119 / 654
鳥籠の魔女②
しおりを挟む
「やってるな~」
ジャンヌは眺めていた。
アニエスは、長い弓をハーブのように音を奏で、風の矢を飛ばす。
魔女は鳥籠を動かして対抗している。
魔女同士でいがみ合いながら戦っている。
代わりに戦ってくれるならそれでもいいか。隠れて、見物でもしよう。
「何やってるの?」
目の前にかざなりの魔女ウィム・シルフが逆さで顔を出す。
一気に怒りを増した。
「あんた・・・」
しばらく出なかったと思えば。
ウィムは、そくにんの魔女ヤオトメ・クノに襲われて以来、姿を消していた。
「あのまま作者から忘れてよかったのよ」
「何言ってるの。こんな愛くるしい女の子を忘れさせるなんてできないわよ」
「あっそ!」
殺意の入った白い炎を飛ばす。
ウィムは瞬時にジャンヌの後ろへ避ける。そのまま白い炎はアニエスに当ててしまう。
「あ!」
その時、背後から何かぶつかり、奥へ飛ばされる。
ウィムの風ではない。『光』で浄化される。視界端に木の丸太が落ちている。押し出されたのは、ウィムの風で木を飛ばしたのだろう。
逆さまになった状態でウィムを見る。
ウィムは悪意のある笑顔で手を振る。
――あの根性くさりのクソアマか!
さらにウィムの背後から木が一直線に向かってくる。腕を交差し、木の衝撃は抑えられたが、そのまま奥へと飛ばされる。
その時、何かにぶつかり、鳥籠に入ってしまう。
ガチャと鍵が閉める音がした。完全に鳥籠に閉じ込められた。
「あなたは・・・」
声をした方へ向けば、アニエスが睨んでいる。
あの時ぶつかったのは、落ちていたアニエスだった。
よく考えれば、アニエスもクノと一緒にウィム退治に参加していた。ウィムの目的はまとめてこの間の仕返しか。
「なぜ邪魔をするんですか!」
アニエスは、息が上がっている。
まともに白い炎を当ててしまったためか、弱っている。
「違う!これはあいつのせい!」
必死に誤解を解く。
その時、上から鎖が伸び、ジャンヌとアニエスの体を絡まれていく。
「こんなもの!」
これも魔女の一部。『光』で浄化しようとしたか、鎖を通って『呪い』が注がれる。
『光』で耐えるか、これは消耗を狙っている。
攻撃は止んだ。だか、こんな攻撃を何度も食らいたくない。
アニエスも攻撃を受けているようで、息がさらに乱れ、倒れている。
その時魔女が鳥籠ごと近づく。鳥籠の扉が開き、魔女が鳥籠に入り、真っ先にアニエスに向かう。
魔女は顔を歪むほど睨みつける。
「ムカつく!」
アニエスの顔を蹴る。
「ムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつく!」
アニエスを踏み続ける。
「羽がないくせに!」と頭を思いっきり踏む。
「鳥籠(とりかご)の魔女ハーピィ・ルーペリアが水ぼらしく殺してやる!」
ハーピィは顔を歪むほどアニエスに吐く。
怒っている。何に怒っている。
アニエスと戦ったにしてもそこまで怒りに触れるようなことをされたのか。何かが気に食わない。
そういえば、この魔女。
「その前に・・・」
こっちに視線を向けてきた。
ハーピィに首を掴まれ、体を持ち上げられる。
「失せろ!」
ハーピィに投げられ、鳥籠の扉が開き、そのまま底へと落とされる。
このままでは落ちてしまう。『光』を浪費するから、使いたくなかったが、足に白い炎を噴射し、落下を和らげるしかない。その時だった。
落ちなかった。
「お困りなご様子で」
その声はアキセだった。
アキセが『ウェズボート』に乗って飛んでいる。
嫌な時に助けにくる。
ジャンヌは眺めていた。
アニエスは、長い弓をハーブのように音を奏で、風の矢を飛ばす。
魔女は鳥籠を動かして対抗している。
魔女同士でいがみ合いながら戦っている。
代わりに戦ってくれるならそれでもいいか。隠れて、見物でもしよう。
「何やってるの?」
目の前にかざなりの魔女ウィム・シルフが逆さで顔を出す。
一気に怒りを増した。
「あんた・・・」
しばらく出なかったと思えば。
ウィムは、そくにんの魔女ヤオトメ・クノに襲われて以来、姿を消していた。
「あのまま作者から忘れてよかったのよ」
「何言ってるの。こんな愛くるしい女の子を忘れさせるなんてできないわよ」
「あっそ!」
殺意の入った白い炎を飛ばす。
ウィムは瞬時にジャンヌの後ろへ避ける。そのまま白い炎はアニエスに当ててしまう。
