。
子供たちを燃やし、トリスを燃やしていく。
「聖女があなたでよかった」
一瞬聞こえたトリスの声が嬉しそうに聞こえた。
――おまえは魔女なんだよ。だからそんなことを言わないで。
耳を塞ぐほどの高音の叫び声が響き、兵士たちの頭を飛ばされ、体は人形のように倒れていく。
ジャンヌは、『光』の浄化により助かった。
トリスは長い黒い手は前後に動かし、迫ってくる。
ロザリオで構えるが、ジャンヌを素通りする。
「え?」
襲わなかった。
魔女として覚醒しても理性は残っているのか。だとしたら、狙っているのは王様だろう。あの方向は街がある。そして城がある。襲撃する。
すぐに後を追う。
トリスが通った後は、ドロっとした黒い水溜りがある。黒い水溜りから『呪い』が漂っている。
その先に黒い水溜まりの中に誰かが倒れている。近くに見れば、半身溶けているジャックだった。ほとんど骨が見え、体が腐っていた。
魔女から離れたのか。
「た・・す・・・けて・・・・」
生きているが、死にかけている。
「おかあ・・・さん・・・を・・・」と言って、ジャックは骨となり、塵となって消えた。
ジャックは魔女の一部となって消えた。
トリスは、子供たちを死なせないように取り込んだのだろうか。だとしてももう人間ではなくなり、魔女の一部として生きることになってしまった。
ジャックがジャンヌに助けを求められた。トリスを助けてほしいと。あのままではトリスは救われないと感じたのだろう。
「分かった・・・」
黒い水溜まりを辿れば、街に入った。昼間の時と違って、赤く染まり、黒いモヤが漂っている。
『呪い』の濃度が高まり、暴動が起きている。建物を破壊し、人は殴り合っている。武器を持って襲っている。一部が人の姿をしていない。
『呪い』の影響を受け、魔族(アビス)化が進行している。急激な魔族(アビス)化は、異形な姿をし、理性を失う。
トリスが原因なのか。この現状を治めるにしてもトリスを殺すしかない。
黒い水溜まりは城まで続いていた。
城の門番が破壊され、城の中へと進入する。玉座にたどり着いた。
「全てはおまえのせいだ!」
トリスが王様を追い詰めていた。
壁が破壊されている。壁を壊して玉座に侵入したといったところだろう。
「悲嘆(ひたん)の魔女トリス・スクリームが殺してやる!」
トリスが王様に手をかけようとした時、白い炎を飛ばし、黒い手を燃やす。
叫び声を上げる。
背後からロザリオを刺し込む。
「殺させない!」
トリスは大きく黒い手を払い、ジャンヌを飛ばす。
ジャンヌは壁に激突される。
「子供たちを殺させない!」
トリスは腹から異形な姿をした子供を出す。
殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで殺さないで。
泣きそうな声で子供たちが叫ぶ。
――「僕たちは、シスターが魔女でも一緒にいるよ!だって僕たちのお母さんだもん!」
変わり果てた子供たちを見て、ジャックや子供たちを思い出す。
トリスは泣きながら見つめる。
――「私はできる限り子供たちといたいだけです」
魔女とは思えない笑顔のトリスを思い出す。
「子供を使って動揺を誘うつもり。随分と成り下がったもんね」
ジャンヌはトリスを見下す。
「結局おまえは魔女なんだよ・・・どんなに善意や常識を持っていたとしても・・・手段を選ばないワガママ自己中魔女と変わらないのよ。魔女!」
立ちながらトリスに睨みつける。
「だから。あんたをただのトリスにまでに浄化してやる」
ロザリオを握り直す。
「もうこれ以上、子供たちを巻き込ませるな」
ロザリオに白い炎を纏う。
「殺さないでぇええええええええええええええ」
トリスは腹から子供を伸ばしていく。
白い炎を纏ったロザリオを大きく払う。
子供たちを燃やし、トリスを燃やしていく。
「聖女があなたでよかった」
一瞬聞こえたトリスの声が嬉しそうに聞こえた。
――おまえは魔女なんだよ。だからそんなことを言わないで。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
冤罪で追放した男の末路
菜花
ファンタジー
ディアークは参っていた。仲間の一人がディアークを嫌ってるのか、回復魔法を絶対にかけないのだ。命にかかわる嫌がらせをする女はいらんと追放したが、その後冤罪だったと判明し……。カクヨムでも同じ話を投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
悪役令嬢は処刑されました
菜花
ファンタジー
王家の命で王太子と婚約したペネロペ。しかしそれは不幸な婚約と言う他なく、最終的にペネロペは冤罪で処刑される。彼女の処刑後の話と、転生後の話。カクヨム様でも投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。
火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。
王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。
そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。
エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。
それがこの国の終わりの始まりだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
1人生活なので自由な生き方を謳歌する
さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。
出来損ないと家族から追い出された。
唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。
これからはひとりで生きていかなくては。
そんな少女も実は、、、
1人の方が気楽に出来るしラッキー
これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
仰っている意味が分かりません
水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか?
常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。
※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる