魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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幽憑の魔女⑤

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 屋敷は燃え尽き、瓦礫の山へと変わった。これで魔女は浄化された。
 やっと倒せたと安堵する。
 あれ、何か忘れているような。
 今、布一枚の体で思い出す。
「あ!私の服!」
 焼けた屋敷に向かって叫ぶ。魔女狩りのことですっかり忘れていた。
「どうしよう・・・」
 一気に青ざめる。
 服は瓦礫の中。もうボロボロに決まっている。
布団を包っている状態では、どこへも行けない。街まで入るのも怪しい。どうすればいいと悩み込んだ時だった。
「ゴホン!」
 わざとらしい咳。分かり切っているが、顔を上げる。
「一応あるけど」
 悪意のある爽やかな笑みで見つめるアキセ。
「よく考えたら、あんたの魔術で服乾くんじゃ・・・」
「そんなことしたら、こんなことできないだろう」
 バシ!と頬を思いっきり叩く。
「あんた、わざと・・・」と睨みつける。
「町の中までその恰好で行くつもりか」
 頬を赤く腫れているアキセがにやつく。


分かっていても嫌な相手の趣味の服を着らなければならない。
 足を手当てしてから、アキセが用意した服を着ることになったジャンヌだった。
「逃げようとしてもダメだぜ。逃げたらその服を指輪の中にしまうからな」
 茂みの向こうでウキウキしているアキセは言う。
 アキセは、コルンの発明品である『指輪』により自由にモノを収納できる。アキセの気分次第で服を指輪に仕舞われ、裸を晒されるということになる。
 下手に動けない。屈辱だ。
――あ!そうだ。
「お~い。まだなのか」
 アキセが陽気に言う。
 アキセが茂みから出できたので、瞬時に人差し指と中指を伸ばし、アキセの目に刺す。さらに『光』を注ぐ。
「ぎぃああああああああああああああ」
 アキセは叫び、茂みの中へと消える。
 よし、うまくいった。
「ジャンヌ!おま・・・」
「ほら着てやったぞ。じゃあありがたくもらっていくからね~」
 アキセが回復する前に逃げる。
「きったね~」


「どうにか逃げれた」
 ジャンヌはアキセの魔の手から逃れ、木の陰に隠れていた。
 ここまで離れれば、指輪の中に仕舞えないはず。だか、まだ安心できない。いつどこで服が消えるかもしれないという恐怖と隣合わせだからだ。
目に『光』を注いだからすぐには回復できない。多少の時間稼ぎにはなる。
 ジャンヌは、改めて自身の服を見る。
肩出しの白いワンピースと白いアームカバー。
どうしてこの服を選んだのだろうか。あまり考えたくない。それになぜ服のサイズが合っていることが気になるが。
 とりあえず早く服を取り換えようと歩くジャンヌだった。


「あのクソアマああああああああああああああああああああ!」
 屋敷だった瓦礫の山から紅孩児が現れる。
「ん?なんだ?おまえは?」
 赤目。銀髪の長髪で縛っている男が目の前に立っていた。

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