魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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赤い男①

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 町外れの廃墟の家の扉を開ける。
 アキセはいつものようにコルンの工房に入る。
「入るぞ!」
 バーン!
 陽気な声で入るアキセだが、追い返された。光線を撃ってきたからだ。
 咄嗟に避けたが、爆風に吹き飛ぶ。
「また発明品を盗みやがったな!」
 5歳児姿の工作の魔女コルン・ゴボルドが片手に銃を構えていた。
「まだ何も盗んでねえぞ!」
「やっぱりおまえが!」とコルンは光線銃を撃つ。
 すかさず避ける。
「せっかくおまえを倒せる武器だったのに!」
「それは聞き捨てならんぞ!」
「うるさ~い!死ね!」
 轟音が鳴り響く。


 ジャンヌは町の食堂で食べている時だった。
「お客さん。旅人か?」
「まあ一応そうだけど?」
 ジャンヌは首をかしげる。
「お客さん。これから町に出るなら気をつけた方がいいぞ」
「何があったの?」
「この辺の町、村の女たちが行方不明になってるって話だ」
 よくある話。
「犯人も見つかっていないから、この辺の女は閉じこもっているんだ。だからお客さんも気をつけな」
――気のいい店長だな。
「うん。ありがとうね」
 ジャンヌは食べ続けた。


 食後、町を出たジャンヌは、森の中を歩いていた。
「誘拐事件ねぇ~」
 誘拐事件はどの種族問わずよく聞く話。毎回耳に入って解決していたら、体が持たないが、注意に越したことはない。
 気配がする。誰かに見られている。アキセではないのは確かだった。懐からロザリオを出し、警戒する時だった。
「じゃ、じゃ~んと!」
 目の前で着地する。
赤髪、赤目。上半身裸に赤い入れ墨が刻み、赤い槍を持っている優男だった。
「赤い髪を見たら恐れろ。赤い目つきで見惚れろ。この入れ墨で俺様の偉大さを知れ。俺様紅孩児!赤い稲妻と言えば、俺様のことだ!」
 赤い槍を振り回し、ポーズを決める謎の赤い男。
 逆の方向に歩いていく。
また変人に出会ってしまった。ただでさえ、ストーカーにクズと問題を抱えているのにこれ以上関わりたくない。無視して歩く。
「おい!待たんか!」
「うわ!」
 瞬時に目の前にいたので、驚いてしまう。
「ふ~ん」
 コウガイジはじっと見つめる。
 こういう目をジャンヌは見覚えがあった。一瞬アキセを思い浮かんでしまった。
「うん。俺好みの女」
 すかさず白い炎を撃つ。
 やはり同じ人種に会ってしまった。
 ジャンヌは一目散に逃げるが、唐突に煙が発生する。
「煙?」
 その時、みぞおちに衝撃が走る。
 力が入らず、目をつぶってしまう。
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