魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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行く末を知りたい者②

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 チクショー。結局捕まってしまった。
 どこかの調理場にアニアとアーノルドと一緒にいた。
 アキセは座り込まないほどの小さな檻の中、胡坐をかいて落ち込んでいる。しかもあんなふざけたモノに引っかかるとは。
「コルンに頼んでおいてよかった~淫魔用ホイホイで間に合ったよ~」
 アニアの手には小さな缶を持っていた。
 工作の魔女コルン・ゴボルドとは顔見知りのようだ。前回もコルンの仲間と思われる相手とアニアは会話していた。つまり。
――コルン。絶対分かってやったろ。
 アニアから逃げきったと思えば、あの匂いにつられ、落とし穴で捕まるとは。引っかかる自分も情けない。
「これで~料理ができる~」とアニアは機嫌がいい。
「さてと。料理の準備しなくきゃ!アーノルド。ちょっと見張っててね」
 ルンルン気分のアニアは調理場から出る。
 アキセとアーノルドだけになってしまった。
 待っていたかのようにほくそ笑むアーノルドが檻の前でうろうろと歩く。
「いい気味だ」
「覚えていたのか・・・」
「覚えていたさ。この匂いもこの傷もな」
 根に持っている。
「覚えているならこれも忘れてないか」
 指輪を見せる。手首を回して銃を召喚し、アーノルドに向けて引き金を引く。檻の間から弾が飛び、アーノルドに当たり、後ろへ吹っ飛ぶ。
「獣風情が」
 アキセは、指飾りを召喚し、記号を描く。記号は光り、檻を分解する。
 指飾りを指輪の中に仕舞う。狭い檻の中にいたため、体を伸ばす。
 アニアがいない今しか逃げるチャンスがない。
「さてと逃げ・・・」
 アキセが踏み出そうとしたが、ビューと目の前に何かが通り、壁に当たる。銃弾並の速さだった。飛んだ先を見れば、アーノルドだった。
 まさかとは思うが、アーノルドが口で弾を噛み、持ち堪え、その弾を返したのだろうか。やっぱり進化している。魔女の『呪い』の影響で魔族(アビス)化へと進化している。
「逃がすが!」とアーノルドが飛び出す。
 アキセは近くにあった扉に飛び出し、厨房から出る。指飾りを召喚し、扉に記号を描く。魔術で扉を封じる。
 魔獣(モンスター)相手では十分。すでに扉がバンバンと音を立てる。必死に開けようとしている。
「ここどこだ?」
 どうやら城にいるようだった。長い廊下で、すぐ目の前に等間隔に柱が立ち、中庭へと繋がっている。すぐに外に出られる。
「さっさとここから出るか!」
 外に出ようとしたが、バンと壁に当たったように跳ね返る。
「え?なんで!?」と驚いて声を上げる。
「主が逃がさないようにタタリをかけたんだ」
 アーノルドが厨房から出できた。
 おかしい。魔獣(モンスター)程度なら壊れることはないはずが。よくみれば、扉ごと壊している。力技で破ったのか。
「簡単には逃がしてくれないか・・」
 魔女は抜かりない。
「おまえを殺したいが、檻に戻す方が先だ!」
 アーノルドが突っ込む。
「それはおまえだろ。獣らしく檻の中で主人を待ってろ!」とアーノルドから逃げる。
「逃げるな!」
 タタリにかかっていれば、奪う魔力で済む話。保険としてコルンの発明品を「テレボートハエ」を飛ばしておく。 あとはアーノルドから逃げるだけ。
 アーノルドは以前より進化しており、実弾程度では簡単には死なない。魔術ならいくらでも殺せるが、派手に動いてはアニアに気付かれてしまう。
 別の手段を使う。
 召喚した指飾りで陣を描く。陣を床に叩きつけるように飛ばす。床に張り付いた陣は発動し、紫色の霧が発生する。アーノルドも紫の霧に飲み込まれる。
 アキセも飲み込まれる前に近くにあった部屋に入る。
 飲み込まれてしまってはアーノルドと一緒に幻覚を見ることになる。今使った魔術は、少し強めで術者にもかかってしまうという。
 とりあえず、アーノルドから逃げられた。
 あとはタタリを奪う魔力を使い、さっさとおさらばするだけ。魔力を使おうとしたが。
 なんだ。この匂い。急に鼻にさす。血生臭い。
「なんだ。おまえは?」
 女の声がした。
 声の方へ向けば、寝床に女がいた。
 黒髪。黒目。褐色の肌。30代前半くらいだろうか、若く見える。しかも裸だった。
 それに女の周りには男の死体が転がっていた。
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