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風の魔女たち⑤
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「ふかががが」
縄で口まで縛り、木に逆さで吊るしているアキセに聞き耳を持たない。
「え?何?あんたたちはこの風の魔女を懲らしめるためにきたの?」
ジャンヌは影で抑えられているウィムを指で差す。
「そうなんっすよ。ウィムちゃんを調教しようとコルンに頼んたんすよ。そしたら、丁度泥棒に盗まれたんっすよ」
「あんた、コルンの知り合いだったの・・・」
「サバト仲間ですよ。同然、ウィムちゃんも知ってしまって、首輪を奪われる前に泥棒は拙者で、ウィムちゃんの相手をアニエスにしたんです。けど、手違いがありましたようで」
「はい、あの魔女に踊らされました」
アニエスは落ち込んでいた。
アニエスと会った時に魔女はウィムと戦っていたそうだ。アニエスをジャンヌに仕向けるためにウィムが攻撃したという。
「そうだったの。最初から言ってくれれば、ちょ~ノリノリで参加するのに」
「聞いてくれなかったじゃないですか!」
アニエスは声を上げる。
「だって、同族だから」
ウィムと同じような悪意のあるイタズラ好きな魔女と増やしたくなく、なめられたくなかったからだ。
「確かに風の魔女ですけど、ウィムちゃんと一緒にしないで下さいっすよ」
「そうなのね。で、この後どうするのよ」
「え~と。まず。アニエスの首輪を外さないと」
クノは、背後にいるアキセを見ずにクナイを飛ばす。クナイは、アキセの横をかすり、口を拘束して縄を切る。
「は~俺を・・・」
アキセが言いかけたところで、
「外してくれるよね」
クノが瞬時にアキセに飛び乗り、アキセの口の中に短刀を入れて、脅迫する。
アキセが小さく縦に頷く。
「解放する」
アニエスに着いた首輪が外された時だった。
突如、赤い霧が発生する。
「何?」
鼻に刺す匂い。これは血の匂いだった。
「これって・・・」
奏でる音がする。おそらくアニエスの音だろう。先ほど戦った時もこの音を奏ででいた。
急に騒がしくなった。
今度は、砂嵐が吹き荒れる。
もう次から次へと。やっと晴れたと思えば、拘束したはずのウィムとアキセも消えていた。
アニエスは弓を出していた。やはり戦闘していたようだ。
クノはぽつんと立っていた。ということは。
「あんたわざと見逃したでしょ」
「ちょっとアニエスにやらせてみただけっすよ」
「先輩。急は辞めてください」
「なんでも拙者に頼ってはいけませんっすよ」
急に任させるところはアガタを思い出してしまう。
「そうですが、エリニュス様に叱られてしまいます」
ん?
「そこは一緒に謝りますって。拙者にも責任はありますから」
「ねえ、今さっき、エリニュスって言ってなかった?」
「あれ、言ってなかったすか。羽嵐の魔女エリニュス・エア・ディーラの下で働いているって」
「初耳だ!」
はねあらしの魔女エリニュス・エア・ディーラは、最古の魔女の1人。『風の女王』と異名を持つ風の支配者である。
「あの魔女。そんな怒らせるようなことしたの」
「そうなんっすよ。エリニュス様の風を使って情報を得ようとしたから」
クノが答える。
「はあ?」
「つまり、情報を探るために人の物を勝手に使ったんすよ。そりゃ怒りますよ」
「あっそ」
魔女の事情はよく分からないモノだ。
「今回は助かりましたね。ウィム様」
ウィムが助けたのは、吸血鬼(ヴァンパイア)のイーグス・フォードだった。
タイミングを見計らい、赤い霧を放ち、逃がすチャンスを作ったといったところだった。
「なぜ、要請かけなかったですか。お互い協力関係じゃないですか」
煽るように言う。
「ふん」
不機嫌そうなウィムは風を吹かせ、何も言わずに消えていった。
ウィムは下等な魔族に助けられたのに、嫌なのだろう。
