魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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行く末を知りたい者①

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 どうしよう。迷ってしまったとジャンヌは困っていた。
 草原と低い木があちこちに密集し、散らばっている。それに暑い。暑さで野垂れ死にそうだ。
「おや、道に迷ったのですか?」
 しゃがれた声をした方へ向けば、顔を隠れるほどに深くかぶっている老女がいた。
「私。国に帰る途中だったんですよ」
 老人一人がわざわざ町の外まで出かける用事とはなんだろうか。
「国に行かれるのであればご一緒にご案内しましょうか」
 このところ国や町に入っていなく、ゆっくり休みたい。怪しいが、野垂死ぬよりマシか。
「お言葉に与えて」


 いい匂いがする。
 アキセは、森の中にいた。
 今までに嗅いだことのない甘い匂いがする。欲情が抑えきれない。息が上がる。あそこも反応してばかり。もう年や見た目関係なく、どんな女でもやりたくなる。
 その匂いに辿っていけば、何かを踏んだ時にやっと正気に戻った。
 上から何かが落ちてくる。
 「うわぁ!」と咄嗟に前へ跳ぶ。
 体勢を立て直し、落ちてきたものを確認する。それは大きい檻だった。見て察した。あの匂いは誘いこむための罠だった。
 背後から殺意が感じる。
 また前へ大きく跳ぶ。背後から轟音がした。やはり何かが襲ってきた。着地し、相手の正体を確認する。
 異獣(エヴォル)の犬。ヘルハウンド。左目に傷がある。確か調理の魔女アニア・パティールが従えているヘルハウンドのアーノルドだった。
 アーノルドが牙を向いている。
「あの時のガキか!」
――覚えていたか。この犬
 よく見れば、前より少しデカくなったような。腰くらいの大きさからもう人一人乗せられるほどの大きさに。
 アーノルドがいるということは。
「も~アーノルド。何やってるの」
 聞いたことのある女の声。声をした方に向けば、狩猟の恰好をした少女。調理の魔女アニア・パティールだった。
「あれ?」
 目を細めるアニア。
「前に君あったことある?」
「ないない。初対面です!」
 手で必死に振る。
 以前はコルンに子供の姿に変えられた。大人姿のアキセは見たことがない。
「魔女が何用で襲うんだ・・・」
 冷や汗をかきながら訊いてみる。
「おまえのチ〇コ寄こせ」とアニアは笑顔で狩猟用ナイフを持つ。


 国に入る手前まで老女に案内された。
 他に用事があると言って急に消えてしまった。さらに怪しさが増す。老女が言われた先には国があった。約束は一応守ってくれたようだ。
 たどり着いた国は大きい壁に囲まれている。
国に入ろうとしたが、門番の前に立ち往生になってしまった。
 門番は肌が褐色を持った人種だった。
「この国への進入を禁止する」
 せっかく町でゆっくり休めると思ったのに。あのババアめと軽く恨む。
 さてどうしたものか。また野宿生活に戻るのかと思いきや。
「あなたはもしかして聖女様でしょうか」
 一人の男が声をかけられた。
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