70 / 648
濡怨の魔女①
しおりを挟む
アキセは工作の魔女コルン・ゴボルドにより子供の姿になり、調理の魔女アニア・パティ―ルの食材になるところ、ジャンヌが助けにきてくれた。子供であったためが、バレずに助けてもらえた。
ジャンヌにバレる前に奪う魔力で薬を抜き取ろうとしたが。
「戻らないいいいいいいいいいいいい!」
大人に戻れずにアキセは嘆いていたところだった。
どうしてだ。奪う魔力を使ってもなぜか戻れない。いや使った感覚がしない。どんなに頭を巡らせても思いつかない。
「ここにいたのね」
聞いたことのある女の声で心臓が縮まった。
アキセが振り返れば、夜輝(よき)の魔女リリス・ライラ・ウィッチャーが立っていた。
「げ!」
「どうしたの。坊や。こんなところで迷子?」
逃げようとするが、襟元を掴まれ、あっさりリリスに捕まる。
すぐに戻るつもりで体に合わない服を着ているため、首元を引っ張る猫のような状態だった。
「なんで逃げるの。そんなにお姉さんが怖いのかな。ガルム」
その言葉で寿命が縮まるほど、体が固まってしまう。
バレていた。いつの間に。
「お見通しで・・・」
冷や汗をかく。
「その姿になった経路はまあいいとして」
聞かないのか。
「なぜ、魔力が使えないか知りたい」
リリスの笑みに悪意を感じる。
「あなたと目が合った時にこっそりとね。タタリをかけておいたの。魔力を封じるようにね」
厨房から様子を見ていた時、リリスと目が合った。あの時にタタリをかけたということか。
「でも、感謝することね。このゲームを思いつけなければ、楽しみしていたディナーを潰されて、家ごと壊したんだから」
――この短気ババめ。
「あら、なんか言ったかしら」
リリスは心を読んだのか、怒りを混じって言う。
「なんでもありません・・・」
すぐさま謝る。
「ん?ゲーム?」
「ええ。あの時、後数分で元の姿に戻るところだったのよ」
「え!ちょっと待った!」
つまり、あの時に薬の効果が切れ、元の大人の姿に戻れたことになる。だか。
「それでも戻らないってことは・・・」
「大きくならないようにタタリをさらにかけたの」
「クソババ!」
言った瞬間、顔に平手で思いっきり叩かれた。
耳鳴りがする。軽く頭が揺れた。骨までじんと痛む。
「イタイ・・・」
世界最強なだけある。
「タタリを解きたければ、あなたの愛しい聖女のキスをすれば解けるわよ」
「え!何?そんな解き方!?」
「あなた。あの聖女とキスしたいでしょ。いいじゃないの。その体を利用していろいろと企んでいたでしょ」
「それは・・・」
確かにあったが。
「明日の日が昇るまでにしないと一生そのままよ」
「え!?」
時間制限つきだった。
「死なせようと考えていたけど、ただ死ぬだけじゃ面白くないし。そっちの姿で生きた方がいろいろと面白いことができるでしょ」
「一生は嫌だ!」
声を上げる。
「じゃあ、楽しんでねえ~」
リリスが消え、アキセはお尻から地面に叩きつける。
冗談じゃない。一生このままだとどっかの番組とかぶるじゃねえか。マジで見た目は子供、頭脳は大人って奴じゃねえか。
落胆した時だった。
「あら、あなた」
背後から声がした。振り返れば、ジャンヌがいた。
ジャンヌにバレる前に奪う魔力で薬を抜き取ろうとしたが。
「戻らないいいいいいいいいいいいい!」
大人に戻れずにアキセは嘆いていたところだった。
どうしてだ。奪う魔力を使ってもなぜか戻れない。いや使った感覚がしない。どんなに頭を巡らせても思いつかない。
「ここにいたのね」
聞いたことのある女の声で心臓が縮まった。
アキセが振り返れば、夜輝(よき)の魔女リリス・ライラ・ウィッチャーが立っていた。
「げ!」
「どうしたの。坊や。こんなところで迷子?」
逃げようとするが、襟元を掴まれ、あっさりリリスに捕まる。
すぐに戻るつもりで体に合わない服を着ているため、首元を引っ張る猫のような状態だった。
「なんで逃げるの。そんなにお姉さんが怖いのかな。ガルム」
その言葉で寿命が縮まるほど、体が固まってしまう。
バレていた。いつの間に。
「お見通しで・・・」
冷や汗をかく。
「その姿になった経路はまあいいとして」
聞かないのか。
「なぜ、魔力が使えないか知りたい」
リリスの笑みに悪意を感じる。
「あなたと目が合った時にこっそりとね。タタリをかけておいたの。魔力を封じるようにね」
厨房から様子を見ていた時、リリスと目が合った。あの時にタタリをかけたということか。
「でも、感謝することね。このゲームを思いつけなければ、楽しみしていたディナーを潰されて、家ごと壊したんだから」
――この短気ババめ。
「あら、なんか言ったかしら」
リリスは心を読んだのか、怒りを混じって言う。
「なんでもありません・・・」
すぐさま謝る。
「ん?ゲーム?」
「ええ。あの時、後数分で元の姿に戻るところだったのよ」
「え!ちょっと待った!」
つまり、あの時に薬の効果が切れ、元の大人の姿に戻れたことになる。だか。
「それでも戻らないってことは・・・」
「大きくならないようにタタリをさらにかけたの」
「クソババ!」
言った瞬間、顔に平手で思いっきり叩かれた。
耳鳴りがする。軽く頭が揺れた。骨までじんと痛む。
「イタイ・・・」
世界最強なだけある。
「タタリを解きたければ、あなたの愛しい聖女のキスをすれば解けるわよ」
「え!何?そんな解き方!?」
「あなた。あの聖女とキスしたいでしょ。いいじゃないの。その体を利用していろいろと企んでいたでしょ」
「それは・・・」
確かにあったが。
「明日の日が昇るまでにしないと一生そのままよ」
「え!?」
時間制限つきだった。
「死なせようと考えていたけど、ただ死ぬだけじゃ面白くないし。そっちの姿で生きた方がいろいろと面白いことができるでしょ」
「一生は嫌だ!」
声を上げる。
「じゃあ、楽しんでねえ~」
リリスが消え、アキセはお尻から地面に叩きつける。
冗談じゃない。一生このままだとどっかの番組とかぶるじゃねえか。マジで見た目は子供、頭脳は大人って奴じゃねえか。
落胆した時だった。
「あら、あなた」
背後から声がした。振り返れば、ジャンヌがいた。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
冤罪で追放した男の末路
菜花
ファンタジー
ディアークは参っていた。仲間の一人がディアークを嫌ってるのか、回復魔法を絶対にかけないのだ。命にかかわる嫌がらせをする女はいらんと追放したが、その後冤罪だったと判明し……。カクヨムでも同じ話を投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
悪役令嬢は処刑されました
菜花
ファンタジー
王家の命で王太子と婚約したペネロペ。しかしそれは不幸な婚約と言う他なく、最終的にペネロペは冤罪で処刑される。彼女の処刑後の話と、転生後の話。カクヨム様でも投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。
火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。
王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。
そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。
エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。
それがこの国の終わりの始まりだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
1人生活なので自由な生き方を謳歌する
さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。
出来損ないと家族から追い出された。
唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。
これからはひとりで生きていかなくては。
そんな少女も実は、、、
1人の方が気楽に出来るしラッキー
これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
仰っている意味が分かりません
水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか?
常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。
※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる