魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

文字の大きさ
上 下
68 / 648

調理の魔女④

しおりを挟む
 ジャンヌのおかげで手が自由になった。すぐに足の縄を解き、台から降りる。近くにあった布で体を覆う。
 あとは指輪を探し、魔術で逃げるだけ。
 指輪の気配が近くに感じる。
 周囲を見渡せば、小さな光が見えた。それは指輪だった。
 ジャンヌがアーノルドを飛ばし、アニアにぶつけた際に指輪を落としたのだろう。
 さっそく指輪を取り戻そうとするが、アーノルドが前に立ち防ぐ。しかも牙を向いている。
「聖女にやられたんじゃ・・・」
「主の前で死んでたまるか!ガキ!」
 ヘルハウンドが言葉を放つ。おそらく魔女の『呪い』の影響で魔族(アビス)化に近づいているのか。
「左目の恨み晴らしてやる」
よく見れば、アーノルドの左目には傷が残っていた。根に持つタイプのようだ。
「そっちの顔もイケてるよ」
 へらへら笑ってみせる。
「だか大事な食材だ。殺さずにしてやる!」
 アーノルドが向かってくる。
 体を伏せる。避けたと思いきや、後ろ蹴りを腹に食らってしまう。
 飛ばされながらも置いてあった指輪を取り、壁に当たる。
「イテ・・・」
 アーノルドがまた迫ってくる。
 すぐさま指輪をはめる。銃を召喚し、アーノルドに撃つ。
アーノルドは咄嗟に後ろへ下がり、牙を見せる。
「よし、これで逆襲だ」
 悪い笑みを見せる。


「くそ!飛ばしやがって~」
 ジャンヌは、椅子やテーブルがクッション代わりに受け止められていた。
 ガラス張りの壁に椅子やテーブルが並んでいた部屋だった。
 椅子とテーブル。閃いた。
「どこ行った!」
 怒声が響いた。扉が開き、片手に銃を持ったアニアが現れる。
「くそ!どこだ!」
 お答えしてやる。
 ジャンヌは、椅子をアニアに向かって投げる。
 バーンと銃声がなり、椅子は木の欠片へと変わる。
「ちょっと!投げるな!」
 嫌がらせに、テーブルや椅子をアニアに投げる。
「私の店を壊さないでよ!」
 アニアは避けても、壁に当たったテーブルやイスは壊れる。
「もう許さない!」
 アニアがイラついている。イラつきが高まり、頭を巡らせないために魔女の私物を壊させた。後は、隙を作り、止めを刺すだけ。
 アニアは銃からナイフに変え、迫ってくる。
 無作為にナイフを振り回してくるが、ロザリオでナイフを弾け飛ばす。
――よし、止め!
 アニアに止めをさそうとしたが。
「あら、騒がしいわね」
 ロザリオがアニアの顔の手前で止まる。
 別の女の声がした。その声に聞き覚えがある。
 冷や汗をかいたジャンヌは、恐る恐る視線を変える。
 腰までに長い金髪。胸が黒いコルセットのようなもので留められている。腰に生えた黒い翼は黒く輝いている。腰に長いドレスのような黄色の布を巻き、左足に黒い紐が結んでいる。よきの魔女リリス・ライラ・ウィッチャーが立っていた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

冤罪で追放した男の末路

菜花
ファンタジー
ディアークは参っていた。仲間の一人がディアークを嫌ってるのか、回復魔法を絶対にかけないのだ。命にかかわる嫌がらせをする女はいらんと追放したが、その後冤罪だったと判明し……。カクヨムでも同じ話を投稿しています。

私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。

火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。 王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。 そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。 エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。 それがこの国の終わりの始まりだった。

悪役令嬢は処刑されました

菜花
ファンタジー
王家の命で王太子と婚約したペネロペ。しかしそれは不幸な婚約と言う他なく、最終的にペネロペは冤罪で処刑される。彼女の処刑後の話と、転生後の話。カクヨム様でも投稿しています。

聖女召喚

胸の轟
ファンタジー
召喚は不幸しか生まないので止めましょう。

【完結】そして、誰もいなくなった

杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」 愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。 「触るな!」 だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。 「突き飛ばしたぞ」 「彼が手を上げた」 「誰か衛兵を呼べ!」 騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。 そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。 そして誰もいなくなった。 彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。 これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。 ◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。 3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。 3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました! 4/1、完結しました。全14話。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

1人生活なので自由な生き方を謳歌する

さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。 出来損ないと家族から追い出された。 唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。 これからはひとりで生きていかなくては。 そんな少女も実は、、、 1人の方が気楽に出来るしラッキー これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。

仰っている意味が分かりません

水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか? 常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。 ※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。

処理中です...