127 / 654
幽憑の魔女⑤
しおりを挟む
屋敷は燃え尽き、瓦礫の山へと変わった。これで魔女は浄化された。
やっと倒せたと安堵する。
あれ、何か忘れているような。
今、布一枚の体で思い出す。
「あ!私の服!」
焼けた屋敷に向かって叫ぶ。魔女狩りのことですっかり忘れていた。
「どうしよう・・・」
一気に青ざめる。
服は瓦礫の中。もうボロボロに決まっている。
布団を包っている状態では、どこへも行けない。街まで入るのも怪しい。どうすればいいと悩み込んだ時だった。
「ゴホン!」
わざとらしい咳。分かり切っているが、顔を上げる。
「一応あるけど」
悪意のある爽やかな笑みで見つめるアキセ。
「よく考えたら、あんたの魔術で服乾くんじゃ・・・」
「そんなことしたら、こんなことできないだろう」
バシ!と頬を思いっきり叩く。
「あんた、わざと・・・」と睨みつける。
「町の中までその恰好で行くつもりか」
頬を赤く腫れているアキセがにやつく。
分かっていても嫌な相手の趣味の服を着らなければならない。
足を手当てしてから、アキセが用意した服を着ることになったジャンヌだった。
「逃げようとしてもダメだぜ。逃げたらその服を指輪の中にしまうからな」
茂みの向こうでウキウキしているアキセは言う。
アキセは、コルンの発明品である『指輪』により自由にモノを収納できる。アキセの気分次第で服を指輪に仕舞われ、裸を晒されるということになる。
下手に動けない。屈辱だ。
――あ!そうだ。
「お~い。まだなのか」
アキセが陽気に言う。
アキセが茂みから出できたので、瞬時に人差し指と中指を伸ばし、アキセの目に刺す。さらに『光』を注ぐ。
「ぎぃああああああああああああああ」
アキセは叫び、茂みの中へと消える。
よし、うまくいった。
「ジャンヌ!おま・・・」
「ほら着てやったぞ。じゃあありがたくもらっていくからね~」
アキセが回復する前に逃げる。
「きったね~」
「どうにか逃げれた」
ジャンヌはアキセの魔の手から逃れ、木の陰に隠れていた。
ここまで離れれば、指輪の中に仕舞えないはず。だか、まだ安心できない。いつどこで服が消えるかもしれないという恐怖と隣合わせだからだ。
目に『光』を注いだからすぐには回復できない。多少の時間稼ぎにはなる。
ジャンヌは、改めて自身の服を見る。
肩出しの白いワンピースと白いアームカバー。
どうしてこの服を選んだのだろうか。あまり考えたくない。それになぜ服のサイズが合っていることが気になるが。
とりあえず早く服を取り換えようと歩くジャンヌだった。
「あのクソアマああああああああああああああああああああ!」
屋敷だった瓦礫の山から紅孩児が現れる。
「ん?なんだ?おまえは?」
赤目。銀髪の長髪で縛っている男が目の前に立っていた。
やっと倒せたと安堵する。
あれ、何か忘れているような。
今、布一枚の体で思い出す。
「あ!私の服!」
焼けた屋敷に向かって叫ぶ。魔女狩りのことですっかり忘れていた。
「どうしよう・・・」
一気に青ざめる。
服は瓦礫の中。もうボロボロに決まっている。
布団を包っている状態では、どこへも行けない。街まで入るのも怪しい。どうすればいいと悩み込んだ時だった。
「ゴホン!」
わざとらしい咳。分かり切っているが、顔を上げる。
「一応あるけど」
悪意のある爽やかな笑みで見つめるアキセ。
「よく考えたら、あんたの魔術で服乾くんじゃ・・・」
「そんなことしたら、こんなことできないだろう」
バシ!と頬を思いっきり叩く。
「あんた、わざと・・・」と睨みつける。
「町の中までその恰好で行くつもりか」
頬を赤く腫れているアキセがにやつく。
分かっていても嫌な相手の趣味の服を着らなければならない。
足を手当てしてから、アキセが用意した服を着ることになったジャンヌだった。
「逃げようとしてもダメだぜ。逃げたらその服を指輪の中にしまうからな」
茂みの向こうでウキウキしているアキセは言う。
アキセは、コルンの発明品である『指輪』により自由にモノを収納できる。アキセの気分次第で服を指輪に仕舞われ、裸を晒されるということになる。
下手に動けない。屈辱だ。
――あ!そうだ。
「お~い。まだなのか」
アキセが陽気に言う。
アキセが茂みから出できたので、瞬時に人差し指と中指を伸ばし、アキセの目に刺す。さらに『光』を注ぐ。
「ぎぃああああああああああああああ」
アキセは叫び、茂みの中へと消える。
よし、うまくいった。
「ジャンヌ!おま・・・」
「ほら着てやったぞ。じゃあありがたくもらっていくからね~」
アキセが回復する前に逃げる。
「きったね~」
「どうにか逃げれた」
ジャンヌはアキセの魔の手から逃れ、木の陰に隠れていた。
ここまで離れれば、指輪の中に仕舞えないはず。だか、まだ安心できない。いつどこで服が消えるかもしれないという恐怖と隣合わせだからだ。
目に『光』を注いだからすぐには回復できない。多少の時間稼ぎにはなる。
ジャンヌは、改めて自身の服を見る。
肩出しの白いワンピースと白いアームカバー。
どうしてこの服を選んだのだろうか。あまり考えたくない。それになぜ服のサイズが合っていることが気になるが。
とりあえず早く服を取り換えようと歩くジャンヌだった。
「あのクソアマああああああああああああああああああああ!」
屋敷だった瓦礫の山から紅孩児が現れる。
「ん?なんだ?おまえは?」
赤目。銀髪の長髪で縛っている男が目の前に立っていた。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説

