魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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複霊の魔女①

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「幽霊?」
 ジャンヌは情報収集をするため、食堂で店長と話しているところだった。
「そうなんだ。だからお客さん。隣の町に行かないほうがいいですよ。幽霊に襲われた者は、幽霊に乗っ取られるってさ」
 幽霊。体から抜けられた魂。霊体、魂を操る魔女も存在するから、別に驚くことはない。
「幽霊ね~」


 鏡が産地であるためにしつこいほどに鏡を多く売っている。
 そんな中、アキセが歩いている時だった。
「あれって・・・」
 洋服屋の前で長い金髪で短いスカートの女が品定めをしていた。
一瞬で気付かなかった。
よく見れば女装したレオンだったが、エルフの血が流れているレオンの耳が短かった。


 もう夕方だった。
ジャンヌは幽霊が出る町に向かうため、森の中を歩いていた。
「あれが噂の町かな」
 森を抜ければ、山と森に囲まれた町が見えた。
 夜には街に着きそうだと思った矢先に、後ろから気配を感じた。ロザリオで後ろへ振り上げる。切った感覚がない。
外したかと思ったが。
「待って!ジャンヌさん!」
 聞き覚えのある声。そこには男装のレオンが立っていた。 
「レオン?」
「ジャンヌさん。助けて下さい!」
「何よ。また・・・」と呆れた目で見る。
 レオンは、魔女に好かれる体質のためが、魔女に目をつけられている。また魔女に絡まれたのだろう。
「倒してほしい魔女がいるんだ!」
「あんたの母だったら、却下」
 レオンは、よきの魔女リリス・ライラ・ウィッチャーの子供のリリム。リリスのお気に入りで尋常な愛を注いでいる。だか、その愛は一般で考えるような愛ではない。人形としか見ていなく、からかって遊ばれているらしい。それにリリスは、この世で最強と言われる。最も相手にしたくない。
「違うんだ。倒してほしいのはもう一人の俺なんだ」
「は?」
 思わず言葉が出なかった。

 レオンはリリスから逃げ出し、この町に着いた。
 疲れ切っていたため、宿で一晩過ごした。
 翌日、目を覚めれば、もう一人しかも女であるレオンが一緒に寝ていた。顔が似ていても違いがあった。耳が短く、しかも『呪い』が散らばった。
 もう一人のレオンは魔女だった。それになぜか性行為を要求してくる。
 もう一人の自分に怖くなり町の外まで逃げたところでジャンヌを見かけた。

「どう考えても魔女の『タタリ』にかかったわね」
『タタリ』は、様々な災難を降りかかる。
 『光』で浄化されないように魔女の中で開発された術。『光』に届かないほど相手の体内に入れられる。魔女と繋がっているため、魔女が消滅しない限り消えることはない。魔女によっては対処法も変わる。
「やだ。俺とそっくりな魔女にさせてたまるか!ジャンヌさん!世に広まる前に殺してくれ!」
 やはり魔女が絡んでいるようだ。魔女と関われば、聖女の仕事をしなければならない。
「は~分かったから。手伝いなさいよ」
「さすが、ジャンヌさん!頼りになる!」
「で、何か心当たりないの?そうなった原因」
「そんなのねえよ。けど・・・」
「けど?」
「鏡がなんか気になる」
「鏡ね・・・」
 鏡となれば、最古の魔女の1人。まよいかがみの魔女ニトクリス・ミラ・クリエリアに関わる。本体である鏡が割られ、消える前に鏡の中に逃げたという。だが、ニトクリスの呪力は、話に聞いていたのと違う。おそらく別の魔女の仕業だろう。
 どっちにしても。
「町に行かないと分からないか」
 ジャンヌはレオンと共に町に向かう。
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