魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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複霊の魔女⑥

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「さて。俺はと!」
 アキセは召喚した銃を撃つ。その先にはレオンを抱えて逃げようとする魔女レオンに撃っていた。トリモチ弾を。二人ごとトリモチに包まれる。
「おい!俺ごとやるな!」
「あ~見えなかった」と惚けるように言う。
「うそつけ!」とレオンが怒鳴る。
「おまえが・・・う!」
 急に頭痛する。


 これは勝てる。
 好戦的なソルティだか、そこまで苦戦するほどではない。戦闘向きの魔女ではないそうだ。ソルティの2本の剣と  ロザリオで重なりながら、1本の剣を弾き飛ばす。
「げ!」
 一気に首に突き刺す時だった。
「ま〇こおおおおおおおおおおおお!」とアキセが叫びながら、飛び掛かる。
「え!?」
 ソルティは背後に下がり、アキセが押し倒す。
 地面に倒れたジャンヌはアキセの顎と腕を抑える。
 アキセはよだれが垂れ、息が上がっている。もう発情期を迎えている。
「この万年発情期が!」
 アキセを必死に抑える。
「おお!いいタイミング!」
 ソルティが一言ごとに口調が変わっている。
「なんだよ!もっとやらせろ!」
「ダメだよ。僕戦闘向けじゃないし。聖女強いし。しかもさっきまで苦戦したじゃないか」
「ぐぬぬぬ」
「だからここまで」
 ソルティが剣をしまう。
「さてと。逃げよう」
 ソルティが一目散に逃げる。
「あ!こら!」
 ソルティが逃げだしたことに叫ぶジャンヌは、発情期のアキセを抑えている。
「やらせろーやらせろー」
 目が血走っている。今までにない以上に発情している。
「おまえはいつもいつも・・・鬱陶しいんだ!」
 アキセの腹に足を蹴り上げ、森の奥へと飛ばしていく。
 ジャンヌも森の中へと突っ込む。


「おっと。あの二人回収しないと」
 森の中に逃げていたソルティが振り向くとアキセが飛んできた。
「え?」
 ソルティは咄嗟に避け、アキセは森の奥へと飛んでいった。
「あぶな!」
 体制を持ち直し、顔上げた途端、殺意を込めたジャンヌが目の前にいた。
 剣を引き抜くよりも、ジャンヌが先にソルティの首を切る。


「よかった。戻った・・・」
 途方に飛んでいったはずのアキセがいつの間に戻ってきた。
「どこが戻ったのよ。代わり映えしてないでしょうが」
「だから、魔女のタタリにかかっていたんだ!」
「はいはい」
 ジャンヌは軽く返す。
 膝を抱えこむレオンを見つめていた。
「今度は何で落ち込んでいるのよ」
 レオンに声をかける。
「いや、さっきの魔女。人格を生まれるにはなりたい自分を思い描けないとなれないって・・・」
「言っていたわね」
「その時、男になりたいって思ったはずなんだよな・・・なんで女に分裂するだろうなって・・・」
「ん~それは・・・」
 回答が難しい。
「あ~それはな」
 回答に困っていたところをアキセが代わりに答えるようだ。
「おまえは、どうやっても男になれないってことなんだ。諦めろ」
 アキセは悪意のある笑みで回答する。
「ぐ!」
 レオンはプチ切れた。
 レオンは詩って精霊術を発動する。
 地面から土の槍を伸ばすが、アキセは後ろへ下がる。
「おい。俺を殺したってなんも解決しないだろうか」
「俺の気が晴れる。死ね!」
 アキセは逃げ、レオンは追いかける。
 ジャンヌは、二人の行動に呆れて溜息を吐く。
「そういえば」
 ジャンヌは思い出す。
 魔女は倒したけど、あの町人たちはどうなったんだろうか。
 魔女から奪われたり姿を変えたりした場合、退治すれば戻ってくるが、失ったり壊されたりした場合は、戻ることはない。
 ただ今回のふくれいの魔女が退治した時、体から抜けた人格はどこかに消えたのだろうか。それに体に残っている人格はそのまま固定されるのだろうか。それが本来の人格か望んだ人格なのかどっちにしても。
「彼らが望んだことだから何もすることはない」とジャンヌはその場を去る。
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