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皮衣の魔女②

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「私、サリィシャと申します」
 ラ・イルはサリィシャを背負いながら歩いていた。
「そうか」
「あの・・・お名前は?」
「君を送ったらすぐに去る」
「そうですか・・・」
 サリッシャは残念そうに言う。
「え~と、獣人(デミ・ビースト)ですよね」
「まあ獣人(デミ・ビースト)は入っているな」
 異様な匂いで気になっているのだろう。
「ハーフですか?」
「質問が多いな」
「ダメですか?」
「他人を詮索するのはよくないぞ」
「ごめんなさい」
 サリィシャが素直に謝る。
「こっちから質問していいか。なんであれに襲われたんだ?」
「急に襲ってきたんです」
「あれの正体知っているのか」
「おそらく使い魔かと」
 予想は当たってほしくなかったが、やはり使い魔だった。
「実は、この辺りで魔女が現れたそうです。獣人(デミ・ビースト)を捕まえて、毛皮を剥いでいたそうです。近くの獣人(デミ・ビースト)の村もやられたそうです」
「魔女か・・・」
 つなぎめの魔女に連行されるところを聖女のジャンヌに助けられた。
 魔女関連はジャンヌに任したいところだか、その彼女がどこにいるのか分からない。そもそも魔女とは関わりたくない。サリッシャを村に送り、すぐにこの森から去ろう。
 そういえば。
「魔女がうろついているのになぜ村から出たんだ?」
「それは・・・」
「サリィシャ!」
 サリィシャの言葉を遮ったのは、別の男の声がした。
 声をした方へ向けば、大きい柵の前に狼の獣人(デミ・ビースト)たちが立っていた。
「サリィシャ!」
 声の主は、筋肉質で一回り大きい狼の獣人(デミ・ビースト)だった。
 声が少し枯れ、毛並の艶がないところを見て、年をそれなりにとっている。
――元気なジジだな
「お父様・・・」
 サリィシャの父だった。
 サリィシャは、父と視線をそらしている。親に怒られるのが嫌な子供のような顔をしている。
「あの・・・勝手に出でしまったのはごめんなさい・・・」と素直に謝る。
「おまえって奴は・・・」
 頭を抱えながらサリィシャの父と目が合う。とても見開いている。異様な姿に驚いているのだろう。
「サリィシャ。この者は?」
「私が足を怪我してしまって・・・ここまで送ってくれたんです」
「そうか、それは礼を言う」
「ああ」
 サリィシャを父の前に下ろす。
 サリィシャは足を怪我しているため、サリィシャの父が体を支える。
「送り届けたので、俺はここで」
 去ろうとしたが、後へ跳ぶ。
 その横から他の狼の獣人(デミ・ビースト)が跳んできたからだ。
 睨みつける。
 話している時から匂いが徐々に近づいていた。気配を消しても、匂いで彼らの居場所は分かっていた。
「おい、その子を送り届けただけだ。何かしたか?」
 問に答えてくれなかった。
「お父様!これは・・・」
「いや~おつかれ~」
 サリィシャの声が遮られた聞いたことがある声。
「狼モドキ」
 ラ・イルを捕まえ、魔女に差し出そうとしたアキセ・リーガンだった。
「おまえ!」
 その時、頭に衝撃した。
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