魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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鳥籠の魔女②

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「やってるな~」
 ジャンヌは眺めていた。
 アニエスは、長い弓をハーブのように音を奏で、風の矢を飛ばす。
 魔女は鳥籠を動かして対抗している。
 魔女同士でいがみ合いながら戦っている。
 代わりに戦ってくれるならそれでもいいか。隠れて、見物でもしよう。
「何やってるの?」
 目の前にかざなりの魔女ウィム・シルフが逆さで顔を出す。
 一気に怒りを増した。
「あんた・・・」
 しばらく出なかったと思えば。
 ウィムは、そくにんの魔女ヤオトメ・クノに襲われて以来、姿を消していた。
「あのまま作者から忘れてよかったのよ」
「何言ってるの。こんな愛くるしい女の子を忘れさせるなんてできないわよ」
「あっそ!」
 殺意の入った白い炎を飛ばす。
 ウィムは瞬時にジャンヌの後ろへ避ける。そのまま白い炎はアニエスに当ててしまう。
「あ!」
 その時、背後から何かぶつかり、奥へ飛ばされる。
 ウィムの風ではない。『光』で浄化される。視界端に木の丸太が落ちている。押し出されたのは、ウィムの風で木を飛ばしたのだろう。
 逆さまになった状態でウィムを見る。
 ウィムは悪意のある笑顔で手を振る。
――あの根性くさりのクソアマか!
 さらにウィムの背後から木が一直線に向かってくる。腕を交差し、木の衝撃は抑えられたが、そのまま奥へと飛ばされる。
 その時、何かにぶつかり、鳥籠に入ってしまう。
 ガチャと鍵が閉める音がした。完全に鳥籠に閉じ込められた。
「あなたは・・・」
 声をした方へ向けば、アニエスが睨んでいる。
 あの時ぶつかったのは、落ちていたアニエスだった。
 よく考えれば、アニエスもクノと一緒にウィム退治に参加していた。ウィムの目的はまとめてこの間の仕返しか。
「なぜ邪魔をするんですか!」
 アニエスは、息が上がっている。
 まともに白い炎を当ててしまったためか、弱っている。
「違う!これはあいつのせい!」
 必死に誤解を解く。
 その時、上から鎖が伸び、ジャンヌとアニエスの体を絡まれていく。
「こんなもの!」
 これも魔女の一部。『光』で浄化しようとしたか、鎖を通って『呪い』が注がれる。
『光』で耐えるか、これは消耗を狙っている。
 攻撃は止んだ。だか、こんな攻撃を何度も食らいたくない。
 アニエスも攻撃を受けているようで、息がさらに乱れ、倒れている。
 その時魔女が鳥籠ごと近づく。鳥籠の扉が開き、魔女が鳥籠に入り、真っ先にアニエスに向かう。
 魔女は顔を歪むほど睨みつける。
「ムカつく!」
 アニエスの顔を蹴る。
「ムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつく!」
 アニエスを踏み続ける。
「羽がないくせに!」と頭を思いっきり踏む。
「鳥籠(とりかご)の魔女ハーピィ・ルーペリアが水ぼらしく殺してやる!」
 ハーピィは顔を歪むほどアニエスに吐く。
 怒っている。何に怒っている。
 アニエスと戦ったにしてもそこまで怒りに触れるようなことをされたのか。何かが気に食わない。
 そういえば、この魔女。
「その前に・・・」
 こっちに視線を向けてきた。
ハーピィに首を掴まれ、体を持ち上げられる。
「失せろ!」
 ハーピィに投げられ、鳥籠の扉が開き、そのまま底へと落とされる。
 このままでは落ちてしまう。『光』を浪費するから、使いたくなかったが、足に白い炎を噴射し、落下を和らげるしかない。その時だった。
 落ちなかった。
「お困りなご様子で」
 その声はアキセだった。
 アキセが『ウェズボート』に乗って飛んでいる。
 嫌な時に助けにくる。
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