「あ!」
その時、背後から何かぶつかり、奥へ飛ばされる。
ウィムの風ではない。『光』で浄化される。視界端に木の丸太が落ちている。押し出されたのは、ウィムの風で木を飛ばしたのだろう。
逆さまになった状態でウィムを見る。
ウィムは悪意のある笑顔で手を振る。
――あの根性くさりのクソアマか!
さらにウィムの背後から木が一直線に向かってくる。腕を交差し、木の衝撃は抑えられたが、そのまま奥へと飛ばされる。
その時、何かにぶつかり、鳥籠に入ってしまう。
ガチャと鍵が閉める音がした。完全に鳥籠に閉じ込められた。
「あなたは・・・」
声をした方へ向けば、アニエスが睨んでいる。
あの時ぶつかったのは、落ちていたアニエスだった。
よく考えれば、アニエスもクノと一緒にウィム退治に参加していた。ウィムの目的はまとめてこの間の仕返しか。
「なぜ邪魔をするんですか!」
アニエスは、息が上がっている。
まともに白い炎を当ててしまったためか、弱っている。
「違う!これはあいつのせい!」
必死に誤解を解く。
その時、上から鎖が伸び、ジャンヌとアニエスの体を絡まれていく。
「こんなもの!」
これも魔女の一部。『光』で浄化しようとしたか、鎖を通って『呪い』が注がれる。
『光』で耐えるか、これは消耗を狙っている。
攻撃は止んだ。だか、こんな攻撃を何度も食らいたくない。
アニエスも攻撃を受けているようで、息がさらに乱れ、倒れている。
その時魔女が鳥籠ごと近づく。鳥籠の扉が開き、魔女が鳥籠に入り、真っ先にアニエスに向かう。
魔女は顔を歪むほど睨みつける。
「ムカつく!」
アニエスの顔を蹴る。
「ムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつく!」
アニエスを踏み続ける。
「羽がないくせに!」と頭を思いっきり踏む。
「鳥籠(とりかご)の魔女ハーピィ・ルーペリアが水ぼらしく殺してやる!」
ハーピィは顔を歪むほどアニエスに吐く。
怒っている。何に怒っている。
アニエスと戦ったにしてもそこまで怒りに触れるようなことをされたのか。何かが気に食わない。
そういえば、この魔女。
「その前に・・・」
こっちに視線を向けてきた。
ハーピィに首を掴まれ、体を持ち上げられる。
「失せろ!」
ハーピィに投げられ、鳥籠の扉が開き、そのまま底へと落とされる。
このままでは落ちてしまう。『光』を浪費するから、使いたくなかったが、足に白い炎を噴射し、落下を和らげるしかない。その時だった。
落ちなかった。
「お困りなご様子で」
その声はアキセだった。
アキセが『ウェズボート』に乗って飛んでいる。
嫌な時に助けにくる。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
婚約破棄からの断罪カウンター
F.conoe
ファンタジー
冤罪押しつけられたから、それなら、と実現してあげた悪役令嬢。
理論ではなく力押しのカウンター攻撃
効果は抜群か…?
(すでに違う婚約破棄ものも投稿していますが、はじめてなんとか書き上げた婚約破棄ものです)

蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。

絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。
火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。
王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。
そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。
エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。
それがこの国の終わりの始まりだった。

冤罪で追放した男の末路
菜花
ファンタジー
ディアークは参っていた。仲間の一人がディアークを嫌ってるのか、回復魔法を絶対にかけないのだ。命にかかわる嫌がらせをする女はいらんと追放したが、その後冤罪だったと判明し……。カクヨムでも同じ話を投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる