魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

文字の大きさ
上 下
87 / 648

珊魚の魔女③

しおりを挟む
 海から伸びてくる水柱を避けながら、白い炎を飛ばす。ファビナに当てようにも海からの水柱に防がれる。
――近づかないとダメか。
 近づこうにも水柱が襲ってくる。
水柱が届かない距離まで上に飛んでも意味がない。
 いくら快晴で日差しが届いても延長戦に持ち込みたくない。
 海は魔女の領分。海から離すしかない。
 海から噴射した水柱を避けたが、避けた水柱からファビナが飛び出す。腹に蹴りを食らい、そのまま背後の水柱に入ってしまう。
 しまった。
 水柱を通って、サンゴが伸び、体を巻きつき、海に引きずられる。さらに首にファビアが掴む。
海に引きずりながら息を止めさせるつもりだろう。そうはさせない。
 体から白い炎を噴き出すも、水の中では威力が半減され、傷を与えてもファビナには耐えられ、首をさらに絞める。
 しかし、狙いは、絡まったサンゴの触手を離すためだった。白い炎が半減されても、サンゴの触手を燃やすにも充分だった。
 サンゴは白くなり、粉砕される。
 体が自由になり、ファビナの両腕を掴む。
 足から白い炎を噴射し、水柱からファビアと共に出る。
 ファビアの腕に白い炎を注ぎ、体を侵食させる。
 ファビアは叫び、苦しまれながらジャンヌの左腕を噛む。
――こいつ!
 その時、視界の端から黒い物体が近づいてくる。
 大砲弾だった。
 このままではぶつかる。
 噛まれた左腕から白い炎を結晶化し、ファビナの口を刺す。ファビナはあまりの痛みか、腕から離れた。その隙にファビナを離し、距離を取る。
 そして、飛んできた大砲弾がファビナに直撃する。
 ファビナはそのまま気を失い、小島に落下する。
 ジャンヌも追いかける。



 小島に着地する。上空から見ても小さな島で、木が多く生えているだけの島だった。
 少しふらつく。軽く無理をしてしまった。魔女に噛まれた左腕は、『光』を結晶化して止血した。
 大砲弾一つで魔女は倒せないが、ダメージはそれなりに与えているはず。
 どこにいる。
 それにあの大砲は、ドニーの援助によるものだろうか。それとも。
「ぎゃああああああああああああああああああ」
 考えようとした先で叫び声がする。ファビアだろう。
 すぐに声をした方へ走る。
 たどり着いた先では、ファビナはもがき苦しんでいる。
 ファビナの髪や肩、足のサンゴが白くなり、肌が乾燥している。
 海と完全に離れたのか、日差しに当てただけで弱まっている。『光』の抗体が低いだろう。
 だか、今がチャンス。魔女が弱まっている隙に仕留める。
 懐からロザリオを取り出し、光の刃を作る。
「これで」
 ファビアに止めを刺そうとした時だった。
 ファビアに網が覆いかぶさる。
「何?!」
 ファビアは抜けようとするが、網に電撃が襲い掛かる。
 大部弱っているのか、電撃で動けなくなった。 
 網の先には、小汚い男が3人、網を掴んでいた。体に骨の入れ墨を彫ってあった。
「海賊?!」
 その時、背後から何かに触れられ、急に足に力が入らなくなった。
「これって・・・」
 以前にも似た感覚。考える間もなく目を閉じてしまう。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

冤罪で追放した男の末路

菜花
ファンタジー
ディアークは参っていた。仲間の一人がディアークを嫌ってるのか、回復魔法を絶対にかけないのだ。命にかかわる嫌がらせをする女はいらんと追放したが、その後冤罪だったと判明し……。カクヨムでも同じ話を投稿しています。

私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。

火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。 王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。 そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。 エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。 それがこの国の終わりの始まりだった。

悪役令嬢は処刑されました

菜花
ファンタジー
王家の命で王太子と婚約したペネロペ。しかしそれは不幸な婚約と言う他なく、最終的にペネロペは冤罪で処刑される。彼女の処刑後の話と、転生後の話。カクヨム様でも投稿しています。

聖女召喚

胸の轟
ファンタジー
召喚は不幸しか生まないので止めましょう。

【完結】そして、誰もいなくなった

杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」 愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。 「触るな!」 だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。 「突き飛ばしたぞ」 「彼が手を上げた」 「誰か衛兵を呼べ!」 騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。 そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。 そして誰もいなくなった。 彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。 これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。 ◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。 3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。 3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました! 4/1、完結しました。全14話。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

1人生活なので自由な生き方を謳歌する

さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。 出来損ないと家族から追い出された。 唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。 これからはひとりで生きていかなくては。 そんな少女も実は、、、 1人の方が気楽に出来るしラッキー これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。

仰っている意味が分かりません

水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか? 常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。 ※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。

処理中です...