竹林にて清談に耽る~竹姫さまの異世界生存戦略~
月芝
ファンタジー
庭師であった祖父の薫陶を受けて、立派な竹林好きに育ったヒロイン。
大学院へと進学し、待望の竹の研究に携われることになり、ひゃっほう!
忙しくも充実した毎日を過ごしていたが、そんな日々は唐突に終わってしまう。
で、気がついたら見知らぬ竹林の中にいた。
酔っ払って寝てしまったのかとおもいきや、さにあらず。
異世界にて、タケノコになっちゃった!
「くっ、どうせならカグヤ姫とかになって、ウハウハ逆ハーレムルートがよかった」
いかに竹林好きとて、さすがにこれはちょっと……がっくし。
でも、いつまでもうつむいていたってしょうがない。
というわけで、持ち前のポジティブさでサクっと頭を切り替えたヒロインは、カーボンファイバーのメンタルと豊富な竹知識を武器に、厳しい自然界を成り上がる。
竹の、竹による、竹のための異世界生存戦略。
めざせ! 快適生活と世界征服?
竹林王に、私はなる!

婚約破棄?一体何のお話ですか?
リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。
エルバルド学園卒業記念パーティー。
それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる…
※エブリスタさんでも投稿しています


もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。
「では開廷いたします」
家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

素直になる魔法薬を飲まされて
青葉めいこ
ファンタジー
公爵令嬢であるわたくしと婚約者である王太子とのお茶会で、それは起こった。
王太子手ずから淹れたハーブティーを飲んだら本音しか言えなくなったのだ。
「わたくしよりも容姿や能力が劣るあなたが大嫌いですわ」
「王太子妃や王妃程度では、このわたくしに相応しくありませんわ」
わたくしといちゃつきたくて素直になる魔法薬を飲ませた王太子は、わたくしの素直な気持ちにショックを受ける。
婚約解消後、わたくしは、わたくしに相応しい所に行った。
小説家になろうにも投稿しています。

私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシャリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

冤罪で追放した男の末路
菜花
ファンタジー
ディアークは参っていた。仲間の一人がディアークを嫌ってるのか、回復魔法を絶対にかけないのだ。命にかかわる嫌がらせをする女はいらんと追放したが、その後冤罪だったと判明し……。カクヨムでも同じ話を投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる