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珊魚の魔女④
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目を覚ませば、日が大部傾き、いつの間にか浜辺にいた。
動かそうにも手を後ろに、足に鎖が巻かれ、木まで繋がれている。口にまで口輪をつけられている。
こんな悪趣味な。
なぜか腕が治っている。
それにご丁寧に日陰で『光』の吸収を妨げている。
海の方を向けば、小舟に乗った海賊たちが、海からサンゴを採取している。
海賊がここにいるとしたら、ドニーたちはどうなっただろうか。
「おう。起きたか」
訊いたことのある声だと思えば、アキセ・リーガンだった。
気絶する前に感じた『光』が抜ける感覚。以前にもアキセから『光』を奪った感覚と同じ。
――やっぱりおまえか!
声を上げようにも口が塞がれて声を出せない。怒鳴りつけたいほどに
「言いたいこと分かっているから口を縛った」
だろうな。
「たっぷり『光』を抜き取ったからしばらく無理だろうよ」
殺す。
「いや~いい顔。久しぶりに君のその顔みたくて地元の海賊さんと協力したんだ」
殺す。
「このところ俺、調子悪かったんだ。なんか俺ばっかり痛い目に合ってるみたいな」
それは自業自得だろうか。
「俺はさ。クールで勝ち組に生きたいんだ。だからさ。そこら辺のモブとクズと一緒にしたくないんだ」
おまえもクズと変わらないだろうか。
「それで今回実行したんだ」
ふざけるな。この口輪がなければ、一番に怒鳴りたい。
「君を騙すにもいろいろと考えたんだぜ」
変なところで力を入れやがって。
「演技が得意なドニーに漁師になりすまして近づけさせたんだ」
「どうもー」
アキセの背後から出たドニーは、海賊風に着替えている。
「いや~聖女も騙すのもいいですね~」
「だろう。ハマるだろう」
何、意気投合しているんだ。
「でも、俺たちを襲ったのはやりすぎじゃないのか。死ぬところだった」
「こいつは、結構察しがいいんだ。あそこまですれば、考えを巡らせないようにしたんだ」
「なるほど!」
納得するな。
「聖女と何している」
別の声がした。
「船長」とトニーが言う。
銀髪。長い髭。海賊帽子。海賊服を着た年寄りの男だった。
「いや~船長さん」
海賊の頭だった。
「本当ならそこの聖女も売りに出したいところだったが」
「それは辞めた方がいいって。こいつがいたら、魔術も使えないし。倍にして返しにくるって」
絶対にしてやる。
「そうか。聖女は狂暴なのか。魔女と変わらないな」
はあ。今なっつった。
「確かに暴れたら、対処しようがない。猛獣は大人しく鎖で繋いでおけ」
あのジジィも殴りつけてやる。
「戻るぞ」
「へ~い」
船長とドニーは船に戻る。
アキセがしゃがみ込む。
「船長には話していないが、明日になれば外す仕組みになっているから。それに腕の怪我。コルンの発明品で治してあげたんだ。それで許してくれよ」
そういう問題じゃない。
「運よく生きれよ」
アキセは悪意のある笑みで手を振って小舟に戻る。
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すぶっ殺す!
これまでにないほどに殺意が芽生えてくる。
その時、海から生物が砂場に上がってくる。
動かそうにも手を後ろに、足に鎖が巻かれ、木まで繋がれている。口にまで口輪をつけられている。
こんな悪趣味な。
なぜか腕が治っている。
それにご丁寧に日陰で『光』の吸収を妨げている。
海の方を向けば、小舟に乗った海賊たちが、海からサンゴを採取している。
海賊がここにいるとしたら、ドニーたちはどうなっただろうか。
「おう。起きたか」
訊いたことのある声だと思えば、アキセ・リーガンだった。
気絶する前に感じた『光』が抜ける感覚。以前にもアキセから『光』を奪った感覚と同じ。
――やっぱりおまえか!
声を上げようにも口が塞がれて声を出せない。怒鳴りつけたいほどに
「言いたいこと分かっているから口を縛った」
だろうな。
「たっぷり『光』を抜き取ったからしばらく無理だろうよ」
殺す。
「いや~いい顔。久しぶりに君のその顔みたくて地元の海賊さんと協力したんだ」
殺す。
「このところ俺、調子悪かったんだ。なんか俺ばっかり痛い目に合ってるみたいな」
それは自業自得だろうか。
「俺はさ。クールで勝ち組に生きたいんだ。だからさ。そこら辺のモブとクズと一緒にしたくないんだ」
おまえもクズと変わらないだろうか。
「それで今回実行したんだ」
ふざけるな。この口輪がなければ、一番に怒鳴りたい。
「君を騙すにもいろいろと考えたんだぜ」
変なところで力を入れやがって。
「演技が得意なドニーに漁師になりすまして近づけさせたんだ」
「どうもー」
アキセの背後から出たドニーは、海賊風に着替えている。
「いや~聖女も騙すのもいいですね~」
「だろう。ハマるだろう」
何、意気投合しているんだ。
「でも、俺たちを襲ったのはやりすぎじゃないのか。死ぬところだった」
「こいつは、結構察しがいいんだ。あそこまですれば、考えを巡らせないようにしたんだ」
「なるほど!」
納得するな。
「聖女と何している」
別の声がした。
「船長」とトニーが言う。
銀髪。長い髭。海賊帽子。海賊服を着た年寄りの男だった。
「いや~船長さん」
海賊の頭だった。
「本当ならそこの聖女も売りに出したいところだったが」
「それは辞めた方がいいって。こいつがいたら、魔術も使えないし。倍にして返しにくるって」
絶対にしてやる。
「そうか。聖女は狂暴なのか。魔女と変わらないな」
はあ。今なっつった。
「確かに暴れたら、対処しようがない。猛獣は大人しく鎖で繋いでおけ」
あのジジィも殴りつけてやる。
「戻るぞ」
「へ~い」
船長とドニーは船に戻る。
アキセがしゃがみ込む。
「船長には話していないが、明日になれば外す仕組みになっているから。それに腕の怪我。コルンの発明品で治してあげたんだ。それで許してくれよ」
そういう問題じゃない。
「運よく生きれよ」
アキセは悪意のある笑みで手を振って小舟に戻る。
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すぶっ殺す!
これまでにないほどに殺意が芽生えてくる。
その時、海から生物が砂場に上がってくる。
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