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珊魚の魔女⑥
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やはりジャンヌは目的のためなら手段を選ばない。
聖女が宿敵である魔女を助けるとか呆れてしまう。どっちかといえばついでに魔女を助け、復讐するために組んだ方が正しい。
おそらくクラーケンに侵食していた『呪い』を浄化し、クラーケンを復活させた。見つけられたのもクラーケンの聴覚か臭覚のどちらかで見つけられたと推測できる。
このままでは殺される。早く逃げないと。
アキセは慌てて隠れる場所を探していたため、魔女がいる部屋にいた。
魔女は、特殊なアイアンメイデンに入れている。特殊な術式を込めており、内側にある針を通し、痛みを与え続ける仕組みになっている。
今弱っている魔女なら十分の檻だった。
どっちにしても長居はしたくない。
今すぐ『飛ばしコイン』を召喚する。
工作の魔女コルン・ゴボルドの発明品の一つ。何も刻んでいないコインに触れれば、ランダムに飛ばされる。正確に思い浮かべば、コインに座標が刻み、着地点を選べる。
もうどこでもいい。すぐにでも船から離れたい。
アキセがコインを使おうとした時だった。
船に穴が空き、白い触手が伸びてくる。
「げ?!」
「クソ!どこにいる!」
ジャンヌは海賊を蹴散らしながら、アキセに船長とドニーを探していた。
ほどんど海賊を倒した。それでも姿を見せない。どこかに隠れているかそれとも。
その時、何かが破ける音がした。すぐさま海の方を見る。
何もないところに波が切っている。
「まさか」
視界を見えなくして逃げている。魔術を使えるとしたらアキセしか考えられない。
すぐさま、ロザリオを振り、白い炎の波を飛ばす。
白い炎の波が何かに当たった。
それはアキセでなく、小舟に乗って逃げていた船長だった。
――ち、あいつじゃねえか
よく見れば、サンゴの入った網を小舟に詰め込んである。部下を置いて、宝を持ち逃げといったところだろう。
部下想いの無い奴。
それにどうやら船長は魔術が使えるようで、わざわざ姿を消してまで逃げようとした。
「逃がすが!」
どっちにしても逃さない。
白い炎の刃を作り、船長に飛ばしても小舟が避けていく。
小舟にも魔術の記号が刻んでおり、加速と操縦をしている。
腹立つ。
さすがに海の上では追えない。このままでは逃げられる。
その時、水柱が噴射し、船長の小舟が粉砕される。
飛んだ船長は、海から出たサンゴに足を絡まり、逆さに吊るしている。
サンゴが捕まえた。
「ということは」
サンゴを操っているのは魔女の力。つまり、魔女の救出に成功したようだ。
振り向けば、船にしがみついたクラーケンが足に絡ませたアキセを見せている、水柱の上にさんぎょの魔女ファビナ・コーラルが不機嫌そうに見つめている。
どうやら、ウツボから話を訊いて協力することにしたようだ。
後ろから物音がした。
振り返れば、最初にジャンヌを船に招待したドニーがいた。隠れていたようだ。
「許してください・・・」
詫びているドニーに静かに近づく。
「申し訳ございません」
トニーは必死に謝罪する。
「謝罪一つで許せる人間がいたらここに呼べ」
一発殴る。
海賊をさらに半殺しにした。
ファビナの救出に船に穴を空いたため、クラーケンが港の近場まで送ってくれた。
取引は最後まで守ってくれた。
翌日、近場の軍に渡し、補償金をもらい、海賊の後処理は任せることにした。
――処刑でもなんでもいいから処罰を与え給え。
「あ~いい天気。なんてお仕置き日和だろう」
笑顔で爽やかに片手に釘が無数に刺さった棍棒を持っている。
町から離れた海沿いの森にいた。背後には海が輝いている。キラキラと。
「おいおい、聖女が魔女の真似事か?」
木に逆さで吊しているアキセが何か言っている。
「さて。どんなお仕置きいい?種類豊富よ」
棍棒を手に置く。足元には拷問道具を用意してある。
「解放で」
「撲殺。刺殺。圧殺。斬殺。あー炙るのもいいわね。得意よ」と爽やかに言う。
「フリーダああああああああああああああああああああム」
アキセは声を上げるが、耳に入らない。
「あんた。学習って機能がないの?結末分かっているのにやるよね~」
「だから、来る前に逃げようと思っていたんです。釈放してください」
「そうだ。コルンでも呼ぶか」
「それは勘弁・・・」
コルンはアキセの被害者。コルンの発明品を盗まれて殺したいほど恨んでいる。呼んだら、コルン特製の拷問道具があるかもしれない。楽しみだな~
その時だった。
背後からジャンヌの頭に水がかかった。
「何よ・・・」
しかも海水。髪がパサついた。
不機嫌になりながら足元を見ると、サンゴの欠片が落ちていた。拾い上げれば、手のひらの大きさのサンゴが赤く輝いている。
「これって」
海に向ければ、顔だけ出しているさんぎょの魔女ファビナ・コーラルとウツボがいた。
少し不機嫌そうに睨みつけるファビアが、ぷいっと顔をそらし、すぐに海の中に消えた。ウツボは、慌てた様子で会釈して海の中へと潜った。
お礼のサンゴとジャンヌに痛めつけられた分の水のつもりだろう。
聖女が魔女を助けるのもおかしな話だか、あのままでは後味が悪かった。騙されて海賊をほっとくほど、器は大きくない。やられたら倍返しする信条を守っただけ。
それより今は。