「さて、これをどうしましょうか」
イーグスの手に『奴隷首輪』を持っていた。
縄で口まで縛り、木に逆さで吊るしているアキセに聞き耳を持たない。
「え?何?あんたたちはこの風の魔女を懲らしめるためにきたの?」
ジャンヌは影で抑えられているウィムを指で差す。
「そうなんっすよ。ウィムちゃんを調教しようとコルンに頼んたんすよ。そしたら、丁度泥棒に盗まれたんっすよ」
「あんた、コルンの知り合いだったの・・・」
「サバト仲間ですよ。同然、ウィムちゃんも知ってしまって、首輪を奪われる前に泥棒は拙者で、ウィムちゃんの相手をアニエスにしたんです。けど、手違いがありましたようで」
「はい、あの魔女に踊らされました」
アニエスは落ち込んでいた。
アニエスと会った時に魔女はウィムと戦っていたそうだ。アニエスをジャンヌに仕向けるためにウィムが攻撃したという。
「そうだったの。最初から言ってくれれば、ちょ~ノリノリで参加するのに」
「聞いてくれなかったじゃないですか!」
アニエスは声を上げる。
「だって、同族だから」
ウィムと同じような悪意のあるイタズラ好きな魔女と増やしたくなく、なめられたくなかったからだ。
「確かに風の魔女ですけど、ウィムちゃんと一緒にしないで下さいっすよ」
「そうなのね。で、この後どうするのよ」
「え~と。まず。アニエスの首輪を外さないと」
クノは、背後にいるアキセを見ずにクナイを飛ばす。クナイは、アキセの横をかすり、口を拘束して縄を切る。
「は~俺を・・・」
アキセが言いかけたところで、
「外してくれるよね」
クノが瞬時にアキセに飛び乗り、アキセの口の中に短刀を入れて、脅迫する。
アキセが小さく縦に頷く。
「解放する」
アニエスに着いた首輪が外された時だった。
突如、赤い霧が発生する。
「何?」
鼻に刺す匂い。これは血の匂いだった。
「これって・・・」
奏でる音がする。おそらくアニエスの音だろう。先ほど戦った時もこの音を奏ででいた。
急に騒がしくなった。
今度は、砂嵐が吹き荒れる。
もう次から次へと。やっと晴れたと思えば、拘束したはずのウィムとアキセも消えていた。
アニエスは弓を出していた。やはり戦闘していたようだ。
クノはぽつんと立っていた。ということは。
「あんたわざと見逃したでしょ」
「ちょっとアニエスにやらせてみただけっすよ」
「先輩。急は辞めてください」
「なんでも拙者に頼ってはいけませんっすよ」
急に任させるところはアガタを思い出してしまう。
「そうですが、エリニュス様に叱られてしまいます」
ん?
「そこは一緒に謝りますって。拙者にも責任はありますから」
「ねえ、今さっき、エリニュスって言ってなかった?」
「あれ、言ってなかったすか。羽嵐の魔女エリニュス・エア・ディーラの下で働いているって」
「初耳だ!」
はねあらしの魔女エリニュス・エア・ディーラは、最古の魔女の1人。『風の女王』と異名を持つ風の支配者である。
「あの魔女。そんな怒らせるようなことしたの」
「そうなんっすよ。エリニュス様の風を使って情報を得ようとしたから」
クノが答える。
「はあ?」
「つまり、情報を探るために人の物を勝手に使ったんすよ。そりゃ怒りますよ」
「あっそ」
魔女の事情はよく分からないモノだ。
「今回は助かりましたね。ウィム様」
ウィムが助けたのは、吸血鬼(ヴァンパイア)のイーグス・フォードだった。
タイミングを見計らい、赤い霧を放ち、逃がすチャンスを作ったといったところだった。
「なぜ、要請かけなかったですか。お互い協力関係じゃないですか」
煽るように言う。
「ふん」
不機嫌そうなウィムは風を吹かせ、何も言わずに消えていった。
ウィムは下等な魔族に助けられたのに、嫌なのだろう。
「さて、これをどうしましょうか」
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