魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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合体獣戦士ジュウオウガー③

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 あのロボットは、学校から指令を出している。
 おそらく魔女はそこにいるはず。魔女を狩れば、全てが終わる。
 夜。寝静まった頃に学校に忍びこんだ。
 学校は、街から少し離れた高台にあり、大きいフェンスに囲まれている。
 そこで、アキセが、『通り抜けライト』と『なんでも遮断マント』を召喚した。
 『通り抜けライト』はライトに当てれば、30秒ほど通り抜ける。『なんでも遮断マント』は、マントを着れば、姿を消す。
 ただ『なんでも遮断マント』は、アキセと一緒にマントに包まなければいけない。そこは我慢するしかない。
 道具のおかげで、簡単にフェンスを通り抜け、学校の中へと侵入できた。
「なんか・・・あっさり学校に入れたけど・・・」
 角から長い廊下を見ていた。
「姿が見えてないからだろ」
アキセが横から言う。
 確かにコルンの発明品のおかげですんなり入れた。その代わり、アキセとの密接することになるが。
「確かにそうだけど、見回りもいないってどういうことよ」
 監視する気あるかと思えるほど甘すぎる。
 見回りする人間が見当たらない。人がいなくてもセキュリティはあるということだろうか。
「人がいなくても、さすがに罠はあるだろう」
「その対策はあるでしょうね」
「もちろん」
 アキセの手には小さなコンパスを持っていた。ただ、そのコンパスの針が赤い針と白い針の2本で重なっている。
「コンパス?」
「罠逃しコンパス。罠を指すのが赤、白が道案内になるコンパスだ。これで罠から逃れる。便利だろ」
 アキセはドヤ顔をする。
――盗人が何を言ってるんだか
「魔女は図書室にいるんだっけ?」
「そうだけど、3階の東に」
 いつも思うけど、本当にどうして相手の居場所分かるのだろうか。どうせ、コルンの発明品だとは思うが。
「てか、いいのか」
「何よ」
「この街の唯一の防衛手段をおまえが潰そうとしているんだ」
「こんなの。長く続かないわよ」
 アキセの言っていることは否定できない。
手段がないにしろ、魔女に頼るとは。結果が分かり切っている。『呪い』の影響で魔族化になるか。魔女の玩具にされるか。どっちにしても滅びの道に進む。
 魔女が善意で助けるとは思えない。気まぐれに欲のままに動いているだけ。
 魔女を退治したとしても、防衛手段を失っていることになり、この街から恨まれても仕方がない。
――まあ、恨まれても気にしないけど。こっちは仕事でやっているんだから。
「いいから、早く案内しなさいよ」
「はいはい」



「ほら、俺と組んで楽に着いただろ」
「ん~」
 確かに罠に引っかかることもなく、楽に図書室に着いた。
 やはりコルンの発明品は便利すぎる。
 アキセに共感したくないが、コルンの発明品は少し欲しくなる。
「入るぞ」
 アキセは、『通り抜けライト』で扉に光を当て、穴が空く。消える前に図書室に入る。
 側面の壁と中央に本棚、机といすだけの小さな部屋だった。
「で、どこにいるわけ」
 こんな小さな部屋に魔女がいないが。
「慌てるなって」
 アキセは、側面にある本棚にライトを当て、空間が見える。
 隠し部屋だった。
「隠し部屋?」
「そういうこと」
 隠し部屋に入る。
 暗い部屋。映像が流れている巨大な板に囲まれている。その中央にある大きい椅子に誰かが座っている。
 早速、マントから抜け、一気に距離を詰める。ロザリオに光の刃を作り、椅子の背後から刺そうとする。
 しかし。
 ぎいいいいいい。
 鳴き声。正面から何かが迫ってくる。咄嗟に腕を前にして顔をガードするも、ぶつかる。
 後ろへ倒れそうになるが、アキセが受け止める。
 アキセが少し下心のある笑みだったので、不機嫌な顔で返す。
「そんな顔をするなって」
 敵の正体を確かめる。
四角の嘴で、嘴の中が本のように紙がペラペラと音がする鳥。
「ノレッジ?」
 鳥型のノレッジが睨みつけ、椅子の方へ飛ぶ。
 ノレッジは、しょかんの魔女ラプラス・ライブラーの使い魔。つまり。
「ん?」
 椅子ごと向きを変える。
 先端が黄色に混ざった黄緑の短髪。エルフのような長い耳。ノースリーブの上着。白の長い手袋。紺色のズボンだか、片足は膝まで切れ、足を見せている。首には足まで長いマフラーを巻いている少女だった。
 以前にも会ったことのある魔女だった。
「あれ?聖女のジャンヌだ」
 くうそうの魔女ルシア・ファンタジアだった。
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