魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

文字の大きさ
上 下
83 / 648

風の魔女たち④

しおりを挟む
「さて。早速使うか」
 『奴隷首輪』は、獣に使うような皮で作ったような黒い首輪。この首輪をつけた者は、首輪に音声認識した者の命令をなんでも従わなければならない。もちろん従わなければ、首を絞められることになる。
 こんないいものを使わなくてどうする。ジャンヌにいろいろとさせられる。
 さてジャンヌはどこにいるのやらと思いきや、前から衝撃した。しかも頭から。そのまま後ろへ地面に叩きつけられる。
 重い。目の前が真っ暗だった。でも柔らかい。
「きゃあ!」と女の声がした。
 やっと視界が明るくなった。
 そこには女が顔を赤らめ、手にお尻を抑えながら睨んでいた。
 空色の髪で横髪を伸ばし、マフラーのように巻いている。胸までの白と青のふんわりとしたドレスに足を見せる。
 微かに『呪い』を散っていた。魔女のようだ。
 なぜ怒っているだろうと考える。
 お尻に手を当てている。
――あーあれはお尻だったのか。
 魔女のお尻が顔にぶつかったようだ。
 そんな童貞が求めるようなエロ展開を望んでいない。そこまで要求するほど欲求不満ではない。
「許しません!」
 怒った魔女が長い弓を召喚する。
 攻撃される。
「ちょ!タイム!」と言ったとたんに魔女が動かなくなった。
 よく見れば、魔女の首元に『奴隷首輪』を付けていた。魔女とぶつかった際につけてしまったのか。
 魔女も首輪を必死に引っ張っているが、びくともしない。さすがコルンの発明品。
 しかし感心している場合ではない。
 「解放する」を言えば外せるが、相手は魔女だ。外した途端に攻撃されるかもしれない。このままにするしかないのもあるが、ジャンヌに付けたいから、外さなければいけない。
 どうしたものか。
「う・・・」
 声がしたので、顔を上げる。
 魔女が涙目になって胸を腕で隠す。
「何をする気ですか・・・」
「え?」
「あの・・・来ないで・・・ください・・・」
 魔女のくせに怯えている。
 魔女でも取れない首輪にどんな命令がくるのか怯えているのだろうか。
 それにしても清楚で可愛らしい顔でいい体型をしている。
これはこれでいけると見つめていた時だった。
「あんた・・・」
 知っている声。振り返れば、冷たい目線を送るジャンヌがいた。
「なんだよ!その目は!」
「こんな趣味があるなんてね・・・」
 完全にゴミを見る目になっている。
「確かにそれも一つのだか」
「やはり」と魔女が言う。
「まさかと思うけど、その首輪私に着けるつもりじゃ・・・」
「そんなことねえって!ジャンヌが困っていたから、この首輪で魔女を・・・」
「どっちにしてもあんたのやることに肯定しないし、魔女を助ける気がないのでどうぞお好きに」
 ジャンヌの冷たい目が痛い。
 いや、魔女をジャンヌに相手させ、その隙に首輪を取り戻せると瞬時に思いつく。早速使おうとした時だった。
 空から何かが落ちてきた。
「クッソー」
 空から落ちてきたのは、風鳴の魔女ウィム・シルフだった。
「ヤバい!地面!」
 ウィムが飛ぼうとした時、ウィムの影が伸び、ウィムを拘束し、地面に押さえ付ける。
「やっと捕まえたっすよ。ウィムちゃん」
 空から速忍の魔女ヤオトメ・クノが降り、ウィムを押さえつける。
 クノが周囲を見回す。
「どうなっているんすか?」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

冤罪で追放した男の末路

菜花
ファンタジー
ディアークは参っていた。仲間の一人がディアークを嫌ってるのか、回復魔法を絶対にかけないのだ。命にかかわる嫌がらせをする女はいらんと追放したが、その後冤罪だったと判明し……。カクヨムでも同じ話を投稿しています。

私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。

火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。 王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。 そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。 エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。 それがこの国の終わりの始まりだった。

悪役令嬢は処刑されました

菜花
ファンタジー
王家の命で王太子と婚約したペネロペ。しかしそれは不幸な婚約と言う他なく、最終的にペネロペは冤罪で処刑される。彼女の処刑後の話と、転生後の話。カクヨム様でも投稿しています。

聖女召喚

胸の轟
ファンタジー
召喚は不幸しか生まないので止めましょう。

【完結】そして、誰もいなくなった

杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」 愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。 「触るな!」 だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。 「突き飛ばしたぞ」 「彼が手を上げた」 「誰か衛兵を呼べ!」 騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。 そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。 そして誰もいなくなった。 彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。 これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。 ◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。 3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。 3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました! 4/1、完結しました。全14話。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

1人生活なので自由な生き方を謳歌する

さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。 出来損ないと家族から追い出された。 唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。 これからはひとりで生きていかなくては。 そんな少女も実は、、、 1人の方が気楽に出来るしラッキー これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。

仰っている意味が分かりません

水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか? 常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。 ※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。

処理中です...