「さ~続きをしましょ」
アキセを懲らしめる方が先だった。
アキセは青ざめる。
気が晴れるまで1週間もかかった。
聖女が宿敵である魔女を助けるとか呆れてしまう。どっちかといえばついでに魔女を助け、復讐するために組んだ方が正しい。
おそらくクラーケンに侵食していた『呪い』を浄化し、クラーケンを復活させた。見つけられたのもクラーケンの聴覚か臭覚のどちらかで見つけられたと推測できる。
このままでは殺される。早く逃げないと。
アキセは慌てて隠れる場所を探していたため、魔女がいる部屋にいた。
魔女は、特殊なアイアンメイデンに入れている。特殊な術式を込めており、内側にある針を通し、痛みを与え続ける仕組みになっている。
今弱っている魔女なら十分の檻だった。
どっちにしても長居はしたくない。
今すぐ『飛ばしコイン』を召喚する。
工作の魔女コルン・ゴボルドの発明品の一つ。何も刻んでいないコインに触れれば、ランダムに飛ばされる。正確に思い浮かべば、コインに座標が刻み、着地点を選べる。
もうどこでもいい。すぐにでも船から離れたい。
アキセがコインを使おうとした時だった。
船に穴が空き、白い触手が伸びてくる。
「げ?!」
「クソ!どこにいる!」
ジャンヌは海賊を蹴散らしながら、アキセに船長とドニーを探していた。
ほどんど海賊を倒した。それでも姿を見せない。どこかに隠れているかそれとも。
その時、何かが破ける音がした。すぐさま海の方を見る。
何もないところに波が切っている。
「まさか」
視界を見えなくして逃げている。魔術を使えるとしたらアキセしか考えられない。
すぐさま、ロザリオを振り、白い炎の波を飛ばす。
白い炎の波が何かに当たった。
それはアキセでなく、小舟に乗って逃げていた船長だった。
――ち、あいつじゃねえか
よく見れば、サンゴの入った網を小舟に詰め込んである。部下を置いて、宝を持ち逃げといったところだろう。
部下想いの無い奴。
それにどうやら船長は魔術が使えるようで、わざわざ姿を消してまで逃げようとした。
「逃がすが!」
どっちにしても逃さない。
白い炎の刃を作り、船長に飛ばしても小舟が避けていく。
小舟にも魔術の記号が刻んでおり、加速と操縦をしている。
腹立つ。
さすがに海の上では追えない。このままでは逃げられる。
その時、水柱が噴射し、船長の小舟が粉砕される。
飛んだ船長は、海から出たサンゴに足を絡まり、逆さに吊るしている。
サンゴが捕まえた。
「ということは」
サンゴを操っているのは魔女の力。つまり、魔女の救出に成功したようだ。
振り向けば、船にしがみついたクラーケンが足に絡ませたアキセを見せている、水柱の上にさんぎょの魔女ファビナ・コーラルが不機嫌そうに見つめている。
どうやら、ウツボから話を訊いて協力することにしたようだ。
後ろから物音がした。
振り返れば、最初にジャンヌを船に招待したドニーがいた。隠れていたようだ。
「許してください・・・」
詫びているドニーに静かに近づく。
「申し訳ございません」
トニーは必死に謝罪する。
「謝罪一つで許せる人間がいたらここに呼べ」
一発殴る。
海賊をさらに半殺しにした。
ファビナの救出に船に穴を空いたため、クラーケンが港の近場まで送ってくれた。
取引は最後まで守ってくれた。
翌日、近場の軍に渡し、補償金をもらい、海賊の後処理は任せることにした。
――処刑でもなんでもいいから処罰を与え給え。
「あ~いい天気。なんてお仕置き日和だろう」
笑顔で爽やかに片手に釘が無数に刺さった棍棒を持っている。
町から離れた海沿いの森にいた。背後には海が輝いている。キラキラと。
「おいおい、聖女が魔女の真似事か?」
木に逆さで吊しているアキセが何か言っている。
「さて。どんなお仕置きいい?種類豊富よ」
棍棒を手に置く。足元には拷問道具を用意してある。
「解放で」
「撲殺。刺殺。圧殺。斬殺。あー炙るのもいいわね。得意よ」と爽やかに言う。
「フリーダああああああああああああああああああああム」
アキセは声を上げるが、耳に入らない。
「あんた。学習って機能がないの?結末分かっているのにやるよね~」
「だから、来る前に逃げようと思っていたんです。釈放してください」
「そうだ。コルンでも呼ぶか」
「それは勘弁・・・」
コルンはアキセの被害者。コルンの発明品を盗まれて殺したいほど恨んでいる。呼んだら、コルン特製の拷問道具があるかもしれない。楽しみだな~
その時だった。
背後からジャンヌの頭に水がかかった。
「何よ・・・」
しかも海水。髪がパサついた。
不機嫌になりながら足元を見ると、サンゴの欠片が落ちていた。拾い上げれば、手のひらの大きさのサンゴが赤く輝いている。
「これって」
海に向ければ、顔だけ出しているさんぎょの魔女ファビナ・コーラルとウツボがいた。
少し不機嫌そうに睨みつけるファビアが、ぷいっと顔をそらし、すぐに海の中に消えた。ウツボは、慌てた様子で会釈して海の中へと潜った。
お礼のサンゴとジャンヌに痛めつけられた分の水のつもりだろう。
聖女が魔女を助けるのもおかしな話だか、あのままでは後味が悪かった。騙されて海賊をほっとくほど、器は大きくない。やられたら倍返しする信条を守っただけ。
それより今は。
「さ~続きをしましょ」
アキセを懲らしめる方が先だった。
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