魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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濡怨の魔女①

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 アキセは工作の魔女コルン・ゴボルドにより子供の姿になり、調理の魔女アニア・パティ―ルの食材になるところ、ジャンヌが助けにきてくれた。子供であったためが、バレずに助けてもらえた。
 ジャンヌにバレる前に奪う魔力で薬を抜き取ろうとしたが。
「戻らないいいいいいいいいいいいい!」
 大人に戻れずにアキセは嘆いていたところだった。
 どうしてだ。奪う魔力を使ってもなぜか戻れない。いや使った感覚がしない。どんなに頭を巡らせても思いつかない。
「ここにいたのね」
 聞いたことのある女の声で心臓が縮まった。
 アキセが振り返れば、夜輝(よき)の魔女リリス・ライラ・ウィッチャーが立っていた。
「げ!」
「どうしたの。坊や。こんなところで迷子?」
 逃げようとするが、襟元を掴まれ、あっさりリリスに捕まる。
 すぐに戻るつもりで体に合わない服を着ているため、首元を引っ張る猫のような状態だった。
「なんで逃げるの。そんなにお姉さんが怖いのかな。ガルム」
 その言葉で寿命が縮まるほど、体が固まってしまう。
 バレていた。いつの間に。
「お見通しで・・・」
 冷や汗をかく。
「その姿になった経路はまあいいとして」
 聞かないのか。
「なぜ、魔力が使えないか知りたい」
 リリスの笑みに悪意を感じる。
「あなたと目が合った時にこっそりとね。タタリをかけておいたの。魔力を封じるようにね」
 厨房から様子を見ていた時、リリスと目が合った。あの時にタタリをかけたということか。
「でも、感謝することね。このゲームを思いつけなければ、楽しみしていたディナーを潰されて、家ごと壊したんだから」
――この短気ババめ。
「あら、なんか言ったかしら」
 リリスは心を読んだのか、怒りを混じって言う。
「なんでもありません・・・」
 すぐさま謝る。
「ん?ゲーム?」
「ええ。あの時、後数分で元の姿に戻るところだったのよ」
「え!ちょっと待った!」
 つまり、あの時に薬の効果が切れ、元の大人の姿に戻れたことになる。だか。
「それでも戻らないってことは・・・」
「大きくならないようにタタリをさらにかけたの」
「クソババ!」
 言った瞬間、顔に平手で思いっきり叩かれた。
 耳鳴りがする。軽く頭が揺れた。骨までじんと痛む。
「イタイ・・・」
 世界最強なだけある。
「タタリを解きたければ、あなたの愛しい聖女のキスをすれば解けるわよ」
「え!何?そんな解き方!?」
「あなた。あの聖女とキスしたいでしょ。いいじゃないの。その体を利用していろいろと企んでいたでしょ」
「それは・・・」
 確かにあったが。
「明日の日が昇るまでにしないと一生そのままよ」
「え!?」
 時間制限つきだった。
「死なせようと考えていたけど、ただ死ぬだけじゃ面白くないし。そっちの姿で生きた方がいろいろと面白いことができるでしょ」
「一生は嫌だ!」
 声を上げる。
「じゃあ、楽しんでねえ~」
 リリスが消え、アキセはお尻から地面に叩きつける。
 冗談じゃない。一生このままだとどっかの番組とかぶるじゃねえか。マジで見た目は子供、頭脳は大人って奴じゃねえか。
 落胆した時だった。
「あら、あなた」
 背後から声がした。振り返れば、ジャンヌがいた。
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