魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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赤い男③

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 コルンに光線銃で追われる中、風鳴(かざなり)の魔女ウィム・シルフにより難を逃れた。
 ウィムからジャンヌが攫われ、セックス仕掛けていると聞いて、一目散に向かった。
――こんなチャンスを逃すものか。
 攫った相手は、どんな者かと思えば、魔族(アビス)だったので、強力な封印術で拘束しようにも無理やり解かれてしまった。ただの魔族ではないと考えている内に広い部屋に出てしまった。
 アキセは距離を取りながら、銃を撃つ。
 紅孩児が赤い槍で弾く。
「よくも横取りしやがって!」
「それは俺のセリフだ!」
「この俺様!紅孩児様を切れさせたな!」
 紅孩児は怒声を上げる。
「コウガイジ?」
 聞きなれない名前。まさかとは思うが。
「こうかいじ?ダサい名前」
「はあ?どう見てもかっこいいだろう!名前に魔女文字(ウィーンもじ)を使ってるんだぜ!」
 こいつ。バカだ。まんまと答えやがった。
やはり、名前に魔女文字(ウィーンもじ)を使っている。魔女文字からの『呪い』から魔力を増加しているのだろう。封印術を破ったことに納得いく。だか、魔女文字を与えられたということは、魔女文字に宿った『呪い』に影響があるはず。魔族(アビス)化や異形化している様子もない。
 もしかしたら。
 その時だった。
 ビビビーと光線が放つ。
 アキセは避ける。視線を向けば、紅孩児がふざけたような銃を持っていた。
「ち!外したが」
 紅孩児は悪態をつく。
 あんなふざけたような銃を作れるのは、コルンしかいない。コルンが言っていた倒すために作ったものとはあの銃ことだろう。
「その銃はなんだ?普通の銃じゃないだろう」
「ああ。『なんでも吸い取れる銃』だ。おまえの命も奪ってやる!」
 紅孩児はビビビーと銃を撃つが避ける。
 素直に教えた。やっぱこいつバカだろう。
 整理する。『なんでも吸い取れる銃』は、コルンの発明品で、名前からしておそらくなんでも力を吸い取れるといったところだろう。
 アキセを倒す武器と言っていた割に、ただの真似事でしかない。魔女がきいて呆れる。
 だか、厄介なことには変わらない。
 まずは、『なんでも吸い取れる銃』を破壊する。
 召喚した散弾銃で周辺に撃ち出す。弾が壁に当たった瞬間、陣が浮かびだす。
「なんだ?」
 陣から石の刃が無数に発射される。
「何!?」
 紅孩児は片手で赤い槍を振り回して防がれる。
 アキセは、地面に銃を撃ち、陣を浮かべ、小さな結界を作り、石の刃から免れる。
 結界の中から紅孩児が力尽きるまでのんびりと眺める。
「てめえ!のんびりしやがって!」
 その時、石の槍が『なんでも吸い取る銃』に当たり、破壊される。
「あ!」
 紅孩児は、情けない声を上げる。
「しつこいんだ!」
 さすがに切れたのか、赤い槍に赤い炎を纏い、振り回しながら、壁に着いた陣を破壊する。
「ありゃ」とアキセが声を上げた途端に、紅孩児が瞬時に移動し、赤い槍で結界を突き刺す。
 結界が壊され、アキセは瞬時に後ろへ下がる。銃を撃ち、紅孩児と距離を取る。
「あのままでクタバレばいいものの」
 アキセは見下ろす。
 紅孩児は赤い槍を構え直す。
「さて、邪魔な銃は消えたし。第二ラウンドと行きますか」
 銃を構えていた時だった。
 紅孩児は唐突に倒れた。
「はあ?」
 その背後にはジャンヌが立っていた。今までない以上に怖い顔をしている。
 ジャンヌがかかと落としで紅孩児を倒した。力強く紅孩児の頭を踏む。
「おま・・・え・・・」
 紅孩児は必死に顔を上げようにも、ジャンヌが踏みつけ、ぴくともしない。
「あんたの髪って・・・どんなに焼けるのかな~」とジャンヌの目はとても悪意があった。
――あいつ死ぬな
 ジャンヌの足から白い炎を生み出し、紅孩児の頭を燃やす。
「あっつ!」
 紅孩児が暴れてもジャンヌの足はびくともせず、さらに地面をめり込み、紅孩児の頭を燃やし続ける。
ただ無言で眺めていたジャンヌも恐ろしかった。


 紅孩児は、頭を『光』で浄化され、気を失ってしまった。
 見事に頭が焦げていた。
「あ~せいぜいした」
 ジャンヌは清々しくいった。
「やっと復活したようで」
「そうね。あんたがこっそり私の横に置いてあったエンジェライトでね」
 ベッドの上で紅孩児から逃げる際にエンジェライトが入った袋をこっそり置いた。エンジェライトに含まれる『光』を吸収してジャンヌを回復させた。
「こんな状況でセックスできると思う?」
 ジャンヌはアキセの顔に近づく。
「へ~本当にやると思っていたけど」
 不機嫌そうに言われる。
「一応助けに来たとしてとりあえず目をつぶってあげる」
「ありがとうございます」
――なんでこっちが礼を言わなければならん。
 だか、これ以上からかれない。あの紅孩児の二の舞になる。ここは大人しくしよう。
「で、こいつどうするんで」
「え?まだ終わらせない」
――でしょうね


「う~」
 コウガイジが目を覚ましたようだ。
「あれ?」
 コウガイジは、大の字の木に手足が縄で縛られていることに気付いたようだ。
「これって・・・」
「やっと目が覚めた」
 女たちがコウガイジを見下ろしていた。彼女らは、コウガイジに誘拐され、弄ばれた者たちだった。
「こんなイケメンだったから騙されたわ」
「もーサイテー」
「女の敵よ」
 女たちの愚痴が響く。
「さて、皆さんやりましょうか」
 棍棒を持った女が言った。
「そうね」
 ハンマーや鈍器などを女たちは持った。
「え・・・と・・・」
 コウガイジが冷や汗をかく。
 コウガイジの悲鳴を上げながら、女たちに襲われる。


 コウガイジの哀れな結末を見て、あざ笑うジャンヌとアキセだった。
 先ほどの町の食堂に戻っていた。
 アキセの魔術で水の鏡を作り、様子を見ていた。
「いい気味」
「これはいい眺めだ」
「あんたもこんなことにならないとはいいわね」
 ジャンヌはイタズラな笑みを見せる。
「こえ~女」
「だって、悪いことしたらお仕置きするのが世の常でしょ」
 恫喝の混じった笑顔で返す。
「てか、今回はまんまとウィムに踊らされたな。あいつのせいで、コルンから逃げる羽目になった」
「それは自業自得よ」
 今回はウィムが仕掛けたことだった。
 コルンから『なんでも吸い取る銃』を盗み、女好きの紅孩児に渡した。その銃でジャンヌから『光』を抜き取り、セックスさせようとした。当然、アキセも食いつく話で紅孩児を邪魔し、ジャンヌを取り合うという筋書きをウィムは見たかったのだろう。魔女のイタズラにうんざりする。
「は~あの魔女絶対にぶっ殺そう」とウィム抹殺に決意するジャンヌだった。
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